空と山と暮らし

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JXVエアコンの故障で体感した設置位置の大切さ

先月の話になりますが、夏用エアコンが故障してしまいました。三菱電機の保守員さんが故障の1週間後(10月3日)に来られて無事に直りましたが、残暑が続く時期にバックアップの冬用エアコンで対応することになったのです。そこで、改めてエアコン設置位置の大切さを体感しましたので、バックアップ運転時の2階の温湿度の実情を含めて記事にしておきます。

─ 目次 ─

我が家のエアコンと運用

我が家にはエアコンが2台あります。1台は夏の冷房/除湿用 霧ヶ峰 で、2階ホールに設置しています。もう1台は冬の暖房用 ノクリア で、1階畳スペースに設置しています。基本的には夏冬にどちらか1台の運用で家中の温湿度を安定させており、残り1台は故障時のバックアップになります。

エアコンについては過去に10件以上の関連記事を書いてきましたが、今回はエアコン設置位置や運用方法もポイントになりますので、改めてエアコン/空調設備の構成をまとめておきます。

 

夏の運用

夏は冷房+除湿のために、階段&吹き抜けの2階ホールに設置した三菱電機製 霧ヶ峰 MSZ-JXV2223を使用します。

日射遮蔽が適切な今どきの高気密高断熱住宅は、エアコン1台で家全体の温度をコントロールすることが可能で、相対的に湿度コントロールに重きを置くことになります。我が家も、高コスパと言われる断熱等級6.5(HEAT20 G2.5)相当の断熱性能があり、温度管理は容易です。

湿度は、ピアノ保全のため、不在時でも相対湿度40%~60%を維持することを狙っています。室温25℃環境の相対湿度60%は絶対湿度13.8g/㎥ですので、外気の絶対湿度が13.8g/㎥を超える6月の梅雨時期~10月の残暑までエアコン稼働することになります。

エアコン運転を始めたら、快適性を求めて相対湿度のターゲットを45%~55%に狭めてコントロールしています。

除湿を十分に行うために、大きく3つのポイントで検討しました。

  1. 換気(必要な除湿量が変わる)
    換気には家全体が対象の24時間換気と、特定空間が対象の局所換気があります。我が家は24時間換気として、湿度コントロールしやすい全熱交換式の第1種換気を採用しました。
    トイレ・浴室・キッチンの局所換気は熱交換の対象外になりますが、トイレは使用時のみ動作するセンサ式の高気密電気式シャッターファンで空気の過剰な入れ替えを抑制しています。浴室も同様ですが、普段は風呂CFを真似て脱衣所上部に設置したCIRCULIGHT (サーキュライト)で室内循環換気をしているため、基本的に外気と換気しません。キッチンは同時給排レンジフードのため、外から流入する水分はそれほど拡散せず、多くはフード付近をまわって屋外に戻ることになります。
    このような構成により、潜熱が交換される第1種換気の熱交換を通る空気の割合を高めて、除湿が必要になる水分量を低減しています。

  2. エアコン(除湿能力が変わる)
    高気密高断熱住宅のエアコン制御は、気温の低い梅雨時期や夜間に十分除湿できるかが肝になります。我が家は、低温時でも除湿できる再熱除湿機能付きで、それでいて消費電力が比較的小さい三菱電機 霧ヶ峰JXVの6畳用エアコンを採用しています。
    霧ヶ峰の再熱除湿は少しクセがありますが、昨年の記事「11月にエアコンで除湿!?」の通り「体感=ON、除湿調整=50%、風量=静」にすることでJXVが必要に応じて自動で再熱除湿に入ってくれます。このお手軽な設定のまま、半放置で連続運転しています。
    再熱除湿機能が無いエアコンでも、1Fエアコン(暖房)と2Fエアコン(冷房)のペアで2台再熱除湿ができますが、コントロールが煩雑になるのと、制御により1台再熱除湿に比べて消費電力が増えますので、やはり再熱除湿付きエアコンにするのが簡単です。

  3. エアコン設置場所(除湿範囲・除湿量が変わる)
    エアコンは、除湿した空気を家中に広く行きわたらせる場所、かつ除湿前の湿った空気をエアコン(上部)から取り込める場所に設置するのが良いです。我が家はF式全館冷房のセオリー通り、2階ホールにエアコンを設置しています。
    空調計画では、第1種換気のメインSA(空気吹き出し口)×3が2階に、RA(空気取り込み口)が床下(玄関ガラリ/掃き出し窓ガラリ)と1階奥の洗面所にあり、2階から入った外気がエアコンで除湿されて1階に流れるようになっています。1階でも料理・食洗器・洗濯乾燥機・浴室で水蒸気が発生しますが、これらは暖かい空気のためエアコンの冷気と入れ替わりに吹き抜けを上がり、吹き抜けホールに設置したエアコンに吸い込まれることになります。これで家全体に除湿した空気が循環します。
    空調は部屋の仕切りが増えるとコントロールが難しくなりますが、我が家は基本的に大部屋の作りで、扉があってもトイレ以外は基本的に開放で暮らしています。この点も、2階ホールのエアコン1台で家中の空調ができているポイントと思います。

エアコン設定は、温度=25.5℃、湿度=50%の固定です。風量は基本的に最弱の「静」ですが、盛夏の昼だけ風量を上げていく運用です。この風量もエアコンが自動で適切にコントロールしてくれると楽なのですが、JXVは「静」で安定しにくく、ここだけイマイチなところ。(吹き抜けホールにエアコンを設置しているため、JXVの「ムーブアイ」がうまく床温度を測定できていない可能性あり)
風量を自動化したい場合は、SwitchBotなどのセンサと組み合わせて制御するのが確実です。JXV2223は標準で無線LAN+HEMS対応なので、Web画面で機器制御できるHEMS端末(AiSEG2等)があれば、自作ソフトからWeb制御でエアコン内部の温度を取得したり、室温設定/風量設定ができます。エアコン内部温度が不要ならSwitchBot APIのみでリモコン制御もできます。(ニーズがあれば、RasPiで動作するSwitchBot BLE+AiSEG2のデータロガー兼Webアプリを公開します。プラグインで自動機器制御ができます。)

 

冬の運用

冬はLDK横の畳スペースに設置した富士通ゼネラル製 ノクリアAS-Z282Mを使用します。東京の冬は快晴の日が多く、南東面の日射取得型窓には日の出から朝陽が入って暖まります。このため、冬のエアコンは日差しが無い日や夜間の冷え込み時に間欠で運転しています。

冬も換気やエアコン設置場所が重要です。また湿度管理という観点ですと、冬は加湿器も考える必要があります。以下、冬向けに検討した4大ポイントです。

  1. 換気
    夏と冬の換気は最適解が違いますが、換気の動的な変更はハードルが高く、我が家の換気ルートは夏冬で同じです。(Panasonicの第1種換気は冬に換気回数が0.5回/時→0.3回/時に下がるので、換気動作に多少の差異はあります)
    換気ルートは夏と同じですが、空気が暖まりやすい2階に第1種換気のメインSAがあるため、外気(冷気)は2階の空気と徐々に混ざりながら、吹き抜けを通って1階に下りることになります。
    冬に注意すべきは冷えやすい1階ですが、1階エアコンで温まった空気は、一部は吹き抜けを上昇して2階へ行き、一部は1階玄関ガラリ&掃き出し窓ガラリから床下に入って家の対角にある第1種換気のRAダクトまで床下を通ります。そして残りの空気が1階を保温します。
    このバランス調整はなかなか難しいのですが、我が家では1階の方が2階より1℃ほど暖かくなりがちになりました。空気質が悪化しない範囲で、第1種換気の風量(6段階で調整できる)を絞れば均一になりますが、まぁ1℃差なら許容範囲でしょう。(サーキュレータなら簡単ですが、1℃を均すために風を起こして体感温度が下がるのは本末転倒)

  2. エアコン
    冬用のエアコンは除湿考慮がいらないので、夏より選択肢が広いです。ただし、夏のバックアップ機として位置付けるなら除湿考慮も必要で、我が家は念のため暖房用エアコンも再熱除湿できるノクリアにしました。(ここはリスク/コストの判断が分かれるところ)
    熱負荷の計算上は6畳用エアコンでも可でしたが、最終的にはマージン多めの10畳用を選定しています。当初は200VでCOPが高い14畳用を検討していましたが、熱負荷計算するとマージンが大き過ぎるかつ価格も高いので、マージンほどほどの10畳用になりました。100Vコンセントなら測定器なども融通しやすくて良いです。

  3. エアコン設置場所
    2022年の設計当初は、注文住宅シリーズ③でも記載した通り、足元の暖かさを期待して床下エアコンも検討していました。我が家を建てたヤマト住建は建築事例に床下エアコンがあり、何なら床下エアコンを推していた過去の雑誌記事もありました。ところが設計士さんとの打ち合わせで「床下エアコンは可能だが、今は非推奨」と聞き、私なりに考えた末に一般的な壁掛けエアコンにしました。
    ハウスメーカは、トラブル事例があると安全側に倒すバイアスが強めにかかりますので、メーカ保障されない床下エアコン設置が微妙になってきたのかもしれません。そこをあえて突っ込むほどの床下コダワリが私に無かったのと、電気代を考えると床下エアコンの方がネガティブだったのと、部屋の暖かい空気がガラリを通って床下に流れる排気ルートで無垢床が冷えにくい空調設計ができましたので、寒くて困ることは無いと判断しました。このあたりは、快適性とコスト/リスクのトレードオフになりますので、優先度によって変わってくると思います。
    なお、壁掛けエアコンですと、どうしても配管の熱ロスを気にして外壁側にエアコンを付けたくなりますが、我が家は快適性を優先し、暖房に最適であったLDK横の畳スペース(内壁)に設置しています。内壁ですと隠蔽配管をやりがちですが、メンテコストを抑えるためにトイレを通る露出配管にしています。(配管はDIY収納棚に収めて普段は見えない作りにしました)

  4. 加湿器

    冬ならではのポイントは加湿器。昨年12月までは暮らしの工夫で湿度管理できそうだったため「加湿器はいらない…?」という記事を書きました。しかし、最終的には長期不在時の湿度低下や、湿度40%以上ではなく50%超えを狙いたくなったことから、必要な加湿性能を満たすダイニチ工業HD-RXT723を購入しています。(詳細は「冬の高気密高断熱住宅で狙う湿度レンジ」)
    期待する湿度が高くなければ、暮らしの工夫で加湿器は不要になると思います。

冬のエアコン運用はあまり難しい設定は無く、室温が下がってきたら「室温=23.5℃、風速=強」でスタートするだけです。エアコンは起動直後(30分程)の消費電力が高くなりますので、厳冬期はエコキュートの運転が終わる14時過ぎ(太陽光が残っているうち)にエアコンをONして、過剰に蓄熱させることもあります。
加湿器は部屋の湿度が50%を切る時期になったら、湿度設定=50%で自動運転します。もともと湿度が高めになる暮らしですので、乾燥気味の時だけ使うことになります。

この運用で、冬も家全体を22℃~24℃、湿度50%以上を維持しています。エアコン間欠運転の冬は連続運転の夏に比べて温度範囲が少し広いですが、電気代の兼ね合いでこれぐらいが丁度良い塩梅と考えています。

 

この環境で1年半を問題なく過ごしてきたのですが、なんと2階のエアコン霧ヶ峰が突然9月末に故障してしまったのです!(前置きが長いな・・・)

エアコンの故障と修理

今年の夏も順調に動いていたJXV君。9月後半に外気の絶対湿度が12g/㎥を切りましたので、連続稼働を停止しました。しかし、その3日後に再び絶対湿度が14g/㎥を越えましたのでエアコンを再稼働したところ、スマホアプリにエラー通知が表示されました。エラーを見ると「エラーコード:6840」と表示されています。

ネットでトラブルシューティングを調べると「内外接続線の緩み・誤配線の確認」です。うむ、これは素人が手を出さない方が良いな。

ちなみに我が家は、1階エアコンはヤマト住建に設置してもらっています。しかし、2階エアコンはエアコンスリーブと電源だけ用意してもらい、エアコンは住宅引き渡し後にネットで購入し、エアコン取り付けは高気密高断熱住宅の施工スキルがある業者さんにお願いしました。これは初期コストの観点で自己取り付けの方が安価だったからですが、ハウスメーカ取り付けであればトラブル時に丸投げで終わります。ここも利便性とコストのトレードオフになりますね。

ということで、今回壊れた2階エアコンは自分でメーカ修理依頼することになりました。

幸いなことに、三菱電機のエアコンアプリは保守窓口への連絡先も分かりやすく、依頼はサクッとできました。残暑の残る9月は作業員が繁忙で即対応ができず、1週間後に訪問修理に来てもらっています。エアコンを調査いただくと、エラーコードの通り、室内機と室外機間の接続線の送受信がエラーになっていることが分かり、最終的には室外機のメイン基板を新品に交換していただいて直りました。ついでにガス圧などもチェックしてもらいましたが、他は特に問題ありませんでした。無料修理で新品に変えてもらった上に点検までしていただいて、三菱電機のサポートには大感謝です。

さて、修理は上記の通り無事に終わったのですが、エアコンが直るまでの1週間が大変でした。

エアコン修理までのバックアップ

我が家は夏冬にそれぞれ1台のエアコンを稼働し、使っていないエアコンはバックアップとして待機しています。今回は夏用の2階エアコンが故障しましたので、1階の冬用エアコンで残暑を乗り切らないといけません。

1階の冬用エアコンも再熱除湿付きノクリアを選定しましたので、除湿性能は心配ありません。また、床下エアコンではないので、冬用エアコンで冷房運転することに特段のリスクもありません。このあたり、実際にエアコン故障を体験すると、設計士さんの提案通りに壁掛けエアコンにしておいて良かったです。Kさん、ありがとう!(今回のようなトラブルを考えると、床下エアコンを使うなら、バックアップとして床下以外のエアコンを設置して3台体制にするのが良さそうです)

 

さて、こんな早く(購入から1年半で)エアコンが止まるとは想定外でしたが、バックアップ機が控えていますので、慌てずに運用の切り替えを開始します。棚にしまっていた1階エアコンのリモコンを引っ張り出して、ノクリア初の冷房オン・・・してみましたが、想像以上に2階の空気が動かない!?

 

エアコン設置位置の重要性

以下のスクリーンショットは、修理前日に一番暑くなったお昼の温湿度ログ。

曇り日でしたが、残暑の猛暑日となり、外気は31.2℃・絶対湿度17.14g/㎥です。この外気が室温25℃の屋内に入ると湿度は74%ですので、カビ/ダニのリスクが高まります。もちろん通風で何とかなるレベルではなく、バックアップのノクリアの頑張りに期待です。

上図の通り1階に限っては、リビング・洗面所とも25.5℃(±0.3℃)に収まり、湿度も46%と49%で、しっかり冷却して除湿も効いています。しかし2階の寝室は26.9℃で、湿度も57%に高止まりしています。逆に床下は24.1℃まで下がり、湿度は61%になってしまっています。暖房時に玄関や掃き出し窓へ暖気を通りやすくしてコールドドラフトを緩和しているため、冷房の空気は更に床下に入りやすくなったと思われます。まぁ、床下のコンクリ上はもともと冷えやすいので、最大の問題は2階です。

1階で冷房すると温度が分離しやすいのは、理解していました。私も四半世紀のフライト経験で、逆転層は大気が安定してしまうことを、イヤというほど経験しています。ですが、水分は絶対湿度の勾配に向かって移動するため、湿度は均一化しやすいと考えていました。しかし、上図の絶対湿度を計算すると、1Fリビング=11.1g/㎥、2F寝室=14.6g/㎥で、外気17.1g/㎥よりマシですが、水分の上下移動も限定的と言わざるを得ません。瞬間的な話ではなく、数時間放置しても変わらないのです。このデータは興味深い。

 

なにはともあれ、2階の温湿度を下げるため、扇風機2台を引っ張り出して階段の上下に置いて攪拌したり、普段はトマト栽培の日当たりのために開放している2階の窓のシャッターを閉めて日射遮蔽をしたりと、てんやわんや。(ある意味、テンション上がって楽しかった)

良く見ると、エアコンの消費電力も2階エアコン運用時の2倍以上(540W)になっています。1階は設定温度まで冷えると暖かい空気の流入が少ないので、無駄にエアコンの再熱除湿が動くのでしょう。

・・・

今まで、実際にエアコンが故障するまでは、1階エアコンがバックアップになるため、2階エアコンが壊れても大丈夫と思っていました。しかし、エアコンの設置位置でこんなに変わるんだと体感し、所詮バックアップは緊急対応に過ぎないと理解しました。恐らく、エアコンは機種選定以上に設置位置の方が大事です。

 

また、単に「エアコンが2台あるから故障時にバックアップ運用できる」と思っているだけでは、スムーズに対応できることになりません。やはり災害訓練のような実地テストが必要だと思った次第です。

 

なお、今回のイベントで2階エアコンが故障したときの状況が分かったのですが、もし1階エアコンが冬に故障したらどうなるのか。もし課題があるならどのような対策ができるのか、余裕がある時に試しておくのが良いなと、強く思ったのでした。

 

お決まりのハッシュタグを書いて終わります。(ヤマト住建の公式アンバサダーになった経緯はコチラ

#ヤマト住建公式アンバサダー