我が家は路地栽培と水耕栽培で夏野菜を育てています。去年は毎月の生育状況を記録しましたが、路地栽培は毎年似た状況のため、今年は記事を書かずじまい。一方、ミニトマトは水耕栽培のノウハウが溜まってきましたので、今回はその整理しておこうと思います。東京での育成事例ですが、省エネ基準地域区分の6地域であれば、だいたい同じ方法で栽培できるはずです。(長文です)
─ 目次 ─
- はじめに
- 甘いトマトを作るための基礎知識
- 水耕栽培のために用意するもの
- 水耕栽培の水について
- トマトの育て方 その1 発芽
- トマトの育て方 その2 自立期
- トマトの育て方 その3 誘引期
- トマトの育て方 その4 仕立て期
- トマトの育て方 その5 収穫
- トマトの育て方 その6 片付け
- おまけ - トマト市況
まとめ図↓ (by NotebookLM)
はじめに
今の時代、トマトは季節を問わずいつでも購入できます。その状況で、あえてトマトを自作する理由の1つは、樹上完熟の極甘トマトが食べられること。
スーパーに並ぶトマトは、流通過程で傷まないように、普通は完熟前に収穫されます。それに対し自家製であれば収穫してすぐ食べるため、真っ赤になるまでキッチリ完熟させてトマトを収穫できます。その樹上完熟トマトの、なんと美味しいことか。

我が家のエコスイート(左) /千果(右)
ただし、トマトを完熟させれば必ず甘くなる訳ではなく、糖度を上げるためには日射・水・肥料などのコントロールが必要です。ここで1つ問題があり、一般的な露地栽培では水と肥料濃度のコントロールが非常に難しいのです。そこで登場するのが水耕栽培。
我が家も一昨年まで、露地でミニトマトを育てていました。しかし降雨で水が供給過剰になったり、それに伴い肥料が薄まったりして甘さが安定しません。加えて畑だと虫対策も必要で、細かい網目の防虫ネットをかけたりするのが手間でした。(下写真)

それが水耕栽培を始めてみると、水と肥料の管理が圧倒的に簡単。またネットも、ベランダ育成なら大きい網目の鳥よけメッシュを全体に囲うだけで対策できます。さらに屋内育成なら虫も鳥も来ないので、そもそもネット不要。暖かい屋内なら厳冬期でも夏野菜であるトマトを育成できます。(下写真は最も寒い2月上旬のトマト)

ということで、昨年末からは露地トマトはやめて、水耕栽培に専念しています。
甘いトマトを作るための基礎知識
では、甘く作るにはどうすればよいか。トマト栽培は学術的な情報が多いですが、研究は細分化された分析が多く、トータルとしてどう作るのかが見えにくいです。例えば、肥料濃度を上げたり塩類を添加すると糖度が上がる、水温を下げると糖度が上がる、といった研究がありますが、良くなるという事を全て同時に行うと水ストレスが強すぎて逆に成長が阻害されたりしうる。研究では比較対象以外を同一条件にするのは当然ですが、実践で求められるのは総合的な判断に基づいた育成ノウハウです。
このあたりは、実際にトマト栽培をされているプロ農家さんの知見がヒントになります。私のお気に入りは、このブログで何度も紹介しているトマト農家のたわらファームさん。以下の動画でたわらファームさんが4つの秘訣にまとめられています。
要約すると、1.有機肥料を使う、2.水やりを控える、3.完熟してから収穫、4.枝を太くしない、というもの。先に述べた樹上完熟は秘訣の1つに過ぎず、これだけでは甘いトマトを作れません。では残りの3点を水耕栽培でどう対処するか。我が家は以下のように管理しています。
- 有機肥料
有機栽培の何が効くのかは色々な見解があり、学術的な合意形成はされていません。ただ経験則としては有機肥料は有効に見える。私の想像では、緩効性肥料という特徴とアミノ酸やカルシウム等の微量要素がポイントと考えています。私は後者を念頭に、水耕栽培の液肥に活力液(リキダス)を僅かに添加しています。(メーカは推奨しておらず、おまじないに近い) - 水やりを控える
いわゆる「水ストレス」で、これが最も糖度に影響を与えます。水耕栽培で水を控えるとは何のこっちゃ、と思われるかもしれません。水を切らしたら枯れてしまいますよね。水耕栽培では液肥濃度で水の吸収量を調整します。
植物は、土壌水分のイオン濃度(薄い)と植物体内のイオン濃度(濃い)の浸透圧を利用して、根から水分を吸収します。液肥も同様で、肥料を濃くすると根との浸透圧が減少して水が吸いにくくなり、つまり水控えに似た効果が得られます。なお、液肥が濃すぎると浸透圧が逆転し植物から水が流出(いわゆる肥料焼け)しますので、やり過ぎは禁物。適度な液肥濃度のコントロールが必要になります。 - 枝を太くしない
これも水ストレスに繋がる秘訣ですが、これが極甘トマトを作るための最も重要で貴重な知見でしょう。茎が太くなると水が通りやすくなり水ストレスがかけにくい。かといって細すぎると弱ってしまう。これを防ぐため、液肥濃度と脇芽の仕立て数を調整して、トマトの茎が鉛筆~小指位の太さで育つように調整するのです。トマトに水ストレスを与えるやり方は多々ありますが、ストレスは少なくても多くてもダメでバランスが難しい。それが「トータルとしては茎の太さだけ見ればよい」というのは非常に分かりやすいですね。
具体的には、育成初期は茎が細いため肥料は規定の希釈量で良いですが、そのまま水耕栽培で育てると元気になり過ぎて茎がムキムキになります。これを防ぐため、トマトの育成状況を見ながら仕立て数を増やし、液肥濃度を上げていきます。液肥濃度を変えると、目に見えて茎の太さが変わっていきます。
色々書きましたが、甘くする方法をまとめると、「肥料濃度と仕立て数を調整し、おまじないで活力液を添加し、完熟してから収穫」するだけ。とても簡単ですね。これ以外にも、日照や二酸化炭素濃度や温度管理(気温、水温)もあるのですが、茎の太さで水ストレスが適度になるようコントロールすれば、肥料濃度管理だけで甘くなります。甘くする以前に無事に育つのかという心配は、経験的には温暖6地域なら午前中に日が良く当たる場所さえ選んでおけば大丈夫です。
水耕栽培のために用意するもの
世の中は便利なもので、今やネットで水耕栽培キットが売られています。これを使うのがお手軽ですが、お安いキットはトマト栽培に小さすぎたり、かといって大きいものはお高かったりします。一苗からミニトマト1,000粒を収穫する程度なら、安価なものでも対応できます。以下、我が家で使っているアイテムをご紹介します。
【必ず必要なもの】
- ミニトマトの種 or 脇芽
ミニトマトは初心者でも育てやすく、大抵の品種は水耕栽培で育てられます。経験的には、蜜蜂が来るベランダ栽培なら多収穫の千果が安定。蜜蜂の来ない屋内なら受粉のいらない単為結果のエコスイートが便利。お店で買ったミニトマトの種を取り出す or 育てたトマトの種を使うと安価。2作目以降は種ではなく、放置させた脇芽を使うのもアリ。
- 育成容器
苗サイズに合わせて容器を替えるのが良いです。最初はペットボトルが手ごろで便利。苗が大きくなったら、魚の買い物ついでに発泡スチロールを貰って栽培容器に流用。角上魚類のつま切り用のスチロール(41x27x27cm、内寸37x24x24cm≒21L)がキレイでおススメ。欲張って大きくしすぎると取り回しが大変なので要注意。設置するフロアの蛇口から直接水を入れられるサイズ感が良いです。
- 肥料(水耕栽培用)
ハイポニカが有名ですが、我が家はコスパ重視で微粉ハイポネックスを使用。1苗の運用なら一番小さな200g(700円程)で十分。本格運用するなら大容量パックがコスパ高。大容量の場合は小分けしておくと使いやすい。液体のハイポネックスは水耕栽培に使えないので要注意。
【あると良いもの】
- ECメータ
水溶液の電気伝導率を測定する器具で、これで液肥濃度を測ります。使い方は電源を入れて水にさすだけで、詳細は昨年のブログ記事に記載。お値段はピンキリですが、Amazonの600円位のECメータで十分。これが無い場合は、水の補充時に毎回希釈液を作り直すことになります。(液肥をリセットするためコストUPとなり、手間もかかります)

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エアポンプ
根腐れ防止&肥料循環のために利用。液肥を対流させると更に育ちが良くなりますが、激甘トマトは育ちすぎもNGなので、700〜800円程の低コスト&お手軽なブクブクで良い。GEX ジェックス金魚飼育4点セットが諸々セットで便利。
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紐
一般的なつる性品種の誘因用(矮性品種のトマトなら不要)。下から棒で支えるより、吊るし紐の方が安定。100均の麻紐でOK(重さで切れない太さを選ぶ)。上部の固定はカーテンレールなどを利用。 - 誘引クリップ
吊るし紐で仕立てる場合は、紐と茎をクリップする資材があると便利。定番はくきたっち。家庭菜園ならクリップ数は少なくて良いので、くきたっちアルファF (太紐・麻紐用)10個入り(317円)とかで良い。

- アルミホイル / アルミシート
発泡スチロールでも少し日射が透けるので天板にアルミを貼り、根を守りつつ藻を予防。反射で日射量が増加し一石二鳥。100均のアルミシートでOK。
- ジョーロ
容器をシンクまで持っていくのが面倒な場合は、水の継ぎ足し用にあると楽。100均のジョーロで良いですが、希釈には1L/2Lの水位箇所をテープ等でマークできる形状だと便利。発泡スチロール容器に入れやすい注ぎ口のものを選ぶ。あくまでジョーロは水の補給用で、ジョーロの中で希釈作業はしないこと。(微粉ハイポは直接容器に入れる)
【必要に応じて】
- 培地
初期の発芽用の土台として使用。脇芽栽培なら不要。固定できればなんでも良いが、我が家は安価で廃棄が簡単な種まき用ロックウール ブロック(600円/60個)を使用。
- 育苗ポット
種からペットボトル栽培までの期間はポットがあると苗を固定しやすい。脇芽栽培なら不要。100均の立体鉢底ネット(8個入り)が楽。手間を惜しまなければ、ダイソーのプラカップ(26個入り70mL)の底に穴を開けてもOK。現在の我が家はプラカップ、熱した針金を使うとまとめて穴を開けられます。
- トマトトーン
屋内で受粉が必要な品種を育てるときに便利。指で花弁を弾いても受粉できますが、トマトトーンの方が安定。ホームセンターで200円程度。
- メネデール/活力剤
メネデールは、発根時期に添加すると根張りが良くなり、リキダスは育成中に僅かに入れると苗が元気になる・・・かもしれない。(おまじない)
- 太陽光パネル
エアポンプの電源が取れない場合に使用。バッテリチャージ付きが安定。2,500円程でポンプ&バッテリ付きもアリ。
- お盆
容器を持ち運ぶときに底抜けが気になる方は、お盆に乗せておくと安心。 - 体重計
容器に水を入れた時の規定水量が何リットルか測るために使用。1Lジョーロの回数でも確認できますが、コッチの方が数えなくて良いので楽。
水耕栽培の水について
水耕栽培に必要なものとして、当然ながら「水」があります。水道水で育てる場合は、水源のpHと、素のEC値を把握しておくと、色々と捗ります。
東京都にお住まいの方は、上記にアクセスして住所(○○市○○1丁目)を選ぶと、給水栓番号 xx番がわかり、そこから四半期ごとの水質検査の結果を閲覧できます。
確認するのは26項目のpH値。トマトに適したpHは弱酸性の6.0〜6.5程度で、水道水は結構外れていることが多いです。例えば、東京は酸性どころか弱アルカリ地域が多い。
ちなみに我が家もpH7.5の弱アルカリです。弱酸性でなくとも問題なく育っていますが、pHが7.5 を超えると鉄 (Fe)、マンガン (Mn)、亜鉛 (Zn)、銅 (Cu)が欠乏しやすくなり、pHが5.5を下回るとリン酸(P)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)が欠乏しやすくなることを認識しておきましょう。地域(水源)から欠乏しやすい微量要素を把握し、必要に応じて補給することもあります。逆に、例えば弱アルカリならCa欠乏のリスクが低く尻腐れ病になりにくい、と判断できます。
ちなみに、日本の雨のpHは平均4.85(環境省, 令和元年)の強酸性で、相変わらず全国で酸性雨が降っています(pH5.6以下を酸性雨という)。栽培に雨水を使う場合は、水道水との違いを理解しておくと良いでしょう。雨水だけでは恐らく尻腐れ病が出るので、カルシウムを葉っぱに振りかけるなど検討が必要です。
素のEC値は、ECメータの点検も兼ねて水道水を直計測しておきます。東京だと、だいたい200[μS/cm]くらいになります。

※大きく乖離する時は、メータ故障か計測モードが違う可能性があります。
次項に記載する液肥の希釈濃度は、この素のEC値=ベース値を考慮してEC値を調整することになります。例えば、微粉ハイポで肥料濃度を1,000[μS/cm]にする場合は、肥料以外のEC値(上図なら198[μS/cm])を足して、ECメータが1,198[μS/cm]を指すようにします。デジタルだとキッチリ1桁まで表示されますが、実際は±10%程度ブレても問題ないです。
トマトの育て方 その1 発芽
(脇芽栽培の場合は折った脇芽を水のペットボトルに挿すだけなので、その3へ)
ミニトマトは嫌光性種子で、発芽適温は 25℃~30℃です。培地に種を少し埋め、培地が濡れる程度に水を入れてアルミホイルで蓋をします。25℃の室温なら1週間くらいで発芽します。

芽が出るまでは肥料は不要で、水だけで発芽させます。発芽率は種に寄りますが、だいたい90%位でほぼ失敗しないです。念のため2つ育てると期待値90%→99%になり、なお安心です。自分で採取した種は発芽率が低いので、多めに育てると良いです。
連続収穫を目指す場合は、複数の苗を2〜4ヵ月ずらしてシフト育成します。1つ目の苗に実が着くか実が採れる頃に、2つ目の種を発芽させることになります。
トマトの育て方 その2 自立期
芽が出たら液肥で育成を始めます。最初は水耕栽培用の肥料の規定希釈で育成します。微粉ハイポネックスなら1000倍(1g/1L)希釈。付属スプーンの小さい方が1gなので、500mLのペットボトルなら、スプーン半分ということになります。メネデールやリキダスを添加する場合も、根を伸ばし始めるこのタイミングからになります。
以前は育苗初期から発泡スチロールで育てていましたが、容器が深すぎると液肥の必要量が増えてしまいます。

最初は容器を小さくした方が無駄が少なくて良いです。現在の我が家は、ペットボトルを適度なサイズに切って育苗しています。

ペットボトルは透明なので、根を守るために必ずアルミホイルを周りに巻きましょう。
ビール好き家庭なら生ジョッキ缶もアリ。
アルミ缶ならアルミホイルを巻かなくても良いです。
育苗の場所は、双葉が開いたら最終的に育てる場所の日射に当てます。冬は温度確保のため室内の窓越しになりますが、今どきはトリプルガラスでも、日射取得型のガラスなら可視光77%、日射熱58%を取り込めたりします。
住宅の設計時(2022年)に比較した窓ガラス仕様
(最近の窓はもっと高性能です)
設置予定の場所でルクスメータ(スマホアプリ)の確認をすると、なお安心です。ただし専用機ではなくスマホなので、あくまで参考値と考えておきましょう。以下は我が家で確認した結果です。
一番左が窓外のウッドデッキに置いた状態、2番目が日射取得型の窓越し、3番目が日射遮蔽型の窓越しです。南面の日射取得型の窓付近で育てると良いでしょう。
トマトの育て方 その3 誘引期
トマトが育って自立できないサイズになったら、発泡スチロールに移して紐で誘引します。エアポンプを使う場合も、この移し替えのタイミングから始動します。

上の写真は初期のものでキッチリ丸く穴を開けていますが、もっとテキトーで良いです。最近は下の写真の通り、茎の太さ分だけ切り込みを入れています。

そして蓋を捩りながら茎とエアポンプのチューブを横から押し込み、育苗ポットごと水に浸かるようにしています。

トマトは茎まで水につけても大丈夫で、むしろ茎までつけた方が根張りが旺盛になります。屋外設置時は予期せぬ雨の流入を考慮し、容器の上から1/3位の側面に排出用の穴を開けておきます。
このタイミングでも、根張りを良くするために、メネデールとリキダスを足しても良いです(おまじない)。

ただし、これらは液肥のリセット時のみ添加し、肥料の追加時は活力液を足しません。(活力液も毎回足してしまうと、濃くなりすぎるリスクがある)
トマトの育て方 その4 仕立て期
トマトの1番花が咲くとその下の脇芽が強く育ちます。その脇芽は獲らず、2本仕立てで育てます。それ以外の脇芽は全て獲ります。このタイミングで液肥濃度を1,500μS/cm → 2,500μS/cmまで徐々に上げていきます。初期に濃度を急激に上げると樹のストレスが強すぎて粒が小さくなったりトータル収量が落ちるため、日々少しづつ濃くしていきましょう。また肥料を追加だけしていると、トマトが特定の肥料だけ食べて液肥バランスが悪くなることがありますので、これ以降は1~2ヵ月に1回程度、液肥を入れ直すと良いです。
実が着いたら液肥が2,500μS/cm~3,500μS/cmになるように調整します。濃度に幅がありますが、トマトの茎が鉛筆~小指位の太さで育つように肥料の濃度調整を行います。濃度が低いと旺盛に育ち、3,500μS/cm位に上げると水が吸えなくて茎が細っていきますので、適度な細さが維持できる濃度で調整します。(この濃度は、午後に屋根で遮光される我が家のケース。日射条件により3,500μS/cmでもムキムキになる場合は、更に濃くして良いです)
なお、ベランダ育成では雨の後に放置すると茎がムキムキに太くなることがあります。これは肥料濃度の低下と、弱アルカリの水道水に酸性雨が少し入りトマトに良い塩梅の弱酸性になっていると想定されます。ただ茎がムキムキになり始めても、その後の調整でリカバリできますので、あまり気にし過ぎないのもポイントです。ムキムキのまま放置しない、位の心構えで育てるのが楽です。
1番果が着いたら分岐させた脇芽の下の葉を全て取り、分岐した枝の下まで少しずつ容器に沈めます。

これで分岐した枝が引っ掛かりますので、うっかり容器の中に茎が落ちこむ心配がなくなります。
2本仕立てした後も、その先の花芽の下の脇芽は強く育ちますので、4本→8本→16本と増やしていけます。ただ、茎が細くなり過ぎないように注意です。日射の強いベランダは16本仕立てで十分に育ちましたが、場所を使い過ぎて複数の苗の連続収穫に向かないのと、実が小さくなりがちというジレンマがあります。我が家では、今年は4本仕立てで止めて、あとは肥料濃度の調整で水ストレスを与えています。4本仕立て位だと、複数の苗のシフト栽培がやり易いです。
なお、ベランダ栽培は雨が吹き込むことがありますので、ポンプにカバーを付けておくと安心です。

そして、大雨が降った後も液肥のバランスが崩れることがありますので、その場合は液肥をリセットしておきましょう。
室内の場合は日射量に応じて、2~4本仕立てで調整するのが良いです。昨年は窓のサイズに合わせて螺旋仕立てでグルグル巻きに育成しましたが、最上部が上を向いている方が調子が良いので、今は上部1.5mのみ垂直仕立て、その下は自由にトグロ巻きさせています。下葉は順次かいていきますので、そこまで枝がカオスにならないです。
トマトの育て方 その5 収穫
トマトが真っ赤になり、樹上で完熟したら収穫します。

その後は枝の太さをキープしながら、育成と収穫を続けます。実が十分大きくなったら、その枝より下にある葉っぱは取ってしまって良いです。成長していくと収穫が終わった古い茎が余ってきますが、これは地面に這わせておけば良いです。(写真左)

また育成初期にベランダの壁より苗の位置が低くなる場合は、上写真の右手のように高さを出して日が当たるようにしましょう。苗が成長したら、下写真のように箱を外します。

なおこれは禁断の技(?)ですが、育成が弱るほどの超濃度(3,500~5,000μS/cm)に濃くすると、一段と甘さがアップします。しかし葉っぱや茎の育成は弱まり、その後に液肥濃度を戻しても復旧するまで時間がかかるという諸刃の剣。トマトの糖度が10%を超えるレベルになると、甘さと収量がトレードオフであることを思い知らされます。この技を使う場合は、収穫が途切れないように、複数栽培で交互に超濃度にするのが良いでしょう。
九州では土壌のイオン濃度を上げるために塩分濃度を高めた「塩トマト」が有名で、コスパを考えると肥料より塩の方が安価で良いかもしれません。しかし、住宅地で塩をまくのは抵抗がありますよね。ということで、ここでもNaCl以外の塩化物として活力液を添加してEC値を上げるのもありです。(半分おまじない)
ここまで育成すれば、トマトを収穫するだけです。

ちなみに既に12月に入りましたが、我が家は本日12月7日の時点でも、まだベランダでトマトが収穫できています。

気温が0℃付近になると実が落ち始めますが、不思議なことに緑色の若い実が先に落ち、熟成中の赤い実は落ちにくいです。このため、赤い実をギリギリまで樹上で熟成させて収穫することができます。既に室内トマトも赤くなり始めましたので、12月中旬から順次トマトの移行になります。
トマトの育て方 その6 片付け
水耕栽培は片付けが簡単なのもメリット。水を切らして最後の実を取ったら、カラカラに乾くのを待って燃えるゴミに出します。容器は洗って再使用できます。水が完全にリセットされますので、連作障害の心配がないのも嬉しいですね。
おまけ - トマト市況
水耕栽培なら冬でも暖かい屋内で育てられるため、時期を問わずにいつでも美味しい完熟トマトが食べられます。ただしトマトは本来は夏野菜で、市況価格は時期によって大きく変動します。
東京都中央卸売市場豊洲市場のミニトマトの価格推移(年間)
上図は1年間のミニトマトの価格推移で、太青ラインが直近1年の価格[円/kg]です。トマトの原産地はアンデス高原で、最適温度は昼25℃/夜15℃。30℃以上の高温や10℃以下の低温になると実がつきにくく、収量が落ちます。
春先から秋口にかけての価格変化を強調してみました。

一番トマトが育てやすい6月まで600円/kgと安いのですが、これが暑くなる7月頭になると価格が1,000円/kgに上昇し、さらに8月中旬~9月は1,400円/kgに上がります。涼しい10月は7月並みに戻りますが、11月中旬のピークは1,600円/kgに跳ね上がります。その差は2倍以上。ミニトマトが高い時期に気兼ねなく自家製トマトを食べられるのも、水耕栽培のメリットと言えるでしょう。
そして秋口から冬にかけて収穫できるように育てるのが、オトクということも分かりました。逆に、6月頃は市況価格がお安く、ご近所の直売所でもお安く入手できる時期。これを考慮して、収穫ピークが7月以降になるようにメリハリ付けて育成するのが、おサイフ的にも美味しいです。



