空と山と暮らし

パラグライダーと山歩きの記録、ときどき家と暮らし。

生成AIでブログを動画化してみた(Sora vs NoLang)

日本語版のNotebookLMがリリースされた時に、以下の記事を書きました。

NotebookLMは、無駄に長文な私のブログを要約してくれるだけでなく、高度な検索もできて非常に役立っています。論文を入力した場合にも、ハルシネーションがほぼ無く質疑できるのが良いですね。

今では、NotebookLMがコーディングとチャットに次ぐ私の生成AI利用トップ3になっています。そして今回は、ブログを動画化することに生成AIを使ってみました。

目次 ─

動画シフト

最近のインターネット界隈は、文字の文化から動画シフトが進んでいるようです。確かに、私も栽培系や筋トレ系の情報を得るときには、文字ベースの情報ではなく動画を視聴する方が多くなりました。畑仕事やトレーニングで体をどのように動かすのか、百聞は一見に如かずですからね。

これ以外にも、車でラジオ代わりに聞ける解説系/ニュース系の動画も重宝しています。聞くだけならPodcastでも良いですが、なにしろ動画サイトはコンテンツの質&量が圧倒的。皆が動画に集まるから、動画制作者がお金をかけてコンテンツを作り、更に人が集まるという循環が生まれ、動画シフトが加速している状況です。

 

そんな時代に、我がブログは完全に文字ベース。もちろん、世の中には文字のニーズも残っていますし、文章を書くことが苦でない性格なので、日記がてら続けているわけです。ただ、少しは時代の波に乗ってみようと思い立ち、ブログを動画化してみることにしました。

YouTubeチャンネルを用意する

動画サイトは、素人が作成した動画を投稿するならYouTube一択でしょう。10年前は他にも選択肢がありましたが、今ではネットワーク効果YouTube一強と言っても過言ではありません。

ちなみに、私は2015年5月にYouTubeチャンネルを開設していまして、以前はピアノの練習動画なんかを習熟確認のために定期アップしていました。ですが、10年前は動画投稿に手間がかかり、次第にチャンネル更新が延び延びに…。当時もPC直結のUSBカメラがあればお手軽だったかもしれませんが、手持ちのデジカメで動画撮影していたため、動画の取り込みや音声結合など、かなり面倒だったのです。

 

さて、古いながらもYouTubeチャンネルは作成済みですので、今回は昔の動画を整理して、このチャンネルにテスト動画を投稿してみることにしました。

問題は動画の作成方法です。10年前のYouTuberデビュー(?)時も、結局は動画の作成が面倒になってやめてしまったので、今回はできるだけお金を掛けずに、そしてお手軽に作れる方法を検討してみることにしました。

 

今どきの動画作成は、やはり生成AI。では、何を使うのか…?

Sora?

今年2月15日に発表されたOpenAIのSoraが、今週(12月9日)に正式リリースされました。

発表から一般公開まで10ヶ月を要していまして、想像以上にプレビュー期間が長かった印象です。動画の影響力は文字より格段に大きく、OpenAIはチャットのハルシネーション対策以上に、動画生成のチューニングに労力を費やしたのでしょう。その影響か、生成できる動画に様々な制限が掛けられています。しかし、コイツは今後の動画作成のやり方を変える力があると思います。

とは言え、現時点でブログの動画化に向いているかといえば、そうではない。

 

まずデータソースとなるブログ画像と文章の入力ですが、画像はSoraのスタート画面の「Upload Image」から登録して、動きをつけるのは簡単でした。ただし、最大20秒までという制限があるのと、とにかく今はサイトの動画生成キューが混み過ぎて時間がかかる。

これで数分の動画を作るのは、忍耐力が要求されます。まぁ、ここは自動ツールを作れば、「ブログ画像をアップロード」~「ランダムに動画生成」を繰り返すことが無人化できると思います。

 

問題なのは文章。Soraにブログの文章をまとめる機能は無く、Sora以外のサービスで動画のための台本を生成する必要があります。その台本を20秒以内に区切って音声データを作ったり、先述のブログ画像を動画化したものとマージしたりする必要があります。

・・・うん、かなり面倒だな。これだと1ページ試したら力尽きそうで、とても長続きしそうにありません。

 

将来的にブログを動画化するようなニーズが増えれば、省力化された動画生成の統合環境のようなものが作られると思いますが、今はかなり手間がかかります。

ということで、Soraでのブログ動画化は一旦保留にして、将来のサービスのエンハンスを待つことにしました。

NoLang?

お手軽さを最優先にサービスを検討すると、AIスタートアップ「Mavericks」が提供するNoLangが出てきます。

このNoLangは、今年3月に日本発動画生成AIと銘打ってリリースされたサービスです。実は既にユーザ登録済だったのですが、無料クレジットで少し試した後は放置状態でした。

というのも、動画生成AIと謳っているものの、生成AIで動画そのものを生成しているわけではないからです。(何のこっちゃ)

 

少しNoLangで遊ぶと分かるのですが、生成AIとして動作しているのは文章の要約と音声化、あとはそれに合った画像(動画ではない)の生成のみ。BGMや背景は作成済みのテンプレートから選択し、動画はそれらを繋ぎ合わせているだけです。

もちろん、文章を要約して台本にしたり画像生成したりできて、ここには生成AIの技術が使われています。ただこれは既に枯れつつある技術であって、核心の動画生成は技術として世界に追いついていなかった。このため、当時は興味が薄れてしまったのです。

 

しかし、改めてブログの動画化という実用面で考えると、NoLangは技術面で最先端ではないものの、こなれた技術のため安定しており、そしてニーズに合致したサービスだったのです。動画作成の手番は非常に少ないし、なにより生成が圧倒的に速い。1つのブログページが数秒で動画になるのです。恐らくNoLangの設計者は、この使い勝手を考えて、生成AIの使いどころを厳選したんだと思います。

 

また、無料で動画が作成できることもポイントです。課金することで、1ヵ月に作成できる動画が増えたり、動画の背景を変えたり、アバターの絵を動画に入れたりできるのですが、標準機能のみで月3~4本のブログを動画化する程度なら、無料プランで対応可能です。これはテスト導入しやすい。ということで、今回はNoLangでブログを動画化してみることにしました。

 

なお、生成AIで作成した画像を使うのは、著作権的に微妙かもしれないという気がしていまして、今回はブログに掲載した写真や画像のみを指定して、動画を生成しています。つまり、生成AIを使っているのはブログ文章の台本化/音声化だけで、画像すら生成AIを使っていません。もはや生成AI動画と言えない気もしますが・・・まぁ良いでしょう。

ブログを動画化してみた

NoLangは簡単に動画を生成できることを売りにしており、作成手順をまとめる必要がないレベルでお手軽です。それくらい、誰でも簡単に動画が作成できます。

Chrome拡張をインストールすると、ブラウザでブログを表示した状態から、ワンクリックで動画が生成されて数秒後に動画の再生が始まります。

動画サイトにアップロードする時に注意するのは、自動生成の画像の権利関係と、投稿時にNoLangの著作権表示を入れることくらいでしょうか。

 

なお、NoLangの動画作成には一人語りモードと対話モードの設定があり、そこに登場するアバターも自由に選択することができます。今回は、会話形式の方が分かりやすいと思い、対話モードに設定してみました。アバターはデフォルトのままだと他の人と被りそうなので、NoLang推奨の組み合わせパターンの後ろの方の設定にしてみました。あとは、動画生成のテストと分かるように冒頭に注釈ページを入れたり補足を入れるなど、台本を少し調整しています。

 

動画作成のソースは、最近ブログ記事にした「SwitchBotのCO2センサで空き巣に不在がバレる?」と「JXVエアコンの故障で体感した設置位置の大切さ」です。これで3~4分の動画を生成してみました。

 

実際に見てみましょう。

音声は正直言って、ぎこちないです。英語の生成AI音声の品質に比べると、やはり日本語はもうひと頑張りといった印象です。AI界隈は日進月歩ですので、このあたりは将来に期待ですね。

音声に改善余地ありですが、長文ブログの内容が短時間にまとめられていて、動画としては見やすいです。NoLang、なかなかできる子。

 

もう1つのブログは、最初は一人語りモードも試したのですが、やってみると単調になりがちで、結局は1本目と同じく対話型の動画にしました。

こちらも音声のイントネーションが微妙な箇所があります。(アバターを変えてテストしてみた方がよかったか?)

ただし、内容としては長文ブログが要約できています。いやぁ、お手軽さがハンパない。

 

改めて、動画をWebアプリだけで簡単に作れてしまう時代になったことに驚きです。逆に言うと、こういう技術によって、今回のテストのようなジャンク動画が溢れてしまう問題も生まれそうですが、それを選び取ってくれるAIもできるはず。

この界隈は変化が激しいので、しばらく動画生成AIの動向を追ってみようと思います。

 

[追記] NoLang2.5で再作成

ブログをアップしようとした12月12日、MavericksからNoLang 2.5をリリースしたとメール通知が入りました。今週はGoogleもGemini 2.0を発表しましたし、怒涛のAI週間ですね。NoLang2.5のリリースノートには「感情豊かな最先端音声読み上げソフトのボイスを使用可能に」とありましたので、もしかしたら音声品質が上がっているかもしれません。これは、試してみるしかない。

 

確認すると、新たに6人のアバターが追加されています。新しいアバターを指定してブログから動画を生成し直すのが本来で、そうすると台本の言い回しも新アバター向けに最適化されます。ですが、今回は前動画との比較のためとクレジット節約のため、生成済の動画を編集ページで開き、アバターの音声を変えてみました。(うっかりBGMも変えてしまった…)

できればアバターの年齢は元動画に近い方が言葉遣いの違和感が無いのですが、新たな男性キャラが1種類だったため、おじちゃんキャラは諦めてお兄さんキャラになっています。

 

ボイス変更した動画がコチラ。

おぉ! メチャ自然になってるじゃん。

 

まだ若干の違和感はありますが、言われなければ人間がアテレコしたと勘違いするレベルです。(当然ながら私がアテレコするより1万倍良い)

いやぁ、最近の技術の進歩のスピードは本当に速い。こんなに動画が簡単に作れるようになったら、今後の動画業界はオーサリングのスキルは不要になって、今以上に内容と宣伝力の勝負に集中していきそうです。

ということで、私は内容の濃そうなブログネタを書き続けることにしたのでした。

紅葉の丹沢を歩く

11月16日と12月1日に今シーズン3回目と4回目の紅葉登山に行きました。2回とも丹沢を縦走していますので、2週間の変化を比較しながらまとめてみます。

─ 目次 ─

ロケーション

1回目に登った山は鍋割山で、  神奈川県秦野市山北町と松田町の境にある標高1,272メートルの山です。この山は「鍋焼きうどん」が有名で、今回も山小屋の開店前から長い行列ができるほど繁盛していました。

鍋割山は大倉から時計回りのループコースで歩きました。

 

2回目に登った山は塔ノ岳で、こちらは、神奈川県秦野市山北町清川村の境にある標高1,491 mの山です。塔ノ岳は古くからの信仰登山で有名ですね。

こちらは電車とバスを利用して、ヤビツ峠から出発して最後は1回目と同じ大倉に下りるルートで縦走してみました。

 

1回目 往路:大倉~鍋割山

涼しい季節になりましたが、鍋割ルートは沢沿いでコケがいっぱい。苔マニアに嬉しいルートです。

二俣の登りルートはスタートは針葉樹が多く、一番の見どころは山頂近くの落ち葉でした。

紅葉に埋まって、枕木のようになった木道を歩けるのが楽しい。

 

そのまま登り詰めて鍋割山に着きました。鍋割山荘の開店1時間前に着いてしまい、これは早すぎたかもと思いテーブルでまったりしていましたが、開店30分前には「鍋焼きうどん」の行列ができまして、少し早いぐらいの到着で正解でした。

曇りで涼しかったので、温かい鍋焼きうどんが、ホント美味しい。

 

ちなみに、下の写真は11年前のもの。

見た目も味も変わらぬ鍋焼きに、オーナーのこだわりを感じます。

 

1回目 復路:鍋割山~大倉 (バカ尾根)

下山は通称バカ尾根。花立(標高1,300m)を過ぎると紅葉が満開でした。登りより下りのルートの方が、広葉樹が多くて紅葉が映えますね。

 

ただし一本松(標高765m)まで進むと、紅葉というか、なんだか新緑の雰囲気。

標高の違いで色々と楽しめますね。

 

駒止茶屋で鹿に出会えました。まだ紅葉が始まっていない緑の標高まで下りてきたのでしょうか。冬に向けて葉っぱをモリモリ食べています。

丹沢の鹿は、警戒心がメチャ低いです。食事中で申し訳なかったですが、口笛を吹いたら振り向いてくれました。

 

1回目 おまけ

下山後に大倉でアイスを頂きました。11月というのに暖かく、まだアイスが美味しい山行になりました。

 

2回目 登り:ヤビツ峠~塔ノ岳

12月1日は、バスでヤビツ峠まで登りました。登り口の表丹沢登山口は標高776mと高いです。標高は1回目の丹沢の一本松とほぼ同じで、前回は新緑のようでしたが、2週間で紅葉ピークになりました。

表丹沢ルートは、塔ノ岳に向かって、富士山を見ながら快適な稜線歩きができるルートです。いつ来ても良い。

 

12月初日は今回は天気も良く、途中でパラグライダーにも会うことができました。

最後に丹沢を飛んだのは6年前。登山者を横目に軽々と塔ノ岳をトップアウトして上昇するグライダーを見ていると、また丹沢でも飛んでみたくなりました。

 

最後に階段の登りを進むと、塔ノ岳に到着!

今年は初冠雪が遅れましたが、雪のバランスが良い綺麗な富士山が見られました。

 

2回目 下り:塔ノ岳~大倉

登り口の様子から想像はついていましたが、前回は緑一色だった一本松の周辺が、2週間で綺麗な紅葉になりました。山は標高差を利用して紅葉が長く楽しめるのが良いですね。

 

雑事場ノ平の分岐で、前回とは逆の大観望ルートに進みました。久々のルートでしたが、なんと倉高原山の家が2022年に解体されており、大倉高原テントサイトができていました。

広々していて、とても雰囲気の良いテン場。コーヒーでゆっくりしました。煮沸が必要ですが水場もあり便利そうです。いつか泊まってみたいな。

 

大倉からはバスで渋沢駅へ。駅前の目利きの銀次で次の雪山談義をして電車で帰宅です。

関東近辺の山なら、まだ紅葉はありますが、今年の紅葉登山はこれで終わりかな。

 

今回の山歩きの詳細記録はこちら。

SwitchBotのCO2センサで空き巣に不在がバレる?

9月に先行予約していたSwitchBotのCO2センサが10月13日に届きました。それから色々と試して11月の1ヵ月分のデータが蓄積できましたので、今回はこのCO2センサについて記事にしておきます。

─ 目次 ─

測定ファースト

仕事柄、「測定できないものは、改善できない」というワードをよく聞きます。ピーター・ドラッカーの言葉として紹介されることもありますが、元ネタは品質管理の祖であるウィリアム・エドワーズ・デミングと言われています。デミングは1946年にニューヨーク大学の教授になっており、1950年に同大学教授になったドラッカーの先輩ですね。

デミングの著書に、以下の記述があります。

It is wrong to suppose that if you can’t measure it, you can’t manage it – a costly myth.

センテンスの途中に「if you can’t measure it, you can’t manage it」という冒頭のワードが出てきますが・・・前後の文章をしっかり読むと、実は言いたいことは逆ですね。

Google翻訳

測定できないものは管理できないと考えるのは間違いであり、高くつく誤解です。

とはいえ、デミング博士も測定できるデータが不要と言っているわけではなく、測定できるものは定量管理しつつ、測定できないものは管理方法を考えろと言っているのです。つまり、回りまわって測定できるってことは大事。

・・・という、PDCA/OODAのテンプレ話を踏まえつつ、私も室内環境の管理のために、測定できるものは測定+記録する派です。

 

我が家では、今までもSwitchBotの温湿度計、開閉センサ、プラグ(電流計)やHEMS (AiSEG2)を利用して、データを取得し記録しています。このデータがあることで、思い込みに依らない空調管理や省エネ化ができます。ただし、CO2センサだけは測定値を記録できないデバイスを使っていました。今のデバイスもCO2濃度の表示やアラート通知はできるものの、測定したデータを取り出す手段がないのです。もちろんデータ収集できる機種もありましたが1万円以上と高価で、そのコストを払うほどのCO2濃度の不安が無かったこともあって、見合わせしていたのです。

SwitchBot CO2センサ

そこへ新たに登場したのが、安価なSwitchBot CO2センサ。(↓ 公式サイトの写真)

SwitchBotなら、間違いなくデータ収集/記録ができます。ここホント大事。ただ、家にCO2センサは2台もいらないので、古いものは無駄になります。熟慮の末に、もし妻に「またオモチャ増えた?」と言われたら、デミング博士のせいにしようと決めて、割引中の先行予約販売に申し込んだのでした。(博士、トバッチリすまん)

 

SwitchBotの公開仕様を見ると、CO2センサと言いつつ温湿度も測定/表示できます。NDIR方式のCO2センサモジュールを搭載しているため、温度補正のために温度測定は必要ですが、表示するかはコストのトレードオフで判断の分かれるところ。このデバイスのプロデューサーは、CO2濃度を知りたい人の大半が温湿度も知りたいことをよく理解しているのでしょう。

これなら今リビングに置いているSwitchBot温湿度計と交換して、余った温湿度計を水耕栽培レタス用の温室の飽差(VPD)測定に使えます。そんなことを考えながら、10月の正式販売を待ちました。

CO2センサがやってきた

右側が、我が家にやってきたSwitchBot CO2センサです。

左側が古いCO2センサ(こちらもNDIR方式)で、新/旧で微妙に数値が違いますが、校正機能のあるSwitchBotの方が正確だと思います。また、古いCO2センサは充電中になぜか湿度が高く表示されたのですが、SwitchBotはそもそも充電がなく、数値が安定しています。ロガーとしての機能面だけでなく、測定という基本機能もSwitchBotの方が良いです。

余ったCO2センサは、捨てるのも忍びないので、TV会議で籠りやすいDEN(私のリモートワーク部屋)に置くことにしました。

 

さて、SwitchBot CO2センサの使い方ですが、電池 or USB電源を接続してスマホ連携するとSwitchBotハブミニに繋がり、後は勝手に測定&記録が始まります。手間はかかりません。SwitchBotの情報はスマホのホーム画面のウィジェットでも表示でき、下図のように、温湿度計には無かったCO2濃度[ppm]が追加されていることが分かります。

いや、ホントお手軽ですね。

 

11月末まで放置してログを見ると、CO2が大きく変動していることが分かります。

11月の全区間のCO2濃度の平均は636.7ppm、最低が401ppm、最高が931ppmでした。外泊して不在だった日のCO2濃度410~420ppm位が私の住む地域のベースCO2濃度ということでしょう。

今までのCO2センサは就寝後の値が分かりませんでしたが、記録が取れると全区間の状況が分かって良いですね。とりあえず、建築物環境衛生管理基準(CO2濃度1,000ppm以下)や新提案基準(外気+700ppm以下)は満たしていて、我が家の換気は問題ないようです。

このデータがあれば、省エネのために第1種換気の換気量をもう少し絞ってみる、という実験もできそうです。また、我が家は2Fでトマト栽培をしているので、植物の育成に適したCO2濃度(≧500ppm)のコントロールができるかもしれません。更に、例えば停電のテストとして24時間換気を止めて、CO2濃度がどう変化するのか/窓を開けてどの程度で回復するのか検証しておくのも面白いかもしれません。

 

ちなみに、CO2濃度は人の存在によって大きく変動します。人が多いとCO2濃度が900ppm以上に上がり、不在になると400ppm付近までガクッと落ちます。上図の11月初旬にグラフが大きく下がっている箇所は、11月2日~4日の3連休に北関東へ二泊三日の旅に行った日(紅葉の那須岳を歩く)です。11月下旬に下がっているのは、11/23日~24日に伊豆へ一泊二日の旅に行った日です。また平日にも、不定期の出社日には400ppmへの下パルスができています。外出した日数に応じて凹みサイズが大きくなっていて、在宅状況がかなり正確に掴めることが分かりますね。

 

さて、ここまではお馴染みの「試してみたブログ」でした。では、少し踏み込んでみましょう。

SwitchBot BLEのADデータを拾う

まず、自作の環境ロガーをカスタマイズして、Raspberry Pi Zero WからBluetooth経由でCO2データが取得できるか確認しました。(SwitchBot WebAPIはクラウドへのアクセス回数制限があるため、環境ロガーはローカル環境内からBLEでデータ取得しています)

SwitchBot CO2センサのBLE仕様は、まだ公式のSwitchBotAPI-BLEサイトに情報無し(24/11/30時点)ですが、既に作成済みのメータ系デバイスの仕様から、だいたい推測できます。そして、以下のようにBroadcast MessageのAdvertiseで送信されるManufacturer dataのオフセット[7:8]で、CO2濃度が取得できることを確認しました。(温湿度は他のMeter系のbotとフォーマット共通でした)


# メータ系共通Manufacturer data情報
def parse_meter_mnf(v):
    return {
        'type'  : 'meter',
        'seq'   : v[0],
        #'RFU1' : v[1],
        #'RFU2' : v[2] & 0xf0,
        'temp10': (1 if v[3] & 0x80 else -1) * ((v[3] & 0x7f) * 10 + (v[2] & 0xf)), # -127.9~+127.9[℃.]
        'humi'  : v[4] & 0x7F,              # 0-99[%]
    }

# CO2センサ
def parse_CO2(mnf, srv, size):
    if len(mnf) != size:
        g_logger.error("CO2: size error %s(%d)", mnf.hex(), len(mnf))
        return

    ret = parse_meter_mnf(mnf) | { # Meter共通のmanufacturer data解析
        'type'  : 'CO2',
        'CO2'   : mnf[7] * 0x100 + mnf[8],      # 0-65535
    }

    #if len(srv) > 5: # CO2は他のmeterとService data書式が違う
    #   ret |= parse_meter_srv(srv) # オプショナル追加(残電池容量など)

    return ret
 

暗号化なしで容易にデータ取得できることは過去デバイスから想像がついていたのですが、やはりCO2センサも同様でした。


(blepj) test1@raspi:~/envlog $ python switchbot.py
22:27:15 [switchbot] Mini-PC={'type': 'plug', 'seq': 164, 'on': 1, 'over': 0, 'power10': 8}
22:27:15 [switchbot] 暖炉電球={'type': 'bulb', 'seq': 199, 'on': 0, 'level': 100, 'net': 2}
22:27:15 [switchbot] DEN-PC={'type': 'plug', 'seq': 78, 'on': 1, 'over': 0, 'power10': 170}
22:27:15 [switchbot] リビングCO2={'type': 'CO2', 'seq': 9, 'temp10': 241, 'humi': 50, 'CO2': 623}
22:27:16 [switchbot] シャッタ={'type': 'contact', 'batt': 0, 'door': 0, 'light': 0, 'pir': 131071, 'hal': 25354}
22:27:16 [switchbot] レタス温室={'type': 'meter', 'seq': 110, 'temp10': 233, 'humi': 58, 'batt': 100}
22:27:16 [switchbot] 屋外温度={'type': 'meter', 'seq': 78, 'temp10': 157, 'humi': 36}
    :

上記コマンドで、動作中のCO2センサの画面の表示(623ppm)と同じ値が取得できること(5行目)を確認できました。

 

自宅で自分のCO2センサの値を見れることには、特に疑問を抱かないと思います。ですが、注意しないといけないのは、この情報が暗号化なしのBluetooth BLE AdvertiseデータとしてCO2センサから常にブロードキャストされているという事と、CO2センサの精度が高いため在宅状況がかなり正確に分かる、ということです。

 

・・・勘の良い方なら、既にお気づきかと思います。

 

そう、街中でBLEパケットを収集し続けてCO2濃度が一定以下のデバイスが見つかったら通知を出す「不在チェッカー」端末が、簡単に作れてしまうのです。

 

空き巣に不在がバレるかも

ここで今回のタイトルに繋がります。

もしSwitchBot CO2センサーを、特に対策もせず道路側のLDKに置いておくと、空き巣が「不在チェッカー」を持って道を巡回することで、今まさに不在のお宅が分かってしまいます。

 

もちろん、住民が屋外にCO2センサを置いて外気をモニタしている可能性はあり、空き巣も屋内データであることに確信は持てませんし、家が密集していればどこのお宅のBLEパケットなのか特定しづらいです。ですが、このあたりはBLEのRSSI(信号レベル)を追うと推測できてしまいます。帰宅直後でCO2濃度が低い可能性もありますが、しばらく待ってCO2濃度が低いままならその心配もなくなります。さて、どうしましょうか。

一番確実なのは、CO2センサを電磁波シールド(アルミ箔)で囲う事ですが、これではロガーとしての機能が発揮できません。屋内だけに電波が届くような微調整ができれば良いのですが、これはなかなか難しいです。他に何か良い手はあるでしょうか?

 

案1:ゴールデン・レトリバーを飼う

あるいは、ベンガル猫や大きなカピバラでも良いでしょう。たぶん、カブトムシはダメです。人と同レベルの呼吸でCO2濃度が上がるまで育成しましょう。注意点は、ペットと一緒にお出かけするのはNGということです。

 

案2:シャッターを閉める

幸いなことに、我が家の場合は掃き出し窓のシャッターを閉めたら、道路からBLEスキャンできなくなりました。ただ、これはあくまで手持ちのRaspberry Pi Zero Wのアンテナでのテストであって、空き巣が高感度のアンテナを用意したら見つかるかもしれません。

あと気を付けないといけないのは、外出時に必ずシャッターを閉める必要があるという手間と、外出時だけ必ずシャッターを閉める習慣がありそれに気づかれると、それこそ空き巣にシャッターで不在がモロバレになるというデメリットです。(逆に言うと、もともと外出時のみ必ずシャッターを閉める人は、今回の不安は関係ないということ)

 

案3:在宅時にも窓を全開にして空き巣を攪乱する

あきらかに在宅なのに常にCO2が低いお宅なら空き巣もおかしいと思って侵入をあきらめるかもしれません。ただ、夏冬は暑さ寒さをしのぐ必要がありますし、常にCO2濃度が低い環境にするなら、そもそもCO2センサを置く意味がなくなりそうです。

 

案4:CO2センサの校正機能を使って、数値を底上げする

SwitchBotのCO2センサは、手動でCO2濃度を校正する方法が用意されています。これを利用して、400ppmが700ppm位になるように底上げ調整します。この場合、画面に表示されるCO2濃度を頭の中で読み替えないといけないというデメリットがありますが、データロガー主体でセンサを使うなら、ロガーソフト内で底上げされたCO2濃度を逆変換するように計算しておくことができます。今のことろ、これが一番簡単かも。

 

他に何か良いアイデアはあるかな?

 

まぁ、今はまだSwitchBot CO2センサの普及度が低すぎて、空き巣も在宅チェッカーを使う気が起こらないでしょう。(甘いかな?) とりあえず、CO2センサが普及するまでに対策しておけばよいかと思います。

・・・

もともとSwitchBotは外からミニプラグを勝手にOff/Onされるセキュリティリスクがあり、重要機器の電源の使用には慎重にならざるを得ませんでした。今回は犯罪被害に直結する可能性もありましたので、改めての整理になりました。この手の機器は、リスクと利便性から利用を判断しましょう。

JXVエアコンの故障で体感した設置位置の大切さ

先月の話になりますが、夏用エアコンが故障してしまいました。三菱電機の保守員さんが故障の1週間後(10月3日)に来られて無事に直りましたが、残暑が続く時期にバックアップの冬用エアコンで対応することになったのです。そこで、改めてエアコン設置位置の大切さを体感しましたので、バックアップ運転時の2階の温湿度の実情を含めて記事にしておきます。

─ 目次 ─

我が家のエアコンと運用

我が家にはエアコンが2台あります。1台は夏の冷房/除湿用 霧ヶ峰 で、2階ホールに設置しています。もう1台は冬の暖房用 ノクリア で、1階畳スペースに設置しています。基本的には夏冬にどちらか1台の運用で家中の温湿度を安定させており、残り1台は故障時のバックアップになります。

エアコンについては過去に10件以上の関連記事を書いてきましたが、今回はエアコン設置位置や運用方法もポイントになりますので、改めてエアコン/空調設備の構成をまとめておきます。

 

夏の運用

夏は冷房+除湿のために、階段&吹き抜けの2階ホールに設置した三菱電機製 霧ヶ峰 MSZ-JXV2223を使用します。

日射遮蔽が適切な今どきの高気密高断熱住宅は、エアコン1台で家全体の温度をコントロールすることが可能で、相対的に湿度コントロールに重きを置くことになります。我が家も、高コスパと言われる断熱等級6.5(HEAT20 G2.5)相当の断熱性能があり、温度管理は容易です。

湿度は、ピアノ保全のため、不在時でも相対湿度40%~60%を維持することを狙っています。室温25℃環境の相対湿度60%は絶対湿度13.8g/㎥ですので、外気の絶対湿度が13.8g/㎥を超える6月の梅雨時期~10月の残暑までエアコン稼働することになります。

エアコン運転を始めたら、快適性を求めて相対湿度のターゲットを45%~55%に狭めてコントロールしています。

除湿を十分に行うために、大きく3つのポイントで検討しました。

  1. 換気(必要な除湿量が変わる)
    換気には家全体が対象の24時間換気と、特定空間が対象の局所換気があります。我が家は24時間換気として、湿度コントロールしやすい全熱交換式の第1種換気を採用しました。
    トイレ・浴室・キッチンの局所換気は熱交換の対象外になりますが、トイレは使用時のみ動作するセンサ式の高気密電気式シャッターファンで空気の過剰な入れ替えを抑制しています。浴室も同様ですが、普段は風呂CFを真似て脱衣所上部に設置したCIRCULIGHT (サーキュライト)で室内循環換気をしているため、基本的に外気と換気しません。キッチンは同時給排レンジフードのため、外から流入する水分はそれほど拡散せず、多くはフード付近をまわって屋外に戻ることになります。
    このような構成により、潜熱が交換される第1種換気の熱交換を通る空気の割合を高めて、除湿が必要になる水分量を低減しています。

  2. エアコン(除湿能力が変わる)
    高気密高断熱住宅のエアコン制御は、気温の低い梅雨時期や夜間に十分除湿できるかが肝になります。我が家は、低温時でも除湿できる再熱除湿機能付きで、それでいて消費電力が比較的小さい三菱電機 霧ヶ峰JXVの6畳用エアコンを採用しています。
    霧ヶ峰の再熱除湿は少しクセがありますが、昨年の記事「11月にエアコンで除湿!?」の通り「体感=ON、除湿調整=50%、風量=静」にすることでJXVが必要に応じて自動で再熱除湿に入ってくれます。このお手軽な設定のまま、半放置で連続運転しています。
    再熱除湿機能が無いエアコンでも、1Fエアコン(暖房)と2Fエアコン(冷房)のペアで2台再熱除湿ができますが、コントロールが煩雑になるのと、制御により1台再熱除湿に比べて消費電力が増えますので、やはり再熱除湿付きエアコンにするのが簡単です。

  3. エアコン設置場所(除湿範囲・除湿量が変わる)
    エアコンは、除湿した空気を家中に広く行きわたらせる場所、かつ除湿前の湿った空気をエアコン(上部)から取り込める場所に設置するのが良いです。我が家はF式全館冷房のセオリー通り、2階ホールにエアコンを設置しています。
    空調計画では、第1種換気のメインSA(空気吹き出し口)×3が2階に、RA(空気取り込み口)が床下(玄関ガラリ/掃き出し窓ガラリ)と1階奥の洗面所にあり、2階から入った外気がエアコンで除湿されて1階に流れるようになっています。1階でも料理・食洗器・洗濯乾燥機・浴室で水蒸気が発生しますが、これらは暖かい空気のためエアコンの冷気と入れ替わりに吹き抜けを上がり、吹き抜けホールに設置したエアコンに吸い込まれることになります。これで家全体に除湿した空気が循環します。
    空調は部屋の仕切りが増えるとコントロールが難しくなりますが、我が家は基本的に大部屋の作りで、扉があってもトイレ以外は基本的に開放で暮らしています。この点も、2階ホールのエアコン1台で家中の空調ができているポイントと思います。

エアコン設定は、温度=25.5℃、湿度=50%の固定です。風量は基本的に最弱の「静」ですが、盛夏の昼だけ風量を上げていく運用です。この風量もエアコンが自動で適切にコントロールしてくれると楽なのですが、JXVは「静」で安定しにくく、ここだけイマイチなところ。(吹き抜けホールにエアコンを設置しているため、JXVの「ムーブアイ」がうまく床温度を測定できていない可能性あり)
風量を自動化したい場合は、SwitchBotなどのセンサと組み合わせて制御するのが確実です。JXV2223は標準で無線LAN+HEMS対応なので、Web画面で機器制御できるHEMS端末(AiSEG2等)があれば、自作ソフトからWeb制御でエアコン内部の温度を取得したり、室温設定/風量設定ができます。エアコン内部温度が不要ならSwitchBot APIのみでリモコン制御もできます。(ニーズがあれば、RasPiで動作するSwitchBot BLE+AiSEG2のデータロガー兼Webアプリを公開します。プラグインで自動機器制御ができます。)

 

冬の運用

冬はLDK横の畳スペースに設置した富士通ゼネラル製 ノクリアAS-Z282Mを使用します。東京の冬は快晴の日が多く、南東面の日射取得型窓には日の出から朝陽が入って暖まります。このため、冬のエアコンは日差しが無い日や夜間の冷え込み時に間欠で運転しています。

冬も換気やエアコン設置場所が重要です。また湿度管理という観点ですと、冬は加湿器も考える必要があります。以下、冬向けに検討した4大ポイントです。

  1. 換気
    夏と冬の換気は最適解が違いますが、換気の動的な変更はハードルが高く、我が家の換気ルートは夏冬で同じです。(Panasonicの第1種換気は冬に換気回数が0.5回/時→0.3回/時に下がるので、換気動作に多少の差異はあります)
    換気ルートは夏と同じですが、空気が暖まりやすい2階に第1種換気のメインSAがあるため、外気(冷気)は2階の空気と徐々に混ざりながら、吹き抜けを通って1階に下りることになります。
    冬に注意すべきは冷えやすい1階ですが、1階エアコンで温まった空気は、一部は吹き抜けを上昇して2階へ行き、一部は1階玄関ガラリ&掃き出し窓ガラリから床下に入って家の対角にある第1種換気のRAダクトまで床下を通ります。そして残りの空気が1階を保温します。
    このバランス調整はなかなか難しいのですが、我が家では1階の方が2階より1℃ほど暖かくなりがちになりました。空気質が悪化しない範囲で、第1種換気の風量(6段階で調整できる)を絞れば均一になりますが、まぁ1℃差なら許容範囲でしょう。(サーキュレータなら簡単ですが、1℃を均すために風を起こして体感温度が下がるのは本末転倒)

  2. エアコン
    冬用のエアコンは除湿考慮がいらないので、夏より選択肢が広いです。ただし、夏のバックアップ機として位置付けるなら除湿考慮も必要で、我が家は念のため暖房用エアコンも再熱除湿できるノクリアにしました。(ここはリスク/コストの判断が分かれるところ)
    熱負荷の計算上は6畳用エアコンでも可でしたが、最終的にはマージン多めの10畳用を選定しています。当初は200VでCOPが高い14畳用を検討していましたが、熱負荷計算するとマージンが大き過ぎるかつ価格も高いので、マージンほどほどの10畳用になりました。100Vコンセントなら測定器なども融通しやすくて良いです。

  3. エアコン設置場所
    2022年の設計当初は、注文住宅シリーズ③でも記載した通り、足元の暖かさを期待して床下エアコンも検討していました。我が家を建てたヤマト住建は建築事例に床下エアコンがあり、何なら床下エアコンを推していた過去の雑誌記事もありました。ところが設計士さんとの打ち合わせで「床下エアコンは可能だが、今は非推奨」と聞き、私なりに考えた末に一般的な壁掛けエアコンにしました。
    ハウスメーカは、トラブル事例があると安全側に倒すバイアスが強めにかかりますので、メーカ保障されない床下エアコン設置が微妙になってきたのかもしれません。そこをあえて突っ込むほどの床下コダワリが私に無かったのと、電気代を考えると床下エアコンの方がネガティブだったのと、部屋の暖かい空気がガラリを通って床下に流れる排気ルートで無垢床が冷えにくい空調設計ができましたので、寒くて困ることは無いと判断しました。このあたりは、快適性とコスト/リスクのトレードオフになりますので、優先度によって変わってくると思います。
    なお、壁掛けエアコンですと、どうしても配管の熱ロスを気にして外壁側にエアコンを付けたくなりますが、我が家は快適性を優先し、暖房に最適であったLDK横の畳スペース(内壁)に設置しています。内壁ですと隠蔽配管をやりがちですが、メンテコストを抑えるためにトイレを通る露出配管にしています。(配管はDIY収納棚に収めて普段は見えない作りにしました)

  4. 加湿器

    冬ならではのポイントは加湿器。昨年12月までは暮らしの工夫で湿度管理できそうだったため「加湿器はいらない…?」という記事を書きました。しかし、最終的には長期不在時の湿度低下や、湿度40%以上ではなく50%超えを狙いたくなったことから、必要な加湿性能を満たすダイニチ工業HD-RXT723を購入しています。(詳細は「冬の高気密高断熱住宅で狙う湿度レンジ」)
    期待する湿度が高くなければ、暮らしの工夫で加湿器は不要になると思います。

冬のエアコン運用はあまり難しい設定は無く、室温が下がってきたら「室温=23.5℃、風速=強」でスタートするだけです。エアコンは起動直後(30分程)の消費電力が高くなりますので、厳冬期はエコキュートの運転が終わる14時過ぎ(太陽光が残っているうち)にエアコンをONして、過剰に蓄熱させることもあります。
加湿器は部屋の湿度が50%を切る時期になったら、湿度設定=50%で自動運転します。もともと湿度が高めになる暮らしですので、乾燥気味の時だけ使うことになります。

この運用で、冬も家全体を22℃~24℃、湿度50%以上を維持しています。エアコン間欠運転の冬は連続運転の夏に比べて温度範囲が少し広いですが、電気代の兼ね合いでこれぐらいが丁度良い塩梅と考えています。

 

この環境で1年半を問題なく過ごしてきたのですが、なんと2階のエアコン霧ヶ峰が突然9月末に故障してしまったのです!(前置きが長いな・・・)

エアコンの故障と修理

今年の夏も順調に動いていたJXV君。9月後半に外気の絶対湿度が12g/㎥を切りましたので、連続稼働を停止しました。しかし、その3日後に再び絶対湿度が14g/㎥を越えましたのでエアコンを再稼働したところ、スマホアプリにエラー通知が表示されました。エラーを見ると「エラーコード:6840」と表示されています。

ネットでトラブルシューティングを調べると「内外接続線の緩み・誤配線の確認」です。うむ、これは素人が手を出さない方が良いな。

ちなみに我が家は、1階エアコンはヤマト住建に設置してもらっています。しかし、2階エアコンはエアコンスリーブと電源だけ用意してもらい、エアコンは住宅引き渡し後にネットで購入し、エアコン取り付けは高気密高断熱住宅の施工スキルがある業者さんにお願いしました。これは初期コストの観点で自己取り付けの方が安価だったからですが、ハウスメーカ取り付けであればトラブル時に丸投げで終わります。ここも利便性とコストのトレードオフになりますね。

ということで、今回壊れた2階エアコンは自分でメーカ修理依頼することになりました。

幸いなことに、三菱電機のエアコンアプリは保守窓口への連絡先も分かりやすく、依頼はサクッとできました。残暑の残る9月は作業員が繁忙で即対応ができず、1週間後に訪問修理に来てもらっています。エアコンを調査いただくと、エラーコードの通り、室内機と室外機間の接続線の送受信がエラーになっていることが分かり、最終的には室外機のメイン基板を新品に交換していただいて直りました。ついでにガス圧などもチェックしてもらいましたが、他は特に問題ありませんでした。無料修理で新品に変えてもらった上に点検までしていただいて、三菱電機のサポートには大感謝です。

さて、修理は上記の通り無事に終わったのですが、エアコンが直るまでの1週間が大変でした。

エアコン修理までのバックアップ

我が家は夏冬にそれぞれ1台のエアコンを稼働し、使っていないエアコンはバックアップとして待機しています。今回は夏用の2階エアコンが故障しましたので、1階の冬用エアコンで残暑を乗り切らないといけません。

1階の冬用エアコンも再熱除湿付きノクリアを選定しましたので、除湿性能は心配ありません。また、床下エアコンではないので、冬用エアコンで冷房運転することに特段のリスクもありません。このあたり、実際にエアコン故障を体験すると、設計士さんの提案通りに壁掛けエアコンにしておいて良かったです。Kさん、ありがとう!(今回のようなトラブルを考えると、床下エアコンを使うなら、バックアップとして床下以外のエアコンを設置して3台体制にするのが良さそうです)

 

さて、こんな早く(購入から1年半で)エアコンが止まるとは想定外でしたが、バックアップ機が控えていますので、慌てずに運用の切り替えを開始します。棚にしまっていた1階エアコンのリモコンを引っ張り出して、ノクリア初の冷房オン・・・してみましたが、想像以上に2階の空気が動かない!?

 

エアコン設置位置の重要性

以下のスクリーンショットは、修理前日に一番暑くなったお昼の温湿度ログ。

曇り日でしたが、残暑の猛暑日となり、外気は31.2℃・絶対湿度17.14g/㎥です。この外気が室温25℃の屋内に入ると湿度は74%ですので、カビ/ダニのリスクが高まります。もちろん通風で何とかなるレベルではなく、バックアップのノクリアの頑張りに期待です。

上図の通り1階に限っては、リビング・洗面所とも25.5℃(±0.3℃)に収まり、湿度も46%と49%で、しっかり冷却して除湿も効いています。しかし2階の寝室は26.9℃で、湿度も57%に高止まりしています。逆に床下は24.1℃まで下がり、湿度は61%になってしまっています。暖房時に玄関や掃き出し窓へ暖気を通りやすくしてコールドドラフトを緩和しているため、冷房の空気は更に床下に入りやすくなったと思われます。まぁ、床下のコンクリ上はもともと冷えやすいので、最大の問題は2階です。

1階で冷房すると温度が分離しやすいのは、理解していました。私も四半世紀のフライト経験で、逆転層は大気が安定してしまうことを、イヤというほど経験しています。ですが、水分は絶対湿度の勾配に向かって移動するため、湿度は均一化しやすいと考えていました。しかし、上図の絶対湿度を計算すると、1Fリビング=11.1g/㎥、2F寝室=14.6g/㎥で、外気17.1g/㎥よりマシですが、水分の上下移動も限定的と言わざるを得ません。瞬間的な話ではなく、数時間放置しても変わらないのです。このデータは興味深い。

 

なにはともあれ、2階の温湿度を下げるため、扇風機2台を引っ張り出して階段の上下に置いて攪拌したり、普段はトマト栽培の日当たりのために開放している2階の窓のシャッターを閉めて日射遮蔽をしたりと、てんやわんや。(ある意味、テンション上がって楽しかった)

良く見ると、エアコンの消費電力も2階エアコン運用時の2倍以上(540W)になっています。1階は設定温度まで冷えると暖かい空気の流入が少ないので、無駄にエアコンの再熱除湿が動くのでしょう。

・・・

今まで、実際にエアコンが故障するまでは、1階エアコンがバックアップになるため、2階エアコンが壊れても大丈夫と思っていました。しかし、エアコンの設置位置でこんなに変わるんだと体感し、所詮バックアップは緊急対応に過ぎないと理解しました。恐らく、エアコンは機種選定以上に設置位置の方が大事です。

 

また、単に「エアコンが2台あるから故障時にバックアップ運用できる」と思っているだけでは、スムーズに対応できることになりません。やはり災害訓練のような実地テストが必要だと思った次第です。

 

なお、今回のイベントで2階エアコンが故障したときの状況が分かったのですが、もし1階エアコンが冬に故障したらどうなるのか。もし課題があるならどのような対策ができるのか、余裕がある時に試しておくのが良いなと、強く思ったのでした。

 

お決まりのハッシュタグを書いて終わります。(ヤマト住建の公式アンバサダーになった経緯はコチラ

#ヤマト住建公式アンバサダー

紅葉の那須岳を歩く

11月4日に今シーズン2回目の紅葉登山に行きました。今回は那須連山(茶臼岳・朝日岳・三本槍岳)を縦走していまして、2024年11月初旬の那須の紅葉状況の記録になります。

─ 目次 ─

ロケーション

那須岳は、栃木県那須郡那須町にある茶臼岳(標高1,915m)および朝日岳(標高1,896m)と、栃木県那須塩原市福島県西白河郡西郷村の境界にある三本槍岳(1,917m)からなる那須連山を指します。

三山の中では、日本百名山に選ばれている茶臼岳が一番知名度があります。しかし、一番標高が高いのは、実は奥まった場所にある三本槍岳だったりします。せっかく登るなら三山巡りということで、今回は北温泉から反時計回りで縦走してみました。

北温泉~スダレ山

スタートは北温泉手前駐車場。ここから北温泉まで5分ほど下がり、そこから山道に入ります。登り始めにいきなりの紅葉!

今回はスタート付近(標高1,200mくらい)が紅葉のピークでした。

 

山の中腹を過ぎると紅葉はほぼなくなります。かわりに苔が増えてきました。

苔マニアには嬉しい登り道です。

 

そして本日最初の小ピーク、スダレ山。

山頂が木々の無い岩山で、しかも快晴というコンディション、見晴らしがメチャ良かったです。

スダレ山~三本槍岳

スダレ山から西方向を見ると、左手に朝日岳とその奥に茶臼岳、右手に次のピークの三本槍が視界に入ります。今日歩く山々が全て見えますので、全体の規模感が掴めますね。

さて、ここまでは紅葉と苔の快適な登りでしたが・・・スダレ山から三本槍岳に向かうと霜柱が融けたぬかるみが彼方此方にあり、なかなか難儀しました。

 

そのぬかるみを越えて、三本槍岳に到着。ここが本日の最高峰です。

珍しい8角形の山名盤がありました。標高が高いだけあって、遠くまで見通せます。

三本槍岳~朝日岳

標高の高い三本槍からは、次の朝日岳が見えます。

ズーム撮影すると、人がいっぱい立っているのが分かります。大人気の山ですね。遠目でも岩々した山と判別できます。

 

朝日岳に向けて稜線を歩いていると、ぬかるみが次第に減り、だんだん歩きやすくなります。

朝日岳の手前からは、今まで後ろに控えていたラストピークの茶臼岳も見えるようになりました。

 

登山道をズームしてみると、ぬかるみが無いどころか、もはや水成分が無い。同じ那須連山なのに、凄い変化です。

歩いている人がヒマラヤのキャラバンのようで、ヤクが出てきそうな雰囲気です。

 

遠目で見た通り岩々した山を登っていくと、朝日岳に到着。山頂にはミニ鳥居がありました。

次の茶臼岳とセットで撮影。相変わらず良い天気です。

朝日岳~峰の茶屋跡避難小屋

朝日岳からの下りが、今回一番のテクニカルコースでした。

山道はしっかりあり岩登りレベルではないですが、鎖場から朝日岳方向を見上げると、岩感がハンパない。

 

峰の茶屋跡避難小屋に着いたら本日の昼食です。

朝日岳を見ながらラーメン。秋は温かいラーメンが美味しい。

峰の茶屋跡避難小屋~茶臼岳

小屋からは茶臼岳へのルート全体が見えており、山頂まで歩いて30分弱と近いです。

山頂には那須岳神社の祠がありました。今更ながら、安全登山の祈願をしておきます。

 

御釜を回ってロープウェイ方向の山頂口に行くと、こちらは本物サイズの鳥居がありました。

鳥居越しの雲海に感動・・・。

茶臼岳~北温泉

最後はロープウェイで下りる手もありますが、今回はルートに余裕がありますので、峰の茶屋跡避難小屋に戻り、スタートの北温泉駐車場まで徒歩で下山しました。

登りと同じように、標高1,200mまで下りてくると、紅葉が満開。

稜線は紅葉が終わっていましたが、初手と締めで紅葉が見られて、紅葉的にも満足な山行になりました。良かった~。

 

おまけ

帰りに北温泉から車で10分程にある、鹿の湯に寄りました。1,300年の歴史があるとのこと。

那須温泉 鹿の湯l千三百年続く静寂と癒しの湯

こちらは一風変わった温泉でして、入浴前のかぶり湯200回が指定されていて、その後は41℃~48℃まで2畳ほどの湯舟に3分間ほど浸かっていくというスタイルです。石鹸は使用不可で、かぶり湯と高温のお湯のみでリフレッシュしていくことになります。シンプルな分、500円/人とリーズナブルでした。

 

お約束通り、かぶり湯を約200回した後に順番にお風呂に入ってみました。41℃、42℃、43℃までは丁度良い塩梅でしたが、44℃から温かいというより熱いに変わってきます。43℃を超えると細胞のタンパク質が変質し始めると言われますので、体が危険を察知してアラームを出すのでしょう。

44℃の次からは1℃刻みではなく、なぜか2℃アップの46℃。メチャ熱ですが、なんとか3分間入れました。46℃までは最大4人まで自由にお風呂に入れますので、途中で誰かが雑に出入りすると対流で熱さアップするという罠があり、要注意です。

 

最後の48℃ゾーンには、常連(?)の番人が鎮座していました。曰く、「48℃は熱すぎて危険だから、一人づつ最大3分交代で入りましょう」、と。

良く見ると、壁にも波を立てるのは危険と書いた貼り紙があるではないですか。46℃でギリだったのに、48℃にイケるかなと一瞬考えましたが、せっかくの機会ですので、順番待ちに並んでみました。

 

順番が来て決死の思いで48℃に入ると、熱いのは当然ですが、なんか肌がチクチクと痛い。この状態で誰かが波を立てて入ってきたら、確かに危険だ!

と、妙に納得しながら、3分間粘ってみました。最後に湯舟から上がる時に手に力が入らず、ここが本日(登山含めて)最大のデンジャラスゾーンでした。

 

・・・

 

何とか温泉の試練を突破して、最後は チーズガーデン 那須本店を訪れました。

お土産の御用邸チーズクッキーを購入して、チーズケーキサンデーを頂きます。

 

 

登山後ということと、激熱温泉を終えた安堵感もあってか、冷たいアイスが体に染みわたりました。またもや、登山して何故か太っていくパターンだな。


今回の山歩きの詳細記録はこちら。