空と山と暮らし

パラグライダーと山歩きの記録、ときどき家と暮らし

燕岳で大晦日&お正月

大晦日からお正月にかけて、今シーズン初の雪山登山に行きました。厳冬期の燕岳は2回目で、お正月に登ったのは初めて。幸運にも初日の出を拝むことが出来ましたので、今回はそのことを書いてみます。

─ 目次 ─

ロケーション

燕岳(つばくろだけ)は長野県大町市と安曇野市の境にある標高2,763 mの山で、日本二百名山に選定されています。

実は明治時代まで、燕岳から大天井岳にかけての稜線全体は屏風岳と呼ばれていました(立大町山岳博物館 研究紀要,第5号,p93)。確かに安曇野から見上げると、花崗岩の真っ白な稜線が美しい屏風のようにそびえ立っています。

現在の燕岳という名は、ツバメに似た雪形が現れることに由来します。大正4年(1915年)に長谷川如是閑が『日本アルプス縦走記』でこの雪形の燕岳を紹介し、その6年後の大正10年7月15日に赤沼千尋氏が燕の小屋を開業。そして屏風ではなく燕が山名として浸透しました。

複数の呼び名がある山は日本各地にありますが、地域ごとに定着している呼び名を統一するのは容易ではありません。今となっては、肝心の雪形がどれか判然としない「燕岳」が「屏風岳」を塗り替えて定着したのは、それだけ人々にしっくりくる魅力的な名前だったからでしょう。

赤沼千尋氏の燕の小屋は、昭和5年に燕山荘(えんざんそう)に改名し今に至ります。2021年に100周年を迎え、今年は105年目。今回はこの長く愛されてきた山小屋に連泊して、燕岳に登頂しました。

燕岳への一般ルートでのアプローチは、東の合戦尾根ルート、南の大天井岳ルート、北の餓鬼岳ルートがあります。今回は、北アルプス三大急登の一つに数えられる合戦尾根ルートで登りました。

なお夏季の合戦尾根は麓の登山口「中房温泉」からスタートできますが、冬季は槍ヶ岳矢村線の宮城ゲートが閉じられるため、宮城ゲート下の有明山神社(登山者用駐車場)がスタートになります。有明山神社から中房温泉まで距離12km、高低差800mを登り、その後に三大急登が始まるというタフなルート。早めの行動を心がけましょう。

有明山神社~燕山荘

今年も有明山神社からスタートです。昨年は駐車場に雪が積もっていましたが、今回は暖冬なのか宮城ゲートまで来ても雪がありません。下図は去年との比較写真。

ということで、今年はアイゼン無しで中房温泉までの12kmを歩けました。

 

中房温泉からはアイゼンを装着して三大急登である合戦尾根を登ります。登り始めは雪が少な目でしたが、第1ベンチ以降はしっかり積雪あり&トレースありで歩きやすい雪山でした。合戦小屋までは平和そのものでしたが、森林限界を超えると予報通りの強風が吹きつけます。途中で吹雪いてきてしまいましたが、ルートには誘導の旗が立てられていて、迷うことなく燕山荘に到着できました。稜線に出た後の爆風が尋常ではなかったですが、無事に着けてよかった~。

燕山荘で年越し

燕山荘に入ると、年越しの飾りつけがお出迎え。小屋内はストーブがフル稼働で、外とは別世界の暖かさ。

そして、ぬくぬくの食堂でお昼ご飯のチキンカレーを頂きます。あぁ、生き返るとはこのことか。

燕山荘の部屋は3人部屋の半個室になっており、今回はその3人部屋に2名で連泊することができました。空いたスペースに荷物も置けて助かります。

そして夕食。冬山でハンバーグが食べられるだけでも有難いですが、大晦日は年越し蕎麦とお屠蘇付きというスペシャルメニュー。本来お屠蘇はお正月ですが、お酒を飲んで下山することがないようにと、小屋スタッフの心配りです。

夕食後は現オーナーである赤沼健至さんのお話&ホルンを聴くことができました。オーナーは冒頭で述べた赤沼千尋氏の孫にあたります。山小屋を永く続けるための努力や新しい試み、特に雷鳥やコマクサにかける情熱をヒシヒシと感じました。通常の消灯時間は20:30ですが、大晦日は消灯時間が延長。スタッフ紹介や紅白歌合戦&ゆく年くる年を見て、皆で年越しカウントダウンで賑わいました。この大晦日の燕山荘の雰囲気を味わえただけでも、吹雪の中を登ってきた甲斐があるというものです。

燕山荘で初日の出

あけましておめでとうございます。朝食は、お雑煮や午年かまぼこやミカン付きのお正月仕様。燕形のニンジンもありました。加えて、赤沼さんからお年賀まで頂いてしましました。大切にします。

朝食を終えて外に出てみると・・・おぉー地平線に雲が無い!これは期待できそうです。

皆でジーっと南東の空を見つめていると・・・おぉぉ、初日の出ー! 昨日の吹雪が嘘のように晴れて、日の出が見れちゃいました。

北に目を移すと、雪の燕岳がモルゲンロートに染まる…!みなさん初日の出の写真を撮りまくり。本当に良い日に来られました。

燕山荘~燕岳(ピストン)

2日目は余裕があるので、小屋に戻って晴れ正月のほのぼの時間を味わいつつ、登頂の準備。荷物は小屋にデポできるので、食料だけ持って身軽に燕岳へ向かいます。ぱっと見は穏やかに見えますが、実は2日目も強風。地面が露出している場所は、雪が付くことすらできない吹きっさらしの爆風だったりします。燕岳は最後に急登がありますが、空身なので楽ちん。

そして急登を登りきると・・・着いたーー!

振り返ると、槍ヶ岳&大天井岳ーー!雪を被った槍ヶ岳と大天井岳の迫力がハンパない。

あまりにも神々しいその景色に、50分程山頂を堪能してしまいました。去年は山頂でまったり登山が多かったですが、やはり余裕がある登山は良いですね。

燕岳からの復路は、ずーと槍を見ながら歩ける幸せコース。途中で、眼鏡岩やいるか岩を撮影しつつ燕山荘に帰還。良い登り初めになりました。

燕山荘でお正月

小屋に着いたら、お昼ご飯。

すいすいパスタに、たらこバターをかけてみました。美味しい。

午後は燕山荘のお餅つきに参加!恐らく正月に日本で一番高い場所で搗いたお餅。合いの手は4代目の赤沼大輝さん。

こんな雪山で、自分が搗いたお餅を食べられるという贅沢。あぁ、今年も燕山荘に来てよかった。

その後はまったりして夕食。連泊するとメニューがチキンステーキとエビチリになるという配慮が嬉しい。2日目の夜もお屠蘇を頂けました。1月1日の夜からは20:30が消灯時間になります。明日の下山に備えてお休みしましょう。

燕山荘~有明山神社

最終日も行程にゆとりがあるので、まったり準備。2人で書初めイベントにも参加してから出発しました。1月2日は雪予報で青空はありませんでしたが、これが想定外に穏やかな天気。

おそらく最後に小屋を下山し始めたのが我々で、静寂の稜線歩きを楽しめました。振り返ると見納めの燕山荘。名残惜しいなぁ。

そして無事に有明山神社に下山したのでした。下山ついでに初詣もしちゃいました。今年も安全登山できますように!

おまけ

下山後は有明山神社から車で7分のしゃくなげの湯へ。ここは中房渓谷から引湯されたアルカリ性低張性髙温泉です。

1月2日は祝日とおもいきや、平日扱いで600円/大人。サウナや炭酸泉もあり、コスパ高いです。

その後は松本のマイ2大ステーキ店の1つ、カナディアンロッキー南松本店へ。お正月に開店してくれて、ありがとう!2名なのに3名分を頼むというお決まりコース。お腹が空きすぎて食事前に写真を撮り忘れたのですが、完食前に気づいて撮影。ここのカナディアンとガーリックの熟成ステーキはメチャ柔らかな上にお安くて、登山後の食事に最適です。松本に来たらまた寄ります。

 

今回の山歩きの詳細記録はこちら。