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「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅を住みこなす住まい方ガイド」まとめ

前回記事の最後に、国土交通省が「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅を住みこなす住まい方ガイド」を公開したと書きました。(執筆は一般社団法人「環境共生住宅推進協議会」)

省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅を住みこなす住まい方ガイド

このガイドは「高機能な住宅の性能を発揮させる 25 のポイント」が列挙されており、その内容をざっと確認しましたので、我が家の暮らしと照らし合わせながらブログにまとめてみることにしました。

─ 目次 ─

はじめに

前回も書いた通り、この手引きは「断熱性能等級6以上の断熱性能を有する住宅を対象」としています。我が家はいわゆる断熱性能等級6.5相当で該当ですが、日本では断熱性能等級6以上の性能の家はまだ少数派です。断熱レベルによって暮らし方が大きく変わるとはいえ、この足切りは少々乱暴な気がしますが、今後はこの性能の住宅を増やしていくという国交省の意気込みもあるのでしょう。なかなか大胆な割り切りです。

資料冒頭の「カーボンニュートラル」については、最近は炭素をバランスさせる意義が少し懐疑的になってきた感もありますが、少なくとも家の高断熱化や太陽光発電で石油・ガスの輸入を減らすことは日本のエネルギー安全保障に寄与する(=暮らしの安寧につながる)ことになりますし、何より家庭のお財布に優しい。ということで、無理せずに省エネにできるなら、取り組むのが良いでしょう。

ちなみに私は、昨年3月まで低気密低断熱の平屋賃貸に住んでいましたので、それまでに根付いた知識や行動がまだまだ残っています。このガイドは、そのリフレッシュの一助になると期待しています。では早速25のポイントを見てみましょう。

 

①,②夏の日射遮蔽

暑い時期は日差しを遮断すべし、という提案ですね。我が家は南面の1階/2階に軒+樋を90cm出して日射遮蔽をしていますが、軒だけでは時期・時間によって遮蔽が難しいです。南面は1階/2階とも電動シャッター付き窓ですので、日射がキツイ場合はシャッター制御で完全遮断もできますが、そうすると閉塞感が出てしまいますので、その中間が欲しいところ。このガイドでは、すだれや外付けブラインドが提案されています。

ただ、すだれは強風時に不安があるのと、外付けブラインドは高価という課題があります。我が家としては第3案として、2階吹き抜けの256cm幅窓への「全面網戸」がその解になるかも、と妄想しています。というのも網戸だけでも30-40%の日射軽減効果があるためです。

武田雄二(2003), 網の日射軽減効果に関する研究

網戸ならシャッター内側にサッシで固定できますので台風などの爆風でも安心ですし、とても安価です。外に出るときに片面の網戸を外す手間がありますが、そもそも夏は窓の開け閉めがほぼ無いので、2階だけなら問題ないはず。

現実的には、昨年は庇で日射遮蔽できない時間は適度に2階シャッターを閉めたのと、1階も庇で遮れない角度にトマト/キュウリ/オクラが高々と茂っていたこともありエアコンだけで快適でして、現時点では追加対策が不要な見込みではあります。

また、今年は濡れ縁にバーゴラ(キウイ用棚)をDIYする予定ですので、1Fの防御力が更に上がるはず。2F全面網戸は将来的に東京の夏が更に暑くなってたときの切り札として取っておきましょう。

 

・・・まだ項目2つ目なのに、悪い癖で文章が長くなってしまいました。25項目ありますので、以降は手短に書いていきます。

③冬の日射取得

寒い時期は日射取得のためにカーテンを全開して日射を取り入れるべし、という提案です。我が家はカーテン開放はもちろん、南面に日射取得型の窓を設置したことに加えて、冬の間は網戸も外して日射取得率をアップしています。恐らく、この③については、これ以上の改善は難しいかな、といったところです。

④春秋の日射調整

これは、中間期に①~③をバランスよく調整すべし、という提案です。ここで、ブラインドに加えて、サンシェードも登場しました。庇では日射が遮れない時期ですので、サンシェードがお手軽ですね。ウチも、1Fバーゴラにキウイが茂るまでは、バーゴラにタープを張るのも良さそうです。

⑤冷暖房の連続自動運転

高効率なエアコンで連続自動運転すべし、という提案です。夏は本当にその通りで、最近の再熱除湿エアコン(我が家は霧ヶ峰 JXV2223)ですと、湿度50%設定にしてF式エアコン運用の連続運転をすれば梅雨~夏にかけて簡単に1日中快適になります。エアコンを止めると24時間換気で湿気が流入しますので、夏にエアコンを止めることはないですね。

ただ冬は少し疑問がありまして、日射取得している朝から午後にかけては、正直エアコンを止めた方が省エネになっている気がするのです。一応エアコン起動時に電気が多く使われることは理解していますので、太陽光が発電しているギリギリにエアコンがスタートするようタイマーはセットしています。

この提案では日射取得の時間でもエアコンをオフオンせず、完全自動でつけっぱが良いということですので、来年の冬に実燃費を比較テストしてみましょうか。(完全自動モードで冬前の時期に日射取得していると、勝手に暖房から冷房モードに変わってしまうのでは、という危惧もありますが…)

⑥エアコン設定を控えめに

高気密高断熱住宅はエアコン設定を控えめにすべし、という提案です。これは確かにその通りで、壁や床/天井の温度が室温に近くなる効果でしょう。輻射熱による冷温がないため、室温控えめでも体感温度は快適になります。むしろ下手にエアコン設定を強くすると、夏は寒すぎ、冬に暑すぎ状態になりますので、これは快適性を求めると意識せずとも設定が控えめになると思います。

⑦エアコンの定期メンテナンス

フィルター掃除と室外機の設置場所の工夫をすべし、という提案です。我が家のエアコンは自動お掃除機能が付いてしまっていますが、これに頼らず定期的にフィルター清掃もしていますので大丈夫でしょう。梅雨時期冷房のフィルター増し増し時は、あえて掃除しないという選択肢もありそうですが、これは例外ですね。

⑧除湿

夏はエアコンを除湿モードに切り替えるか除湿器を使うべし、という提案です。我が家では再熱除湿エアコンを使っていますので前者での対応ですね。気を付けるとしたら、室温が下がり気味な時は適度に日射取得して、できるだけエアコンの再熱が動かないように工夫する事でしょうか。このあたりは手間と省エネのトレードオフになります。

⑨湿度が高い時は窓を閉める

初夏から夏にかけて湿度が高い日は窓を閉めるべし、という提案です。これは当然ですね。絶対湿度が15g/㎥を超えるレベルになったら除湿が必要で、エアコンか除湿器を動かすことになります。その時に窓を開けて外の湿った空気(水分)を取り込むのは無駄な負荷を増やすことになってしまいますので、当然クローズです。

⑩加湿

冬は加湿すべし、という提案です。洗濯ものの部屋干し、加湿器の稼働、観葉植物の設置など例が書かれており、加湿器と観葉植物は実施済です。ただ、洗濯の部屋干しは稀にしかやっていません。というのも、ドラム式で乾燥までやるほうが衛生的でタオルもふっかふかだし、なによりボタン1発で楽ちんという圧倒的メリットがあるためです。洗濯乾燥も太陽光の発電をしている昼にやれば電気はタダみたいなものですからね。ということで、これからも観葉植物の蒸散をベースに、必要に応じて加湿器が良いかなと考えています。

そうそう、例として記載はありませんでしたが、エコキュートの凍結防止も兼ねて、冬はお風呂のお湯貯めをしており、これも高い加湿効果がありますので、今後も続ける予定です。

⑪内部ドアの開放

各部屋の内部ドアを開けて少ない台数のエアコンで家中を暖冷房すべし、という提言です。我が家も基本的にトイレ以外は常時開放で、仕事部屋(ビデオ会議中)と脱衣所(入浴中)だけ日に数回ほど扉を閉める運用です。その他のドアは月に1回閉めるかどうかというレベルで提案の通りの運用になっており、エアコンは夏と冬にそれぞれ1台稼働で十分でした。ということで⑪項に対しては、特に追加アクション無しです。

⑫夏の扇風機やサーキュレーターの活用

夏は扇風機やサーキュレーターで家の温度差を減らし、また暑さの個人差を解消すべし、という提案です。我が家は妻より私の方が暑がりで、風呂上がりなどは扇風機を活用して空冷していますので、既に提案を実施済と言えますね。今後としては、私が涼しくしたい場所にピンポイントで扇風機を増設するくらいと思われます。

⑬冬のサーキュレーターの活用

サーキュレーターや小さな暖房器具を併用して家中を暖めるべし、という提案です。我が家は温度均一化のためのサーキュレータは使用していないのですが、加湿のために風呂/洗面の空気を循環する目的で洗面所に2つのサーキュレータを設置しています。(洗面所の天井から浴室への送風と、洗濯乾燥機横からLDK側への送風)

これは温度というより湿度管理が目的ですが、潜熱を移動させているという意味では⑬項の実践と言えるのかもしれません。

⑭24時間換気は24時間動かす

24 時間換気を常時運転すべし、という提案ですが・・・これは当然のことですね。わざわざ記載するということは、敢えて止めてしまう人が多いということでしょう。換気量は人数条件等で0.5回/h以下に抑えるのもアリと思いますが、0はNG。止めずに動かしておきましょう。

⑮⑯外気が快適な場合は窓を開ける/熱がこもったら窓を開ける

外気が心地良く感じるときには積極的に窓を開けて風を取り入れるべし、という提案です。これは皆さん意識せずに実施しているのではと思いました。

むしろ、直感(温度差だけ)で窓を開けてしまい、実は外気を取り入れたものの快適にならないケースに要注意という印象です。具体的には、蒸し暑い梅雨時期に外気湿度が過剰に高いのに涼しさを求めて窓を開けてしまう 、あるいは春先に外気湿度が低いのにオーバーヒート対策で窓を開けて過乾燥を加速してしまう(日射遮蔽の方が良い)といったことです。このあたり「快適」な外気というものを直感(や気温)だけで見るのではなく、湿度等の空気質等も含めてデータを見て、窓の開け閉めを判断するのがベターですね。

⑰⑱⑲⑳㉑災害時に高気密高断熱は有利 (太陽光利用/蓄電池利用/エネファーム/給湯器の活用)

これらの項は、暮らし方のアドバイスというより住宅設備設計に近い印象です。

東京は人が多すぎて大災害が起こると避難所はまともに機能しない可能性が高いので、我が家はできるだけ自宅避難できることを期待しています。地震等があっても家に継続して住むことができれば、⑱太陽光で通信手段/冷蔵庫/トイレなどの必需品を維持しつつ、水は㉑給湯器(エコキュート)の貯蔵分と、ご近所の防災井戸を利用して、食事は山/キャンプ装備と備品で凌ごうと妄想しています。

なお、⑲家庭用蓄電池/⑳エネファームは我が家に無いので、今はポータブル電源を太陽光で充電して対応になりますね。(ガス/水は電気以上に復旧に時間がかかるため、エネファーム(発電にガス+水が必要)は災害対策にならない気がします…)

 

家庭用蓄電池については、昔の電池は充放電500回で2年が寿命と言われ住宅用では使い物になりませんでした。最近のリン酸鉄リチウム蓄電池(e.g. EIBS7)でようやく15年保証に伸びました。ですが、太陽光のパワコンを15年で交換する程度ならアリですが、高価な蓄電池を15年で交換していくのはコスパが悪いです。EVのバッテリ発火事故とか見ると、家のそばに大容量のリチウムを置くのは災害時のリスクが増えてしまいかねないという危惧もあります。今後、さらに安全で寿命が長くコスパの良い電池ができるまでポタ電でのバックアップで凌ぎ、それまで技術ウォッチと考えています。

ちなみに、本命は全個体電池と考えていますが、半固体電池は既にリリースされています。従来の液系リン酸鉄リチウムと比べて、粘土系リン酸鉄リチウムは安全性が大幅に向上しているようです。

京セラ製クレイ型リチウムイオン蓄電池 - Enerezza(エネレッツ)

まだまだコストが下がるのは先だと思いますが、我が家のFITが終わるころまでに半固体(できれば、全個体電池)のコストが下がっていることを期待しています。

㉒室内外の温湿度を確認

より省エネ・快適な暮らしをするためには、まず室内外の温熱環境を知るべし、という提案です。これは⑮⑯の項に書いた通りで、直感とか経験というのは結構あてにならず、改めてデータで確認しましょうということです。我が家もスイッチボットの温湿度計で屋外と各部屋と床下の温湿度を常時モニタ/記録しており、窓開けの判断にも使っています。今は窓開けにちょうど良い季節ですね。

春先はまだ寒い日も多く、窓際の観葉植物や水耕栽培に悪影響がない外気温湿度かチェックしたうえで、光合成のために窓を開けることもできますので、データでのチェックは色々と有用です。

㉓カーテンの設置の仕方・開け閉め

カーテンレールの設置方法を工夫すべし、という提案です。これは同団体の令和3年の研究「カーテン等付属部材による開口部の断熱性及び日射取得性の影響についての検討事業」の事を言っていると思います。(3年前の研究成果のアピールのため、強引に25項にネジ込んだ感がありますな…)

我が家は遮光のためのカーテンは無く、今のところそれでも暑すぎることはないので、将来さらに暑くなった時に備えて検討でしょうか。カーテンがなくても、ハニカムシェードとレースカーテンで効果ありますので、恐らくカーテンを付けることは無い気がしています。

㉔季節に応じた服装で調整

一人ひとりの暑さ寒さの感じ方に応じて服装で調整すべし、という提案です。これは言わずもがな、どこのご家庭でもやっている気がします。我が家も暑がりな私は基本的に薄着で、特に高断熱住宅だから実施というものではなく、むしろ昔の賃貸の時代の方が、必要に迫られて服装で調整していたような気がしますね。

㉕植栽で日射調整

最後は、緑のカーテンなどで夏の日射しを遮り冬の日射しを取り入れるべし、という提案です。これは、敷地条件が合わないとなかなか難しそうです。

我が家は1階の掃き出し窓の前に菜園があり、今後はキウイ棚のバーゴラもDIY予定ですので、これらを活用して気長に取り組んでいこうと思います。

 

・・・

 

以上、全25項を駆け足でまとめてみました。なかなかのボリュームですが、全体としては良いポイントをついていると思います。何事もほっておくと我流になっていきますので、こういう情報を定期的に取り込んで自分の生活をアップデートしていくのはアリだと思いました。

 

お決まりのハッシュタグを書いて終わります。(ヤマト住建の公式アンバサダーになった経緯はコチラ

 

#ヤマト住建公式アンバサダー

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