空と山と暮らし

パラグライダーと山歩きの記録、ときどき家と暮らし。

注文住宅⑰ 電気関係チェックとスマートホーム(HEMS/Matter)

今回は注文住宅 - ローコストハウスメーカーで冬暖かく夏涼しい家を建ててみるシリーズです。

先々週の上棟から着々と建築が進んでいます。そして、ついに造りたてホヤホヤというか建設中の家に入り、電気関係のチェックをすることになりました。正直、電気チェックは気になる2点をお伝えするのみで、どちらかというと初めて家に入れるワクワク感の方が強く、そのせいで今回の記事は現場写真が多めです。

─ 目次 ─

家の変化

上棟日に屋根板や壁が取り付けされ建築会社の垂れ幕まで掛けられましたので、2週間程度では外観の変化は少ないのではと思っていましたが、実際に家に行ってみると色々変わっていました。大きくは、開口部に窓が入り、外壁に外張り断熱と気密テープが貼られているところまで進行していました。

窓はエクセルシャノン製トリプルシャノンで、なんと1Fと2Fの窓には既に電動シャッターも付いていました。窓と一体でメーカ工場から運ばれるようで効率的ですね。改めてシャッターをみると、想像以上にゴツイ。上側に20cm程度の離隔が必要と言われた意味が良く分かりました。

開口部に窓は全て付きましたが、バルコニードアだけは取付されずに脇に置かれていました。バルコニーは鋼板防水の施工が終わってからとのことで、全体が防水シートで囲われている状態。バルコニーからの眺望は今後のお楽しみです。なお、バルコニーには少し軒が出るのですが、実際にバルコニーに立ってみると、想像以上にしっかり軒が出ており雨除けはバッチリに見えます。まだ軒の天井が入っておらず木がむき出しで、なんか山の東屋みたいですが、これはこれで良い雰囲気で好きです。

もう1つ、外壁の方はアキレス製キューワンボードが全面に敷き詰められており、ボードの間を白い気密テープがピッタリ貼られていました。このため家の外観は上の写真の通り、一面銀色です。よく見ると壁と天井の間の斜めの隙間に発泡断熱材が吹かれていて、丁寧な施工に感謝です。壁のキューワンボードは赤外線高反射タイプのアルミ箔面材付きで、断熱性の向上に寄与(1℃)するらしいのですが、このアルミ箔は施工中の雨除けとしても良さそうに見えました。上棟後は今日まで1日も雨が降っていませんので、その間に家全体にキューワンボードと気密テープが全面に貼られると、雨の心配が軽減します。

家の中へ

次は家の中。大工さんが作業している横で、現場監督さんに案内と説明を受けました。壁の中が見える状態は建設中の今だけですので貴重な体験です。まず入ってみて一番感じたのが木の多さで、木造住宅ですので当たり前なのですが、木の香りもしました。SE工法なので木だけで組んでいるわけではなく接合部は金物が使われており、下写真の中央右あたりの火打梁(ひうちはり)に金物が見えていますね。

上棟日の搬入時から壁パネルには耐力面材と充填断熱のEPSが付いていましたので、壁が組まれるとそのまま綺麗に柱と間柱の間に断熱材が収まっています。気密ラインは外断熱でとりますので、こちら側は気密テープなどなくシンプル。屋根と壁の間の斜めラインは発泡断熱材が綺麗に吹かれていました。大工さん丁寧なお仕事ありがとうございます。

吹き抜けにはシースルー階段を設置予定ですが、これまた大胆なオープン階段だこと・・・。

・・・本物の階段が取り付けられるのは、かなり終盤のようです。今回はこの梯子で上下移動でした。シースルー階段が付くのが楽しみです。

吹き抜けは足場の板が敷いてあり、開放感は無いのですが、安全に吹き抜け窓にアクセスできるようになっています。この吹き抜けのH2200mm窓にはハニカムシェードを取り付け予定ですが・・・やっぱり高さがあるなぁ。ハウスメーカ指定のカーテン業者(ジアスさん)に頼むと足場があるうちに取り付けられるようなのですが、費用が高いのです。自己取りつけにしようか悩んでいますが…どうしましょう。いちおう、窓の周りの柱にカラビナが掛けられるリングを設置して、山岳用ハーネスでビレイを取りながらメンテしようと考えていたのですが、再考中です。

ちなみに、ボルダリング用のクライミングホールドを吹き抜けの壁に付けてはどうかとも考えましたが、現場監督さんから補強と取付金具のために10cm以上壁を吹く必要があると聞いてボルダリング案は見合わせです。

さて外壁の間柱を見ていくと、所々に間柱に切り欠けがあります(下写真の矢印位置)。ここにはevoltzという油圧ダンパーの制振装置が筋交いのように付きます。今回の家は長いL220が5本、短いS042が2本の計7本のダンパーが入ります。

もともと家は先ほど記載したSE工法とパネル工法で耐震等級3の長期優良住宅になっていますが、これに油圧ダンパーがプラスされることで更に安心感がアップ。ちなみに、この手の制振装置は効果が疑問視されることも多いですが、かの構造王 佐藤実先生も、制振装置を家に付けるなら小さな揺れから効くevoltzが良いとYouTubeで挙げられていましたので効果はあるはず。地震発生時の揺れが少しでも減れば気密部材の剥離のリスクも減りますし、長く性能が維持できる家になることを期待しています。

電気チェック

一通り家を探検し一息ついたところで、現場監督さんと今日の目的の電気チェックを開始しました。久々に設計士さんも来られて、4名で家の中を周りました。電気配線のチェックは、タブレット端末で1つ1つ見ていくのですが、簡単に拡大表示できますので紙より見やすいですね。チェックは1つ1つ記録されますし、変更点もリアルタイムにサーバ連携されますので、記録漏れの心配もありません。今どき当たり前なのかもですが、時代の進歩を感じます。

コンセントの位置は、キッチン背面の2口コンセント x3個の並びを見直し。将来幅広の冷蔵庫を購入した場合に備えて少しずらして、かつできるだけ等間隔に並べました。もう1点は階段場所の火災報知器の位置を見直し。火災報知器はエアコンから1.5m以上離す消防法の決まりがあるのですが、F式全館冷房では階段ホールにエアコンを付けるのがセオリーのため、階段ホールの火災報知器の取り付け位置が近くなってしまい気になっているのです。エアコンから遠い吹き抜け上部に取り付けてしまうと火災報知器が鳴った場合にアクセスしにくく、かといってホール上でエアコンから遠くの位置にすると、それはもはや階段ホールの場所と言えるのかという点が微妙で、設計士さんに壁付けや天井付けなど取付位置を再検討してもらうことになりました。

電気配線は、コンセントやスイッチ以外にも電動シャッター用の配線を確認しましたが、こちらはもはや移動できないですし、ここに付きますよという認識合わせ程度。

電動シャッターは上の写真のように電気配線が断熱材を貫くのが微妙だったのですが、配線周りにも吹付断熱を吹いて穴は埋めてくれていました。ただ、銅の電線が通りますので、熱橋になりそうな感じです。シャッターが付くと窓のUA値としては上がるのですが、必要な場所だけにしておくのが良さそうです。

HEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)

ちょっと横道に逸れますが、ハウスメーカさんではHEMSとしてPanasonicさんのAiSEG2(HOME IoT)を標準で入れてくれます。

このHEMSは、太陽光の発電と家庭内の機器類の消費電力を一目で確認できるため、省エネ住宅の運用を行う際の強い武器になります。私としてはメインはエアコン・換気システムなどの空調の省エネ・チューニングがメインですが、食洗器と洗濯機に水道ではなくエコキュートからの給湯を接続しており、このあたりのお湯の使い方の省エネ性なんかも計測できるのではと考えています。

最近はHEMS対応の家電も増えてきており、ハウスメーカ標準のエコキュートやIH機器の接続はもちろんのこと、オプション取付の1FエアコンもHEMS(のためのアダプタ)に標準対応です。しかしHEMS通信のためには家電にコスト高なWiFi等を搭載する必要があるため、必ずしも全ての家電がHEMSに対応しているわけではなく、特に普及価格帯のゾーンでは今でも未対応なケースが結構あります。

例えば、以前の注文住宅⑭ 空調の事前検討で記事にした2Fエアコンは、三菱電機 霧ヶ峰 MSZ-X2222Dが本命なのですが、この機種は標準ではHEMS対応していません。(オプションでは対応) このあたりは後述のMatterに密かに期待をしているのですが、現状を踏まえた対応が必要です。

このような接続性の課題はHEMSも考慮しており、直接家電と通信できない場合でも、スマート分電盤の電流測定で機器の消費電力だけは把握できるという機能があります。ありがたいことに、スマート分電盤の電流測定もハウスメーカ標準で対応してくれています。測定対象は必ずしも固定ではなく変更できるのですが、やはり変更には手間がかかるため、最初にある程度決めておく必要があります。ということで、HEMS未対応となる2Fエアコンのコンセントを消費電力測定対象にしました。1FエアコンはHEMS対応で不要ですが、将来安価なエアコンにした場合を想定して、ここのコンセントも消費電力測定対象にしています。その他ワットチェッカーなどが取付しにくい食洗器のコンセント等も消費電力の測定対象にしています。今回の電気チェックでHMES電力測定の設定も設計通りと確認できました。

AiSEG2のモニタやエコキュートの操作パネル、LDK周辺の照明スイッチはダイニング裏壁のリモコンニッチに集めており、このあたりの配置も合わせて確認。問題なしでした。

Matter Ver1.0?

これまた話が脱線するのですが、家の設計・建築中というタイムリーな時期に、スマートホーム向けの新たな通信規格「Matter」のVer1.0仕様公開というニュースが入ってきました。Matter自体は昨年にアナウンスされていましたが、ついに仕様・SDKが公開です。今後、様々な機器のMatter対応が広がるのではと期待しています。

今の戸建て賃貸でも、ヤマハサウンドバー(Alexa搭載)に声掛けしてテレビ、エアコン、ルンバとか動かしたり止めたり、SwitchBotで屋外や部屋ごとの温度・湿度をチェックしたり機器連動させたりしています。SwitchBotの機器だけでも便利なのですが、通信規格が統一されるとデバイスメーカの開発/評価コストが下がり販売の裾野が広がりますのでスマートホーム関連の参入者が増え、連動できる機器のラインナップが増えることが予想されます。なんなら、久々にArduinoやRasPIを引っ張り出して、自分でデバイス開発することもできます。Matter1.0の仕様書は上記ページから早速ダウンロードできました。

さて、このMatterの無線通信規格標準化団体 CSA(Connectivity Standards Alliance)のPromotersは大御所のメンツが揃っているのですが・・・

 

 

 

  (2022/12/16現在)

残念ながら日本企業が1つも入っていません。一昔前なら、ホームエレクトロニクスと言えばSONYPanasonic・日立・東芝など日本メーカが参画というか、むしろリードするような分野だったはずなのですが今や見る影もなし。GAFAは別格としても、スマホは「SAMSUNG」「OPPO」「HUAWEI」、家電は「Haier」「LG」などアジア勢も積極的に参画しているのに寂しい限りですね。
今回のMatterと競合するものではないのですが、日本の家には前述のHEMSがあります。ウチも太陽光・給湯機・IHなどの電力機器のほか、空調機・エアコン・玄関鍵・シャッターなど様々な機器が繋がります。ただ、HEMSは10年前のアライアンス結成当時から「機器間を接続する通信プロトコルの技術仕様の策定には取り組まない方針」という状況でして、様々な接続仕様がありますしメーカ間の相互接続性の保証が弱いです。
ちなみに、PanasonicさんのIoT/HEMSウエブサイトのシステム構成図を見ると

上部に通信規格を拡大表示しましたが、無線I/Fだけで6種類もあるという・・・。やむを得なかったのかもですが、HEMS機器の開発/評価はどうしてもコストアップになりますし、それは各家庭の導入費用の見積アップや、ひいてはHEMS普及の遅れに繋がります。MatterもZigBeeが前身とはいえ通信の物理層が限定されていないことから無線I/F決め打ちという訳にはならないのですが、少なくとも通信規格の統一で安価なスマートホーム普及に繋がればと期待しています。

ちなみに、私が特に注目しているのがMatter Promotersに入っているIKEA。お洒落なMatter対応照明や電動ハニカムブラインドが安価に出てくるといいな。

家の通信環境について

話は家に戻ります。このようなスマートホームで機器が連携する場合には、おそらく無線通信のハブとなるアダプタが必要になります。現時点では家の中央付近の壁の上部にコンセント+LAN/光ケーブルの口付きでONU/WiFiルーターが置けるサイズの機器ニッチを設けており、ここにスイッチ ボットのハブミニを置いて、赤外線リモコン型の家電を自動操作できるようにしようとしています。ルータやスイッチ ボットのハブミニは今も使っていますので、サイズや指向性も理解していますが、新しくMatter対応機器が出てきた時を見越して、現時点で備えておくことはあるのでしょうか。少なくとも赤外線よりは設置の自由度が上がると思いますので、今のハブミニ設置の考慮ができていれば大丈夫かなと考えていますが、ここは読めないですね。このあたり、既に検討している方がいれば情報を知りたいです。もし情報があまり無ければ、ブログで検討内容を書いてみようかと思います。

ちなみに、最近増えているガルバリウム鋼板の屋根やアルミ箔面材付き断熱材(キューワンボード等)を使用していると、LTE/5Gなど無線通信の電波強度が弱くなるという話があります。これはWANだけでなく室内WLANにも影響が出るかもしれません。このため、有線LANの口を1階に2か所と2階のDENに用意してみました。新しい無線規格が出てきても、このLAN回線があればなんとかなるのではと期待していますが、どうなるか。このあたりは長い目で見ていきたいと思います。

 

家を建ててみるシリーズ⑱へ続く

 

ひとつ前の家を建ててみるシリーズ⑯の記事はこちら。

家を建ててみるブログのシリーズ初回。