今回は注文住宅 - ローコストハウスメーカーで冬暖かく夏涼しい家を建ててみるシリーズです。
新築の基礎工事から1か月経ち、来週にはついに上棟(予定)です。気温が低くてコンクリートの硬化に時間がかかっているためか当初の予定より上棟が遅れる状況なのですが、ハウスメーカの営業さんからは予定通り3月引き渡しのままと連絡がありました。一抹の不安はありますが、気長に待ってみることにしています。
さて今回は少々気が早いですが、入居したあとに自分でやらないといけない空調関係の再整理をしてみました。
─ 目次 ─
空調について
今回家を建てているハウスメーカさんは、原則として施主支給がNGのため、設備は全てハウスメーカさんが調達して取り付けます。しかし一部の設備は入居後に自分で取り付ける必要があり、その選定をしておく必要があります。中でも大事な空調関連の以下2点が今回の検討の対象です。
・お風呂用のCFファン代替
・2Fエアコン
空調以外にも2F洗面やキッチン背面のカップボード(IKEA)も後付け予定があり、あまり急ぎではないですが、年度末の忙しい時に慌てないように少しづつ考えてみようかと。
お風呂用のCFファン代替
こちらは比較的簡単です。お風呂のCFファンは7月にも記事にしましたが、家づくり初期にブログで学ばせて頂いたオーブルデザインさんで使われている浴室換気の方式です。(CF(循環ファン) | 「緑の家」ブログ)
設計士さんからは「TOTOさんのお風呂のシステム構成にないCFファンは取付が難しい」ということで、代わりに扇風機を洗面所の壁に付けようかなと考えていました。当時検討していたのは(掃除が楽そうな)羽のない壁付けサーキュレータで、下記記事のアイキャッチ画像のものです。
当初はこの扇風機のために壁にコンセントと下地を付けてもらおうと考えていたのですが、照明計画をする中で見直ししました。
というのも、ハウスメーカさんはダウンライト9か所と引っかけシーリング7箇所まで標準で付けられるのですが、間接照明メインで照明計画を考えたため、シーリングライトの使い処に悩んでいたのです。外してもオプション減額無しなので、どこかに付けないともったいない。(貧乏性)
そんなときに、引っかけシーリングに付けられる面白いファンを発見。その名も「サーキュライト メガシリーズ」。ドウシシャさんの照明で、引掛けシーリングに吊って使えるサーキュレータなのです。
もっと大きいファンのEZシリーズや少し小さく人感センサ付きのSocketシリーズのサーキュライトもあるのですが、CFファンにはこのメガシリーズのサイズが良さそうかな。オプションで余っている引っかけシーリングにすれば壁下地やコンセント代が浮きますし、壁掛けファンより設置や清掃取り外し/交換がお手軽そうです。ということで、照明計画の時に、洗面所のお風呂寄りに引っかけシーリングのソケットを付けてもらったのでした。(下図の赤丸箇所)
風呂上がりの涼風としても使え、風量を上げればCFファン代わりにお風呂に風を送りこめそうな場所にしました。全館空調の除湿と合わせてこのCFファンもどきを使えば、お風呂のカビ予防にも役立つかな。
ちなみにこのファンはライトも高機能で、3段階の調色と5段階の調光ができます。洗面所に別にダウンライトもあるので正直ライトは無駄なのですが・・・ダウンライトの玉切れの時に役に立つ、かも。
サーキュライト メガシリーズの調達
実際の購入は荷物が増えないように引っ越し後でいいかな~と思っていたら、設計士さんから連絡が。「東京ゼロエミ住宅の審査の時に空のシーリングがあると引っかかるかも!」とのこと。
洗面所には東京ゼロエミ準拠のLEDダウンライトを付けてあるし、扇風機は未設置で良いのではと考えていたのですが、空きシーリングがあるとLED以外のライトを付けられる可能性を指摘される恐れがあるとのことで、珍しく施主支給OKとなりました。正確には検査時に取付に来られるよう準備しておいて、ということで施主支給とは少し違うのですが、ハウスメーカ経由の調達+取付費にならず一安心。引き渡しまでに時間がありますので、割引に加えて20%ほどポイントが付く楽天セールのタイミングを待って購入です。
届いた実物は結構大きい。試しにキッチンに付けてみると中々の風量で、風量MAXは風切り音がうるさいほどです。こんなお手軽なら今の家でも使えるし、今年の夏に買っておけば涼しく使えましたね。
いろいろテストしてみると、リモコンで風量や明るさを変更したあとに壁スイッチを切ると設定を覚えており、次に電源をONしたら最後の設定で動作することも確認できました。ライトを使わずファンとしてだけ使うこともでき、必要な機能はそろっています。とりあえず、新居に向けた準備は一安心です。
エアコンの検討
空調関連の事前検討のもう一つはエアコンです。エアコンは1Fに暖房メインと2Fに冷房メインをそれぞれ1台ずつ取りつける予定なのですが、東京ゼロエミの規定のため最低1台は省エネ基準トップランナー制の上位機種をハウスメーカで事前取付が必要になります。そこそこ性能エアコンを割引のタイミングで自己調達すれば、もっと安価なのですけどね…。この1F用エアコンは以下の記事でも記載しました。
見積もりは、ダイキン、日立 白くまくん、三菱電機 霧ヶ峰、富士通 ノクリアでお願いし、選んだのは一番安価な富士通ノクリアのAS-Z282M。そのお値段、取り付け費込みで277,200円!(これで各メーカで最安…)
今年はコロナの影響でエアコン供給不足となり東京ゼロエミ適合の省エネエアコンの価格が高めになっているようですが、10月時点のkakaku.comでのAS-Z282Mの最安値は214,900円ですので今時点でハウスメーカは6万円ほど高いです。取り付け費で6万は無いですし、エアコンが安くなる3月まで待って自分で調達すれば更にお安くなるのですが、東京ゼロエミのためには止む無し。
暖房負荷の計算上はエアコン必要能力最大2.9kW(定格2.4kW)ですので高効率エアコンであれば最小の6畳用で全館暖房ができる試算なのですが、更に安全を見て10畳用にワンランクアップしています。設置はリビングで寛ぐ人に直接風が当たらないようLDK横の畳スペースに取付け予定です。ルーバーを調整すれば風向き方向に玄関へのLDKドアがありますのでコールドドラフトをカットできる場所であること、畳スペースは部屋干しスペースにも使うためエアコンの送風機能で乾燥の促進が容易にできること、北寄りの部屋のため全館を一様に暖めるのにちょうど良い場所であることから、ここにしています。取付は外壁でないため延長が必要になりましたが、メンテ性を考えて隠蔽配管ではなく露出配管で伸ばしてもらいました。1.8mの配管延長によるエネルギーロスが少し気になっているところです。家のエネルギー消費のうち給湯に次いで多い暖房がどの程度の消費電力になるか、初年度は細かくチェックする予定です。その点、富士通のノクリアにはHEMSに繋げられる無線I/Fのアダプタが標準で内蔵されていますので、消費電力をチェックしやすいのも嬉しいです。
なお、新居はUA値0.38[W/(m2∙K)]の仕様ですのでHEAT20 G2とG3の中間くらいになります。これを建築予定の地域で建てた場合に目安となる消費エネルギーの削減率はどれほどでしょうか。これを計算するHEAT20 外皮水準地域補正ツールがありますので試してみたところ、"平成28年省エネ基準"から64.1%減のエネルギー消費量になるとのこと。
東京ゼロエミにつられてハイグレードな高効率エアコンにしましたので、上記の断熱での省エネに加えてエアコン差額の元を取るくらい冬の電気代が削減できると嬉しいですが・・・難しいかな。日射取得的にはηAHが1.8と低めのため暖房負荷は高くなりエアコン性能が効果的に見えてくるのか、はたまた思ったよりエアコンを使わず初期コスト差はカバーできない程度なのか。いろいろ測定・実験してみようかなと思います。
2Fの冷房用エアコン
少し脱線しました。今検討しないといけないのは2Fのエアコンです。こちらは東京ゼロエミの規定外ですので、引き渡し後に安価なエアコンを自由に取り付けられます。ですが、その自由度から少しエアコン迷子になっているのです・・・。
大きな方向性は決まっていまして、以前にもブログを取り上げましたフエッピーさんのエアコン1台全館冷房(除湿)、通称"F式"にしようと考えています。F式の詳細は以下に。
梅雨から秋口までの空調は、いかにサーモオフさせずに除湿を続けられるかがカギになりますが、その答えがこのF式に集約されています。アイデアだけでなく実地検証してその結果を惜しみなく公開されているのが素晴らしい。快適になるための難しい手法ではなく、安価に実現できるノウハウというところが、とてもイイ! 素晴らしい情報を共有頂いていることに感謝です。
F式の全館冷房のセオリーに従う
取付位置は、"F式"王道の階段ホール上。エアコンが目立たないように設置位置の一畳分だけ天井を少し折り上げて、コンセントを用意しています。後付けになりますが、エアコンスリーブだけはハウスメーカさんに開けておいてもらっています。
2Fは引き戸を多様しており基本的に開放して使いますので、冷気の通りは大丈夫なはず。1Fはシースルー階段+吹き抜けがエアコン横にあり階下のLDKにも程よく冷気が落ちることを期待しています。冷房負荷計算からエアコン能力最大2.8kWとなり、エアコンは最小の6畳用を取付予定です。万が一1Fに冷気が届かなければ1Fエアコン併用で対応します。
2F冷房用エアコン候補
さて、ここに取り付けるエアコンをどうするか。候補は再熱除湿付きの以下4つ。
1. 日立 白くまくん RAS-W22M ¥104,880 (kakaku.com 12/3時点)
- 再熱除湿といえば日立という安心感。
- HEMSも標準で接続可。
- 下限出力0.3kW時に消費電力235Wと高めなのが悩みどころ。
2. 三菱電機 霧ヶ峰 MSZ-X2222D ¥99,800 (kakaku.com 12/3時点)
こちらは住宅設備用の同等モデル「MSZ-JXV2221」もあり、少し安価(¥96,800)です。これは買うタイミングで最終判断になります。
- 再熱除湿の設定に癖がある模様。ただしJXVモデルをF式で採用されている方の情報があるのが安心材料。
- 下限出力0.7kW時に消費電力105Wと日立より省エネなのが嬉しい。
- 実際には105W以下のトロトロ運転でも除湿して運転できているようで、恐るべし三菱。
- HEMSが別売りアダプタというのが惜しい。
この霧ヶ峰が今の最有力です。
3. 富士通ゼネラル ノクリア AS-SV222M ¥120,699 (kakaku.com 12/3時点)
- コンパクトかつファブリックデザインで私的には一番お洒落。
- WiFi搭載でHEMSに標準対応も嬉しい。
- 除湿設定に癖が無く使いやすそう。
- 下限出力0.8kW時に消費電力140Wで三菱には負けるが低出力にも強そう。
私的には、既に1F暖房エアコンにノクリアを付けているため、別の機種で楽しむという面白さを味わえないところがマイナス。
4. コロナ ReLaLa CSH-W222R ¥73,070 (kakaku.com 12/3時点)
- 下限出力0.8kW時に消費電力165Wで富士通よりちょっと負けるが日立より良い。
- 邪魔な自動お掃除機能が無いのはコロナだけ!
- リモコンに「再熱除湿」専用ボタンがあるところが目的に合いそう。
- 率直に言ってマニアックなエアコンで、情報がほぼない所が悩ましい
- 反面、人柱でデータを集める価値がある機種。
他3社の再熱付きには漏れなく自動お掃除が付いてきてしまい、メンテや故障率から考えると自動お掃除が無いコロナ製が実は一番耐久性があったりするかもと妄想していて、これで消費電力を抑える運用ができたら面白いのですが。
エアコン決定は・・・?
F式冷房の王道は日立 白くまくんですが、これは事例が多いので、せっかくだから別のエアコンを試してみたいという思いがあります。ノクリアも1F暖房エアコンに再熱付きを使っているので、できればそれ以外のエアコンを付けて比較実験ができるようにしたいところ。
低コスト運用を最優先と考えると、三菱電機 霧ヶ峰 MSZ-X2222Dが本命かなと思います。残念ながらHEMS接続のアダプタが1万円程のオプションですが、日立や富士通と比べてもともと安価なのと、HEMS電源盤の4系統に2Fエアコン電源を組み入れれば消費電流はHEMSで確認できます。(念のため2Fエアコン電源をHEMS設定依頼済)
初期コストで行くとコロナがダントツで安く、余計なお掃除機能が無い点も推しポイント。三菱の低消費電力での運用コスト差と、エアコン本体が一番安くなる3月時点の価格差を考慮して決定になるかもしれません。
なお、これはF式冷房の王道から外れてしまうかもしれないのですが、1Fエアコンを再熱除湿付きにしているので、場合によっては2Fエアコンを再熱無しの安価なものにしてみるというのもアリかもと悩んでみたりしています。再熱除湿が必要なくらい部屋が涼しく、吹き出し口の温度が室温より高くなれば、1Fから温風を噴き出した方が空気が対流しやすいのではと思ったり。
実運用としては、室温より吹き出し温度が上がる程の再熱除湿運転になるのは稀で、ほぼ室温よりちょっと低めになることが多いと思いますので、そのあたりを考えるとやはり2Fに再熱が便利ということかと思います。もし2Fを再熱無しでトライするなら、10年後のエアコン更新タイミングかな。
いずれにしても、来年の梅雨が始まってから、レアな日立以外のF式事例として温湿度の測定をしてデータ公開してみようと思います。
家を建ててみるシリーズ⑮へ続く
ひとつ前の家を建ててみるシリーズ⑬の記事はこちら。
家を建ててみるブログのシリーズ初回。