空と山と暮らし

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注文住宅⑱BELS、太陽光発電、省エネ

今回は注文住宅 - ローコストハウスメーカーで冬暖かく夏涼しい家を建ててみるシリーズです。

前回⑰の現地での電気チェックの際に、BELS結果も頂きました。BELSはハウスメーカさん全棟対応のため標準で付いてくるのですが、今回はあらためてBELSの事と太陽光発電と省エネについて書いてみたいと思います。

─ 目次 ─

BELSとは

BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは建築物エネルギー性能表示制度で一般社団法人 住宅性能評価・表示協会が運用しています。第三者の評価機関による省エネ性能のお墨付きですね。BELS結果で建築中の建物や設備が見直しされるわけではないのですが、将来の家の売却時に客観的な評価結果として有用な証明になります。(もちろん今は家を売ることを考えていませんが)

さて、家のエネルギー性能は以前「注文住宅⑩ 東京ゼロエミが危うい」の時に、一次エネルギー消費量の40%以上の削減で東京ゼロエミ基準3を取得したと記事しました。BELSではこの計算に再生可能エネルギー(太陽光発電)も加わります。家の設計でも太陽光はいろいろ検討していますし、実際の電気料金という点ではこちらの方が気になりますね。

太陽光発電のための屋根

家は第1種高度地区という閑静な住宅地向けの最も高さ制限が厳しいエリアで、しかも南から45°振られ北東/北西の2面が母屋下がりとなる難しい条件。どうやれば太陽光を多めに搭載し、かつカッコ良い屋根になるか、設計士さんと屋根だけで2-3回打ち合わせしたと思います。

設計打ち合わせ前に検討した当時資料(下図)を振り返ると、パネル方位や屋根勾配によって、載せられるパネル数や発電効率がどう変わるか、いろいろ試算していたのが懐かしいです。

最初は寄棟屋根にして太陽光パネルを南東・南西の2面に搭載すると日の出から日の入りまで薄く長く発電できて良いのではと考えていました。しかし生活パターンを踏まえると仕事前の朝に余力電力がある状態が望ましいこと、寄棟屋根にすると載せられるパネルが減ること、そして棟換気のリスクを考えるとできれば寄棟屋根は避けて切妻にしたいという点から、最終的に片切妻の屋根で南東1面に太陽光パネルを設置することにしました。設計士さんにも頑張って頂き、屋根面によって屋根勾配を変えて軒出調整なども合わせて、なんとかパネル8枚を載せました。パネルを横積みではなく縦積みにすると10枚載る計算でしたが、そこはハウスメーカ標準施工でできる範囲にしています。

載せた太陽光パネルは3kW

当初はハウスメーカさんで実績のある高耐久・高効率370Wパネル8枚を搭載する予定でしたが、これでは3kWに40W届きません。ここでタイムリーながら、設計士さんが後継機375W品がリリースされたことを見つけて切り替えを行い合計3kWになったのでした。せやま印などでよく聞くマキシオン製400Wパネルならもっと大きくできますが、ここはパワコン等含めた一体メーカ保証なども考慮してハウスメーカ標準セットで進めています。

さて、この3kWというサイズは東京ゼロエミの補助金として割りの良い3.6kW以下の上限額で、47万円(16万円/kW)で太陽光・パワコンが設置できることになりお得感はあるのですが、正直ZEHとしては少ないです。夫婦2人生活の太陽光自家消費運用には、大きすぎず小さすぎず丁度良いサイズではと思いつつ、ZEH基準としては届かないためNealyZEHでの評価対象になります。ちなみにZEH補助金制度ではZEHとNearly ZEHで違いが出るのですが、今回トライした東京ゼロエミ住宅の補助金制度にはZEH条件なし。よかった~。

太陽光パネルは、遠くない将来に電気自動車に乗る頃になったら軽量なペロブスカイト太陽電池なんかも出て来るであろうし、そしたら南西壁面とかに太陽光パネル(シート?)を増設するのも夕方の電力補充となって面白いかなと思ったり。とはいえ、今時点の想定とは全く別の技術が出てくる可能性も十分ありますし、このあたりは住み始めた後も情報収集が必要です。

なおハウスメーカさんは、経済産業省環境省によるZEHビルダー最高評価の6つ星認定を受けており色々ノウハウもあるのですが、狭小の東京都で太陽光をより載せるための工夫を今後してもらえたら、なお良いなと思います。

BELS評価の結果は

肝心のBELS評価ですが、一次エネルギー消費量自体は既に計算してありますので、今回はBELSとしての裏付け確認ということになります。再生可能エネルギー(太陽光)を加えたエネルギー消費削減率は「84%」で審査済になっていました。ZEHの100%には届きませんでしたが、太陽光パネル3kWと考えると良い結果と思います。ちなみに、太陽光発電の自家消費率の試算値は47%になっていました。

新居暮らしが始まってからの工夫は、この自家消費をどのように上げていくかがポイントになると思います。まだ蓄電池は無いので、蓄エネとしてエコキュートを昼に太陽光で沸かしたり、建物の蓄熱で代替することになります。

まず最もエネルギー消費の多い給湯設備の部門について、お風呂・キッチン/食洗器、洗面・洗濯(お湯洗い)を、太陽光で沸かしたお湯供給にすることで自家消費を上げられそうです。

次にエネルギー消費の多い暖房・冷房については、太陽が出ている時間帯に太陽光の余剰で多めに空調を入れて蓄熱しておくことが考えられます。ですが暖房は朝方に集中して使うのが効果的に思えますし、冷房は24H連続除湿になると思いますので、日中の過剰な冷暖房はむしろ無駄になるかな。

照明は一番太陽光の恩恵が受けられないところなので悩ましいですが、LDK以外は全体的に照明を少な目にしたのと、人感センサライトも6か所にあり消し忘れ防止で多少は省エネになるはず。

上記3大エネルギー消費部門以外で家庭のエネルギーの1/3を使っていますので、そこも無視できず、いろいろな工夫の積み上げがありそうです。これについては次の資料で。

家庭の省エネ

省エネのノウハウはWEBでも様々出ていますが、なかなか微妙な情報も多いです。そんな中、東京都が今年まとめた冊子が公開されていました。その名も『家庭の省エネハンドブック 「チョットの工夫で家計も地球も笑顔に」』。表紙と目次を貼っておきます。 

東京ゼロエミ補助金といい、東京都は省エネに力を入れていますね。

節電の基礎知識に「"見える化"のすすめ」としてHEMSを紹介しているところが良いです。測定できないものは効率的な改善はできません。そして節電箇所についても、単に節電になる・ならないではなく、どれくらいの効果があるのかを定量的な数値として、そして費用として見せているのが良いです。効率よく節電に取り組むにはとても大事なことですね。例えば、以下の内容。

・キッチン編 シーン5-①

 冷蔵庫は壁から適切な間隔で設置する。 45.1kWh/年、1190円。

放熱用としてよく取説に書かれている背面1cm(上面5cm?)の離隔のことかと思います。設置に余裕があれば背面1cmをしっかり開けておくだけで省エネになりますのでお手軽です。しかし1cmの隙間を空けることで1cm×冷蔵庫横幅70cm ≒ 0.002坪が余計に必要となり、建物土地込み250万円/坪とすると5000円分の価値を使うことになります。あるいは、カップボードと冷蔵庫の前ラインをツライチで合わせる美しさに1190円/年以上の価値を見出すのかとか。定量的な数値が出ていれば、自身で実施すべきかを判断できますね。(冷蔵庫の隙間とか我ながらセコイ・・・)

資料の最後に断熱・太陽光住宅普及拡大事業の補助金も紹介されています。新築では細かい断熱部位毎の補助金はなかったですが、既存住宅は窓強化のみで100万円。太陽光も15万円/kWで新築の12万円/kW(オール電化13万円/kW)より補助額が多く、蓄電池も60万円の補助があります。これ、新築時は断熱+太陽光そこそこに249万円の補助金をもらっておき、後でZEH強化するのがオトクになるようなケースもありうる気がします。うちもUa値=0.38の、いわゆるHEAT20 G2.5のコスパ断熱ですが、引き渡しされたら内窓を付けて断熱強化したり太陽光・蓄電池を増設してもよいのかもしれません。今の樹脂トリプル窓に補助金で内窓を付けて弱い玄関ドア強化と基礎断熱と天井断熱を追加してHEAT20 G3へ・・・夢が広がるかも。(怒られるかな) UA値とか関係なく、窓や玄関ドアからコールドドラフトを感じるようなら、検討してみるのも良いかもしれません。補助金貰わずFix窓はDIYで内窓付けちゃいそうな気がしますが。

 

話は戻り、BELSでは少なくともエネルギー消費84%削減という試算が出ていますので、この値を基準にして実際の暮らしでどうなるか、家が無事に引き渡しされたらテスト・観測してみようかなと思います。

 

家を建ててみるシリーズ⑲へ続く

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家を建ててみるブログのシリーズ初回。