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注文住宅② 建築条件付き土地のこと(条件外し) - ローコストハウスメーカーで冬暖かく夏涼しい家を建ててみるシリーズ

前回の家を建ててみる①の土地購入、これが「 建築条件付き土地」でした。このような土地の場合は、ハウスメーカを決める前に建築条件をどうするか検討する必要があります。今回はそのことを。

─ 目次 ─

建築条件付き土地とは

これは、指定されたハウスメーカや工務店(施工会社)で建物を建てる条件が付いている土地のことです。(もしかしたら他にも違う条件があるのかもしれませんが、多くがそうです。今回の土地も施工会社が決まった条件付きでした)

 

今回購入した土地については、この建築条件に関して以下2点の特徴があります。

  • 建築条件の施工会社でも、間取り・仕様を変えられる
  • 追加費用(約100万円)で建築条件付きを外せる

当初は建築条件の施工会社のフリープランで家を建てることを検討していました。メリットはコストで、建築条件を外した場合と比べて圧倒的です。コストメリットは大きく3種類あります。

 ①純粋に建物が安くできる

 ②分譲地のまとめ施工でフェンス代等が無い

 ③建物引き渡し時に土地込みで一括で支払い(住宅ローン/税金が安価)

正直①は建築条件を外した場合に選ぶハウスメーカ次第ですが、超ローコストと呼ばれるところと比較しても建築条件付きで建てる場合の方が標準プランでは安かったです。分譲地にまとめて作る量産(?)効果というか、基礎施工とか工事用トイレや大工さんを共通で使えたり管理できたりするところが大きいのかもしれません。コスパが良い家になりそうです。(オプションを積んだ後のコストはまた別ですが)

次の②は実費で見えるところなのですが、条件付きを外すと土地代金に上乗せさせるコストとして、フェンスや水道管引込があります。こちらが、条件付きのままですと無しになります。(単純に建物の費用に含まれているのだと思いますが、それでも安いです)これが冒頭の「追加費用(約100万円)」の差になります。

最後の③は土地購入時にはあまり見えにくい事なのですが、建築条件付きで購入すると、土地と建物の費用を建物の引き渡し時にまとめて支払いしますので、実際に住める状態になってから住宅ローンや固定資産税の払いが始まります。いっぽう建築条件を外して土地だけ買うと土地購入時点で支払いが発生しますので、家に住めるのは建築完成後にもかかわらず、土地のローン金利払いと固定資産税の支払いが始まります。つまり家が引き渡しされるまでは現住居(の家賃)と二重払いになるわけです。

また住宅ローンも、土地と建物で最低でも2回の分割融資に対応した金融機関という縛りが発生してしまいます。低金利のネット銀行は分割融資ができないことが多いので、ここも間接的にコストに影響しますね。

これらが結構大きくて、建物完成まで1年かかると数十万円というレベルで差が出ます。それだけあれば、建築条件の家に付加断熱を入れたり窓のランクを上げたり、いろいろレベルアップできてしまいます。

ということで、1か月ほど建築条件付きのまま進めようかなと考えていたのですが、最後の契約前に建築条件を外すという選択をしました。

建築条件付きの課題

建築条件付きでもフリープランであれば、間取りはかなり自由ですし、設備もオプションでいろいろ決められます。もともとコスパの良い建築条件付き建物ですので、多少オプションを積んでも、全体でみればコストを抑えて建てられそうです。実際に不動産屋さんを通して施工会社さんに条件をいろいろ聞いていたのですが、かなり自由にコスト良く建てられそうでした。

間取りは、風呂洗面の水回りを2Fにしたり、玄関も西や東や自由に変えられました。設備はミドルクラス標準というのがあるもののオプションで変えることができます。構造も吹き抜けやオーバーハングやシースルー階段設置もできました。断熱部材の厚みを変えるオプションもあります。

しかし、1点どうしても対応できないと回答されたものがありました。それが気密性能です。

断熱気密を求めて

家を建てると決めてから今どきの建築の潮流というのを調べてみたのですが、どうやら日本の戸建て住宅は諸外国に比べて温熱環境が弱いらしいのです。断熱の弱点になりやすい窓サッシ一つとっても、欧米で断熱性能の高い木や樹脂サッシが過半数に使われているのに比べ、日本では未だに樹脂アルミ複合サッシで結露が発生する家が多い、と。

 

risou-r.jp

YKKさんのページから樹脂サッシの使用率の図を引用します。(ちなみにYKKさんは断熱に力を入れていて、設計中の家も玄関ドアはYKKさんの高断熱ドアにする予定です。窓はYKKさんではなくエクセルシャノンさんですが…)

日本は地震大国ということもあってか、建築基準法も構造の点は諸外国に引けを取らない耐震基準が取り決められているように見えます。(こちらも四号特例などいろいろ課題があるようですが)

その建築構造の強化に力を注いだ分、温熱の優先度が落ちたのか(はたまた色々なメーカの思惑があるのか)法整備としても過渡期のようで、断熱性能はようやく令和の時代に合わせた7段階の等級指標が2022年に公開されたものの、気密性能は未だ規定がないなど暖かい家を目指すには不十分な基準しか提示されていない状況です。基準が弱いためか、断熱気密への力の入れ方が工務店により結構な差が出ているのです。

今回は、それを踏まえて断熱気密に少し着目して仕様を検討していきました。窓の樹脂サッシ化や断熱部材の厚さ変更は対応でき工務店さんも最大限頑張ってくれました。しかし、どうしても気密性能の提示や保証は難しいということでした。

自分で気密測定を手配してみようかとも考えたのですが、建築途中に気密測定業者に入ってもらうのも難しい、とのことでした。施工会社は分譲住宅の事業部とは別に注文住宅のブランドを持っていますので、もしかしたらそことの競合を避けたのかもしれませんね。(あくまで妄想です)

正直、断熱気密に縛られて建築条件付きでコスパ良く建てることを諦めて良いのかと悩みました。私としては冬山でテント泊することに比べたら、今の低断熱の賃貸でも天国のように暖かいですし、ある意味雪中トレーニングと考えて寒いのは何とでもするという気概はあります。ですが家は長期間住むのもの。健康な今の状態で考えるのではなく歳を重ねたことも考えて、温熱を考慮していくべきかなと考えるようになりました。そして、仲介に入っている不動産屋さんからも「断熱気密にこだわるのであれば、建築条件を外された方が良い」とコメントを頂いたり、またその時は私も温熱プロ(マニア)の方々のブログやYouTubeに少し洗脳(?)されかけていた頃だったこともあり、契約の前に思い切って建築条件を外すことを決めたのでした。

ただし豪華な家はいらないので、コンパクトに長期にコスト良く暖かく住みやすい家を建てるということを意識して、断熱気密に力を入れたローコストハウスメーカや工務店の検討を進めていくのでした。

分譲地の状況

ちなみに当の分譲地は、建築条件付きのまま建てられた方が半分、外された方が半分でした。(建築条件を外した方の土地には税金対策のためか、土地引き渡しまで小さい木が植えらるので分かりやすいです。)

そして既に条件付きで建てられた方の家が順次完成しつつあります。軒を出してレッドシダーを貼ったりした家もあり、外観もカッコいい。人により何が合っているかは住み方にも寄りますし判断が分かれるところですが、分譲地にも色々な家ができるのが面白いですね。温熱にこだわった私がどうなるか・・・。それは今進めている設計次第ですね。

設計士さんとの打ち合わせが続いていますが、こっちも早く家を建てたいな~。

 

家を建ててみるシリーズ③へ続く


ひとつ前の家を建ててみるシリーズ①の記事はこちら。

家を建ててみるブログのシリーズ初回。