空と山と暮らし

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注文住宅③ ハウスメーカーの決定 - ローコストハウスメーカーで冬暖かく夏涼しい家を建ててみるシリーズ

先週の設計打ち合わせで間取りがほぼ確定しました。まだ構造上の見直しが発生する可能性はありますが、長かった設計士さんとの間取り打ち合わせも一区切りとなり、今後は電気・照明・設備関係とコーディネーターさんとの建具・色味の打ち合わせが始まります。といっても照明等も間取りと並行で検討していましたので、こちらはスムーズに進むと期待しています。

このブログでは前回②の続きとして年初に戻り、ハウスメーカーを決定した時のことを残しておこうと思います。

─ 目次 ─

ローコストハウスメーカーで建てる

「ローコスト」という定義はとても曖昧で、ややもすれば誤解を与えてしまうかもしれません。よく使われる坪単価を閾値にしようとしても、昨今のウッドショックのような要因で金額は大きく変動しますし、そもそも同じハウスメーカーでも仕様・オプションや間取りの作り方によって坪単価は変わってしまいます。Webでは実際の契約時の坪単価の情報を集めて公開されているページも多いですが、各社とも坪単価に幅がありすぎるため、それを順に並べてローコストハウスメーカー閾値を決めることは難しそうです。ということで曖昧ではありますが、ここではWeb上でよくローコストと分類されているハウスメーカー、つまるところ大手ハウスメーカーや地場のスーパー工務店でなく、コストを抑えて家を建てられるハウスメーカーという広い意味で使っています。

さて前回の②でも書いたのですが、土地を探していた当時は家の性能はそこまで考慮しておらず、今回の土地を決めた際には建築条件付きのまま半建売のフリープランで建てることも考えていました。ただ土地が見つかったのが2021年末頃であったため、その建築条件を外すかどうか、お正月を挟んで検討する猶予ができたのでした。

そこで改めて最近の建築なるものを調べてみると、今は家の高性能化が潮流となっていることが分かりました。家の性能といってもいろいろな観点があります。耐震性や前回②の記事にも書いた温熱性能を高めておくことは安全・快適性で分かりやすいのですね。ですがここでの気づきはそれだけでなく、維持管理や省エネ性能、要は、

高い性能・品質の家を建てることで、安価な運用保守コストで家を長持ちさせトータルコストを下げる

という視点だったと思います。当初は、今どきの建材はある程度の水準のものが使われていてどれを使ってもメンテ費用は変わらないのでは、と調べもせず思い込んでいました。しかし実際は、建て方や建材によって保守に必要な費用やメンテ間隔は大きく変わり、安易に安い見積もりに飛びついてしまうと、運用保守コストがあがってしまい、10年・30年で考えるとむしろコスト増になってしまうのです。省エネについても、太陽光やエコキュートが代表的ですが、初期コストは上がるものの運用含めたトータルコストが下がるものがあります。もともと家は安価なもので良いと考えていましたが、本当のコストを気にするのであれば、この維持管理・省エネを加味して考えないといけませんね。

生涯コストという観点で勉強させて頂いたのが鳳建設の森さんの動画。

www.youtube.com

車では当たり前に考えている燃費や税金などの生涯コストを、もっと費用がかかる住宅でなぜ考えていなかったのか…。鳳建設の森さんの2030年に83年持つ家を作るとか、保守を考慮して下地や配線の順序まで考慮することができるハウスメーカは希少ではなかなか難しいですが、大事な考え方が抜けていたことに気づかされたのでした。

また直接的な性能とは少し違うのですが、長期優良住宅(と認定された)を建てると住宅ローン減税の最大控除額が273万円→455万円に変わるという法制度の見直しが発生したことも大きかったです。これを機に、性能・品質や減税/補助金も含めたトータルコストを加味してハウスメーカーを決めることにしました。ただし豪華な家は求めていないので、あくまで良い家を建てられるローコスト系で探していくことにしました。

ハウスメーカー探し

最初はローコストの代表格であるタマホームさんや飯田グループ系列のハウスメーカーさんで検討していたのですが、前述の性能観点で見合わせになりました。耐震性能はどちらも等級3で良いのですが、断熱気密の性能が少し見劣りするというのが理由でした。特に(2021年末の時点で)気密性能であるC値の保証がないというのが大きかったと思います。もちろんこれらのハウスメーカーも良い所がいっぱいありますし、気に入ってこれらのハウスメーカーで建てられている方も多くいますので、純粋に合う合わないだけだったのかなと思います。

ただ、性能を求めつつローコストというと、メーカー選びが微妙な状況になってきます。安くて性能も高い都合の良いメーカーなんてなかなか無いですからね。いっそのことローコストにこだわらず広くハウスメーカーを検討した方が良いのではという考えがよぎりました。

ハイスペックメーカーは?

ちょうど年末年始で時間に余裕ができる時期でもありましたので、ローコストとは言えないところにも足をのばしたりしました。少し前に流行った「DIE WITH ZERO」という本に影響されて、ここぞという時にお金を使うのもありではと考えていた頃だった気がします。そんな中、ハイスペックなハウスメーカを訪問して感動したのが、一条工務店さんとウェルネストホームさんです。

一条工務店さんは「家は性能。」のキャッチコピーの通り、ハウスメーカーとしてはダントツの性能を誇っていますね。寒い1月にモデルハウスを訪問した際は、全館床暖房の快適さに感動したものです。営業さんも非常に丁寧で、コロナで大変な中、自宅まで間取り検討用のタブレットを持ってきて頂いたり、とても親切に対応頂けました。とても良かったのですが、性能が高い分、やはり高いです。最初に感動した床暖房も運用とメンテコストが高めに見えたため、自分としては断熱気密を高めてエアコン空調で良いのではと考えたりしたのでした。(すっぱい葡萄、かもしれません 笑)

www.ichijo.co.jp

もうひとつ、知る人ぞ知る、といういい方は失礼かもですが、性能がさらに飛びぬけたウェルネストホームさんも訪問しました。建築予定地の近くに偶然ウェルネストさん ― 正確にはウェルネストホームの家を建てるウェルネストエンジニアリングの工務店さん ― があったのです。ウェルネストホームの家に対する先見性と性能に関するコダワリは創業者 早田さんのYouTubeで拝見していたのですが、その家を実際に建てる工務店さんの社長の想いもそれに負けずに熱かったです。工務店にお伺いした時には社長から直々に使用している木材や空調の話をいろいろ聞きました。ご近所の工務店というのも、アフタを考えると最適ですね。費用さえ許せばここでという思いもありましたが、やはり現実はそうはいかない・・・。この工務店さんはリフォームや断熱改修なども手広く手掛けておられ、今でも毎月お手紙が届きますので、将来もしかしたらお世話になるかもと妄想しています。性能の高い家を建てられる工務店さんであれば、安心してメンテナンスも任せられますからね。

wellnesthome.jp

家の性能は多岐にわたりますが、分かりやすい断熱性能という点で見ると、上記2社はどちらもHEAT20のG3基準をクリアする高性能な家で、60年100年と住む家としてならばトータルコスト最適だと思います。ですが22世紀に入るような未来となると、ドラえもんも生まれている頃だし住宅という概念が変わっていそうです。なにより私たちもそこまで長生きすることはなさそうです。ということで、2022年時点の今に家を建てるならHEAT20 G2とG3の間を狙うぐらいが費用のバランスが良いのではということで見合わせすることにしました。

中堅のローコストメーカー

色々迷走しましたが、最後は中堅のハウスメーカーと地場の工務店の2社で比較検討することになりました。性能としては、耐震等級3は当然として断熱性能はHEAT20 G2以上でほぼ同等、気密性能もC値保証ありです。断熱も空間の利用効率を上げられる屋根断熱・基礎内断熱が標準で、壁も外断熱がベースで付加断熱として充填断熱をオプションで対応する点も同じ。防蟻は方式こそ異なりますが、どちらも定期メンテ(農薬系の薬剤での再塗布)が不要で長期保証する方式です。正直この2社の検討はかなり迷い、最終的に決定したのは1月下旬でした。

丁寧に相談に乗って頂いたのは地場の工務店さんの方です。地元の木で建てられたモデルハウスは雰囲気がとてもよく、スノコ床やいろんなアイデアや発見がありました。契約前から設計士さんに入って頂いて家の配置や間取り検討をして頂いたり、自由度高く面白い家を建てられそうなのはコチラでした。やはり注文住宅として作るなら性能だけでなく、家をより好きになれるポイントを入れておきたいですからね。

スノコ

中堅のハウスメーカーさんの方は、家の雰囲気は良くも悪くも普通。パッシブハウス・ジャパンの賛助会員で工務店さんより断熱気密の性能が少し高いのに見積もりは少し安い。売り上げを伸ばしているハウスメーカーということもあり倒産リスクが低そうなのは良いのですが、人気のため着工待ちで年内の引き渡しは保証できないというのが悩ましかったです。設計の自由度は工務店さんに分があるものの、ハウスメーカーでもいろいろ検討はしてもらえそうな様子でした。

多少高くてもと工務店さんの方に傾きかけていたのですが、ハウスメーカーさん側の宿泊体験がとてもよかったのと最後に押しの値引きもあり、ハウスメーカーさんで建てることに決めたのでした。

ハウスメーカーさんの名前を出すべきかは、ちょっと悩んでいるので、またいつか。

ハウスメーカー決定後

ハウスメーカーさんで設計を進めていくと、やはり標準仕様から外れたことをするのが少し難しいです。例えば上のスノコ床や以前書いたCFファンや床下エアコンなど仕様外のものが対応しにくい。設計士さんに前向きに検討して頂き、施工事例もあり採用できなくはないのですが、色々な条件があって推奨されなかったり。ハウスメーカーの場合は過去に問題事例が少しでもあると保証の観点でサポートが難しいのかもしれません。これは良い意味で無茶せずブレーキになっているとは言えます。

それから受注が急に増えているハウスメーカーということも起因してか、設計士さんがかなり多忙で設計打ち合わせの間隔が2-3週間に1回と進みが遅いことも残念なところです。現状では年内の引き渡しはほぼ無理で、真冬に引っ越しということになりそうです。

正直いまでも自由度高く密に対応して頂いた工務店さんで建てていたらどうなっていたのかなと思うことがあります。ですが、いったん決めたこと。できない仕様はそれに代わる面白いアイデアを盛り込んで、じっくり設計を進めている状況です。

 

分譲地の状況

話は変わり購入した土地の分譲地の状況ですが、建売で建てた方の家はほぼ完成、建築条件を外した方の土地も私たち以外はそれぞれのハウスメーカーで着工が始まりました。お隣さんも基礎工事が始まり、形がぼんやり見えてきました。

周りの家の形が分かってきましたので、窓位置とか防犯上の考慮を周囲を踏まえて再チェック。着工が遅いのは困りものですが、後発はこういうメリットもありますね。

まわりから一歩遅れてしまいましたが、着工に向けてもうひと頑張りです。

 

おまけ

そうそう、以前書いた以下記事の電気料金「くらし上手」プランの質問の件で、東京電力エナジーパートナーさんから回答が来ました。

rinos.hateblo.jp

結局、JRA規格というのは決まっておらず「おひさまエコキュート対象機器」は現状ではパナソニックダイキンの4機種のみで、それ以上の情報はないとのことでした。そして設計士さんから上記2社の対象機種のエコキュートの見積もりを頂いたのですが、新機種ということで標準コロナ製から約17.4万円の差額あり…。これらの機種はAPFも標準コロナよりわずかに良いですが、設備寿命10年と考えると電気代で元を取れるレベルの差額ではなさそうです。また「くらし上手」は電気を昼にも沢山使う人にメリットがあるプランで、おそらくそういう電気の使い方にはならないだろうという推測もあり、標準エコキュートのままにすることにしたのでした。

 

家を建ててみるシリーズ④へ続く

 

ひとつ前の家を建ててみるシリーズ②の記事はこちら。

家を建ててみるブログのシリーズ初回。