今回は注文住宅 - ローコストハウスメーカーで冬暖かく夏涼しい家を建ててみるシリーズです。
前回⑧までは間取りや設備の打ち合わせでしたが、平行してカラーの打ち合わせを実施しています。カラーはこれまでの一級建築士の設計士さんではなく、インテリアコーディネータさんが担当してくれます。設計士さんに続きインテリアコーディネートさんも女性のご担当者で非常に丁寧な方でした。今回はそのカラー決めの記録を。
─ 目次 ─
打ち合わせ前に
カラーの打ち合わせをするからには、一通り勉強しておいた方が良いだろうということで、書籍やブログのチェックをしながら、事前にハウスメーカさん仕様で選択可能な建材メーカのショールーム訪問をしました。設計打ち合わせの会議室でも小さいサンプルは見られるのですが、やはり現物に近いものを直接見たいですからね。気になるアイテムを確認しに以下のショールームを巡ってみました。
・外壁
LIXILグループの外壁・外装メーカーの旭トステム外装株式会社
・玄関ドア
玄関ドア / 引戸 | 商品を探す | YKK AP株式会社
・床
・壁紙
・室内ドア
室内ドア・造作材・カウンター・間仕切り・建具 | EIDAI
・・・並べると結構ありますね。ショールームは横浜や品川や新宿に散在していますので、全部回るのに2週間ほどかかりました。特にLIXILさんは設備としてキッチン・バス・洗面・トイレ検討の時にショールーム訪問した上に、玄関ドアのために訪問、更には外壁トステムもLIXILさんで何回も訪問しまくりです。
これ以外の建材として屋根や樋、フード、内装も見切り材など色々あるのですが、流石に全部のショールームには行ききれず、設計室で確認させてもらった建材も結構あったりします。なお、照明もカラーの一部の気がしますが、前回⑧の照明の記事で記載しましたので、ここでは割愛します。
ショールームへ
検討を始めるのはカラーコーディネータさんに提案してもらってからで良いかもですが、サクサクと仕様を決めていくためには、事前にショールームに行った方がよいです。外壁と床と壁紙は、設計打ち合わせの会議室では小さなサンプルしかなく、ショールームで現物に近い大きなものを直接目で見るとかなり印象が違います。扉に至っては会議室にはサンプルが無く、写真だけでは質感が分かりません。提案を受けたときに「あれですね」とイメージができると決定の進みが違います。壁紙と床板はショールームでサンプルをもらえますので、気に入ったイメージのものを持参して打ち合わせに参加すると見比べとかしやすいです。
※大手ハウスメーカさんであれば、外壁や玄関ドアも設計の打ち合わせ室で大きなサンプルを見られたりするかもです。ショールームに行くべきというのはあくまで今回のようなローコストハウスメーカで検討した場合のお話です。
打ち合わせ開始
打ち合わせの冒頭で今後のスケジュール案が出てきたのですが、カラーの打ち合わせは計4回の予定で必要に応じて追加とのことです。1回の打ち合わせが3時間ほどありますので、色を決めるくらいで4回も掛かるかなという思いでしたが、やってみると決めることは膨大でした。間取りなどの設計は予定の倍以上の打ち合わせ回数になりましたので、こちらもどうなるか心配でしたが、カラーは事前ショールーム巡りなど準備の甲斐あってか、ぴったり4回で終わるペースで進行しました。打ち合わせ後に気になった点が出た時にメールで確認するのですが、その応答が早いのも良かったです。(というか、コーディネータさんには夜中までメール即応して頂いてすみません…)
以下、ショールーム訪問の状況も交えながら、各建材のカラー決めのことを書いてみます。
検討1 外壁
外壁はトステムさんとニチハさん。最初にお伺いしたのはトステムさんで、LIXIL玄関ドアの確認と合わせて外壁のチェックをしました。こちらは予約が混んでいたためフリーのショールーム訪問にして、自身でアイテムをチェックしたのですが、雰囲気が良いのはセキボクとアルディーレという外壁。私の傾向として凹凸がしっかり出たものを好むようですが、セキボクはその凸凹が良い。もう、これで決めても良いんじゃないかと思いつつニチハさんに伺いました。
ニチハさんは予約が取れましたので、説明と外壁シミュレーションをしてもらうことになりました。事前にハウスメーカの建築図面を連携しておくのですが、当日その場で外壁の色変更をしてシミュレーションできるのです。ニチハさんに到着して、まずは良さそうな外壁を10点ほど選んでみます。カートに入れて外の太陽光で色味を見たり、なかなか面白い経験でした。そしてシミュレーションでは選んだ外壁をPC上で家のイメージをチェックできるのに加え、VR機能でゴーグルを着けてウォークスルーしたりできるのです!そういうこともあってか、最終的にはニチハさんの外壁が良さそうだと思うようになり、なんなら凹凸もトステムさん以上に見えたため、ニチハさんに決めたのでした。(外壁はセキュリティにも影響しそうですので、いまは種類などの詳細を割愛しておきます)
検討2 屋根
屋根はショールームには行かず、インテリアコーディネータさんと色味検討をしました。屋根の種類はガルバリウムの縦葺きタイプで20色程から選べます。夏の断熱を考えるとシルバーか薄い色が良いのですが、外壁を白基調にしたため屋根も薄い色だとしっくりこない。また前面の屋根は濃い目の太陽光パネルが半分以上載るため、そのコントラストも微妙。ということで、シルバーグレーという瓦のような色合いの屋根にしてみました。屋根はそれほど検討に時間かからずでした。
検討3 玄関ドア
玄関ドアはYKKAPさんから検討。こちらはショールームに事前予約して説明を受ける事ができました。
まずは標準仕様のドアの中から気に入ったフォルムのドアを選んで、そのドアで指定できるカラーを選ぶという順序。標準のピタットキー、オプションのポケットキーなどの説明も受けました。
スマートキーは後付けのQrioやSwitchBotでも対応できますので必須ではないのですが、ポケットに入れたままで開けるポケットキーもハウスメーカのオプションで+1.8万円で取付でき、AC電源供給の利便性も考えるとドア組み込みのもので良いかなと。YKKAPさんはそれくらいで終わりました。
もう1つのLIXILさんは、ショールーム員説明の予約が満室でしたのでフリー見学。自由に見れましたのでYKKAPさんと同じようにフォルムから見てカラーを選んでという流れ。ですが、自由見学でしたので気になったフォルムのドア以外もチラッとみてみると、ビビッと来る色がありました。特に目立つ色というわけではなく、木質感が本物に近い感じの色味のドアなのです。フォルムから選んでいましたが、むしろこの色が選べるフォルムにしたいと思うほど。今更ながらフォルムファーストは良くなかったのかもしれません。
ということでLIXILさんで色味ベースでドアを選んだあと、YKKAPさんに戻り、こちらも色味をチェックした後にフォルムを選ぶことにしました。そして、やはりこの色のドアにしたいという色味が見つかり、希望のドアを変更したのでした。色味はNシリーズのトップ画像に表示されている以下のもの。(デザインは別)
YKKAPさんもLIXILさんも外壁と玄関ドアのコンビネーションを大画面でチェックして綺麗な写真印刷までできるサービスがありました。家に帰ってゆっくり比較することができますので良いですね。
検討4 床
まずはWOODONEさんのショールームへ。説明員の予約に空きがありましたので説明を受ける事ができました。WOODONEさんは標準の突板とオプション無垢材がありますが、一番のお目当ては無垢フローリング ピノアース。
サンプルは見ていたのですが、実際に触って歩いてみると、浮造り仕上げがとても良いです。これは厚みのある無垢ならではですね。
木は柔らかい針葉樹のパイン材で色味も豊富。家全体として、リビングなど1Fを明るめに、寝室/書斎のみの2Fは暗めにしようとしていましたので、1Fを薄めに2Fを濃い目が選べるピノアースは良いですね。ただ1点、自然塗料クリアという色以外はウレタン塗装なのです。オスモなどのオイル塗料であればなお良かったのですが、ここは残念。
次にEIDAIさんのショールームに伺いました。こちらは無垢床ではなく突板なのですが、昨年2021年9月にリリースされた銘樹モクトーンがハウスメーカ標準で選べます。
EIDAIさんにはもともと「銘樹」という製品がありましたが、塗装技術を見直してより天然木の風合いに近づけたものということです。以下、EIDAIさんのWebサイトから引用。
天然素材の持つ美しさを活かすための「塗装技術」に焦点を絞り、研究開発を進めた結果、実用化に至ったのが今回発売する「銘樹モクトーン」です。
無垢床ではなく突板なのですが・・・これが想像以上に良いのです。塗装技術のせいか、手触りも無垢のようなサラサラ感があり色味も豊富、なかでもブラックウォールナットの木目感というか質感が良いのです。
耐傷性能や耐キャスター性能などは従来のフローリングの性能を維持したままということで書斎のキャスターにも強そうです。当初は1F/2Fとも無垢床を想定していましたが、2Fはこれで良いのではと思ってしまったのでした。運用保守のコストという観点から見ると、無垢床のようにアイロンやヤスリ掛けでの補修ができない点はメンテ性の低下にはなるのですが、突板の下の合板の色味も突板に近い色合いにしてあり、傷も目立ちにくいことが期待できます。気に入った床を数点と洗面トイレ用の床サンプルも頂いて、インテリアコーディネータさんとも色味検討したのでした。
最後にショールームには行かなかった(名古屋にしか無垢床のショールームがない)プレイリーホームズさんの樺(カバ=バーチ)無垢床。これは設計士さんから安価に入手できると紹介頂いたものです。塗装もオスモオイル塗装(クリア)が最初からされていて、明るい色目にしたい1Fにピッタリです。
カバは固めの広葉樹ですので、温かさや足の触り心地は針葉樹のパイン材に分があるのですが、水などに強いのは広葉樹。できれば玄関やキッチンまで無垢床にしたいと考えていたため、それを考慮すると樺が優勢かな。お値段は樺の方がピノアースより高いのですが全体で1万円程度の差ですので、あとは好みの問題です。そして、プレイリーホームズさんではないのですが、別メーカの似たカバ床のオスモ塗装のショールームを訪問して足ざわりを確認し、1Fは樺にすることに決めたのでした。
2Fは無垢床ピノアースを悩んだのですが、銘樹モクトーンにしました。リリースから1年未満の新商品ということでWebにもレビューなど皆無なのですが、実際に触って良かったことを信じて決めました。暮らし始めて時間が経ったら改めてブログに感想を書いてみようかな。
検討5 壁紙
壁紙はサンゲツさんとリリカラさんから標準で選べます。標準以外の壁紙も、それほどオプション費を掛けずに変えられます。どちらのショールームも20枚まで壁紙サンプルをもらえましたので、良さそうな壁紙を頂いて床とも合わせて検討しました。
カラーの打ち合わせの中では、この壁紙の検討が一番時間がかかりました。ハウスメーカの標準仕様ですと、部屋ごとに壁紙を変えられてアクセントも各部屋1面に付けられるのですが、あまり変えるとゴチャゴチャしてしまいます。Webで良い雰囲気の事例を見たりして、かなり悩んだ結果・・・塗り壁調の壁紙を基調にあまり種類を増やさないように決めたのでした。壁紙のことを書くとかなり長文になりそうなので、ポイントを2つだけ。
・シースルー階段のある吹き抜けの1F/2F全面の壁を薄いグレーのアクセントに。
・ベッドの裏にある腰壁に一目ぼれのアクセントクロスを採用。
吹き抜けグレーはアクセントの面積が広すぎて、もはやアクセントではなくメインになりうる微妙な位置づけなのですが、落ち着いた感じになるといいな。ベッド裏は唯一の1000番台のオプション壁紙なのですが、一目見てどこかに採用したくなったもの。オプション費は800円/㎡=3,300円でした。壁紙そのものは全体で3,300円なのですが、クロス見切り8,500円が追加され1万円超。入隅まで壁紙を伸ばして見切りを無くしても良かった気がしますが、ここはデザイン重視です。
検討6 室内ドア
こちらは床と同じく標準仕様ではウッドワンさんとEIDAIさんから選べるのですが、ここは1つ制約が。2Fには2つの部屋を仕切り変えることができる可動間仕切り吊り戸を付ける予定です。
この仕様の扉がEIDAIさんにしかないのです。正確にいうと、天井吊り戸はウッドワンさんもあるのですが、通常の引き戸・吊り戸と同じ機構のため、複数の扉が段違いになってしまいます。EIDAIさんの可動間仕切り吊り戸は会議室の仕切りのように扉が一直線に並んで綺麗なのと、左右端どちらかを開き戸として使えるのと、畳む時には90°回転して重ねられるため間取りに壁収納用の凹みを作ると収まりが良いなど色々メリットあり、設計段階からこれを使うことを決めていました。取付含めて16万円と少々お高いのですが、ここはコストを掛けるところかな、と。
ここ以外の扉はウッドワンさんにすることもできるのですが、メーカにより色味も少しづつ違うので、統一感を出すのであれば1メーカが望ましいです。ということでEIDAIさん中心に検討しました。そして、最終的にすべての扉をEIDAIさんにしたのでした。
色は1Fと2Fで分けて、引き戸と開き戸で木目の向きを変更してみました。あまり変えるとゴチャゴチャうるさくなるかなとも思いましたが、この範囲なら大丈夫だろうとインテリアコーディネータさんとも相談して決めたのでした。
そのほか
カラーの検討は他にも、雨どい、巾木、幕板、棚、外部コンセントのフードや引き込み線のボックスやらで非常に沢山・・・。このあたりは他の部材に合わせる形で決めていきました。
カラーの検討も1か月以上かかりましたがようやく完了です。早く家が建つといいな〜。
家を建ててみるシリーズ⑩へ続く
ひとつ前の家を建ててみるシリーズ⑧の記事はこちら。
家を建ててみるブログのシリーズ初回。