東京も梅雨入り間近になりました。まだ6月なのに最高気温は30℃超えの夏日になる日もあり、それに連動して外気の絶対湿度が15g/㎥を上回り始めました。ということで、今年も除湿のための夏用エアコンの出番になりましたので、今回はそのことを記事にしてみます。そして、空調について少し不思議に思っている事があり、最後に備忘録として書いておきます。
─ 目次 ─
除湿シーズンの始まり
今年の東京は例年より梅雨入りが遅く、6月20日頃に梅雨入り見込みと報道されています。梅雨入り前で雨が少ないため、まだ除湿は不要と思われるかもしれません。しかし外気湿度のチェッカーが、梅雨前にも関わらず、夜間の絶対湿度:15g/㎥超過をお知らせしてきました。
SwitchBotの絶対湿度を確認してみると、確かに朝9:00で17.32g/㎥、そして夜0時も15g/㎥以上です。
絶対湿度15g/㎥は昼の30℃環境では相対湿度49.4%でして、湿度として問題ないように見えます。しかし夜を迎えて外気温が20℃に下がりますと、絶対湿度15g/㎥の相対湿度は86.8%で、多くの人が高湿度と感じるでしょう。中間の25℃でも相対湿度は65.1%ですので、屋内を快適な室温(25℃前後)にするとカビ・ダニの発生リスクが高まり始める湿度だと分かります。
正確に言うと、湿度65%程度ならカビ・ダニ発生リスクはそれほど高くなく、除湿開始を少し先延ばしにすることもできます。ただ我が家としては、家(構造部材・内装等)の劣化抑止や湿度変化に弱いピアノの保全を考えて、絶対湿度15g/㎥を超えたら除湿開始と判断しています。
このあたりは省エネ(電気代)とのトレードオフになりますが、お金の観点では除湿を1週間延ばしても数百円程度の削減です。家やピアノを保全できる(例えば調律の依頼間隔が伸ばせる)方がトータルコストの削減になると思っています。
除湿方法はエアコン
家の断熱性能を高めて適切な日射遮蔽を行い、そして過度の内部発熱が無ければ、室温は原理的には外気の昼夜平均気温に近づいていきます。我が家もコスパ高と言われるHEAT20 G2.5程度の断熱性能はあり、朝晩に室内温度を下げておけば、昼に外気温が30℃になっても冷却のためのエアコンはまだ不要です。このコンディションなら除湿器を使って湿度を下げても良いのですが、家庭用除湿器は除湿性能が8L/日程度とエアコン(30L/日程度)に比べて低く、かつ多くの機種は溜まった水を手動で捨てる手間という大きなデメリットがあるため、やはりエアコンを使いたくなります。
ただ、エアコンさえあればしっかり除湿できるかというと、少し難しい話がありまして、今の中間期は適切な負荷をかけられるエアコンを適切な位置に設置する必要があります。このあたりは2022年の設計時のブログ記事「注文住宅⑭ 空調の事前検討」で詳細検討していまして、その結果は昨年11月の記事「11月にエアコンで除湿!?」で振り返りしています。
その結果を簡単にまとめると、我が家の場合はF式エアコン1台全館冷房(除湿)のセオリーに従い、6畳用の再熱除湿エアコン「三菱電機 霧ヶ峰MSZ-JXV2223」(量販向けMSZ-X2223と基本同じ)を階段兼吹き抜けホールに1台設置して、家全体の除湿を実現しています。
エアコン除湿設定
エアコン運用は去年の経験から、手間をかけず霧ヶ峰JXV2223に「室温:25.5℃ 湿度:50%(体感ON)、風量:下向き最弱」を設定しました。この設定のまま、盛夏に風量を微調整する程度で夏が終わるまで24時間連続稼働の予定です。今年は手間の削減を優先し「エアコンのフィルター増し増し」も行わず、基本放置で運用します。
上記設定でエアコン始動しましたので、その状況が分かる自動キャプチャの室内環境ログを載せておきます。
ポイントは、エアコン設定室温(25.5℃)より外気温が低い夜(図右上、22.2℃)にもかかわらず、室内(図左下)の1Fリビング/1F洗面室/2F寝室の湿度が50%台に抑えられているところ。もし再熱除湿が無いエアコンですと、室温が下がり冷え過ぎてしまうか、エアコンがサーモオフして湿度が60%を超えてしまいます。
それを防ぐために1F冬用エアコンで暖房する(2台再熱)という手もありますが、1F暖房+2F冷房のエアコン消費電力は計200W以上になってしまうし、冬用エアコンの寿命面もマイナスです。なにより、上下階の個別温度設定や昼に1Fのみオフする調整など正直面倒で、それを考えると再熱除湿エアコン運用は1台放置で良く、メチャ便利です。
家全体を常に除湿して空調していると、水分が増えがちな洗面脱衣所も湿気が溜まりにくく、風呂上がりでも(図左下2個目の)洗面湿度は54%に抑えられています。ここは家全体の空調設計をしたヤマト住建の設計士さんと、再熱除湿エアコンを設計した三菱電機の開発者さんに感謝です。
このおかげで引っ越し後1年経過しましたが、風呂場にカビは生えていません。※風呂のカビ予防は、除湿に加えて風呂CF代替のCIRCULIGHT(サーキュライト)による空気強制循環の効果も大きいと考えています。
キャプチャ画像で気になるのは1つ、図右下の床下が絶対湿度13.66g/㎥に除湿されているものの、基礎コンクリート上は温度が低く相対湿度が68%と少し高めの点。ですが、床下は1種換気の排気のみの空間ですし、露天温度は16.4℃ですので結露することは無いでしょう。
除湿のランニングコストは?
再熱除湿エアコンは電気代が高いというイメージがあります。しかし、今どきの再熱除湿エアコンは廃熱利用する優秀な機種も多く、実測すると除湿器とあまり変わらなかったりします。先のキャプチャ画面の消費電力(図左上の2Fエアコンホール)は、リビング(主にテレビ)の120Wより低い80Wで動いています。
先々月に以下記事で昨年度の年間光熱費を公開しましたが、
24時間エアコンを稼働した去年6月の消費電力は計162kWhで5,613円(オール電化の全体費用)。単純な比較はできないですが、無冷房の5月が120kWhで4,102円ですので、差額は月1,511円でした。
6月-5月の消費電力差42kWhを30日×24時間で割ると58W。太陽光発電で半分は買電に現れないと考えると、JXV2223は梅雨時期に平均120W程度で除湿し続けているということでしょう。この程度の電気代で手間もかけずに梅雨時の不快が解消されるなら全然アリです。
空調の疑問点
運用そのものに難点はないのですが、前から不思議に思っていることがあります。それが中間期のエアコン稼働時の空気の動きです。
まず物理現象として、温かい空気は上昇し冷たい空気は下降します。このため、夏用エアコンは小屋裏や2Fの高い位置に設置し、冬用エアコンは床下や1Fの低い位置に設置して室温を均一化するのがセオリーになります。単純に夏と冬に分けた場合はこの考えで問題ないのですが、今の再熱除湿の期間は、実はセオリーから外れているのです。
上のキャプチャ画面の通り外気は22.2℃ですので、室温は熱伝導や換気で22.2℃に近づきます。ここで通常エアコンで除湿(冷房)すると更に室温が下がってしまいますので、再熱除湿エアコンで暖めなおした空気を送風しているのですが、その夏用エアコンは2Fホールに設置してあるのです。つまり、除湿した暖かい空気が家の高い位置から出ているのです。
とすると、物理的には1Fがだんだん冷えて2Fが暑くなってしまう・・・ような気がします。我が家はここを懸念して、念のため1Fから除湿した暖気が出せるように冬用エアコンも再熱除湿付きエアコンにしています。ですが、2Fエアコンのみの稼働でも、実測結果は1F/2Fの各部屋が25.5±0.2℃に収まっていまして、温度ムラがないのです。うむ、なんでだろう。
10年後のエアコン更新時に1Fエアコンの再熱除湿は不要と確信できて、これはこれで良い経験だったのですが、どうもしっくりした理由が思い当たりません。室温に近い送風温度や空調の攪拌効果など推測できることはあるものの、だいぶモヤモヤなのです。
スッキリするには空気の流れを多点計測するか、あるいは我が家の間取りモデルで数値流体力学の熱シミュレーションをしてみるのが手っ取り早いかもしれません。修士時代は数値風洞系の研究室でCFDプログラムと可視化ツールを開発していましたので、そのソースコードを久々に引っ張りだしてLinux環境を構築するか、あるいは今どきならWindowsで使えるフリーのCFDソフトもあるだろうし、それを探してみた方が楽かも。(→FLOWSQUARE+: Nora ScientificとかOpenFOAM:計算力学研究センターとか)
ということで、ちょっと自宅の熱シミュレーション解析をしてみる予定です。もし時間ができたら結果を記事に書くかもしれません。
お決まりのハッシュタグを書いて終わります。(ヤマト住建の公式アンバサダーになった経緯はコチラ)
#ヤマト住建公式アンバサダー
#yjオーナー