空と山と暮らし

パラグライダーと山歩きの記録、ときどき家と暮らし。

山に備えてカメラレンズの交換

前回の「紅葉の奥多摩 酉谷山と雲取山」でカメラレンズが壊れてしまいましたので、レンズの交換を検討中です。今回は登山そのものではなく、今までのカメラを少し振り返りながら、レンズの検討について書いてみようと思います。

─ 目次 ─

カメラ歴

「カメラ歴」と題したものの、私は写真のプロではなく、めちゃライトユーザ。ということで、カメラやレンズの専門的な話ではなく、主に空と山での撮影に使ってきたカメラについて、備忘録として振り返ってみたいと思います。昔に遡りすぎるのも微妙なので、デジタルカメラの時代から。

  • 1代目  2002年6月~2010年6月 CASIO EXILIM「EX-S1」初めてのデジカメ

かなり古いカメラですので、現在では情報が少ないですが、CASIO社のWebサイトのアーカイブにパンフレットが残されていました。

カシオ デジタルカメラ オフィシャルWEBサイト | 製品情報 | EX-S1,M1

2002年当時はデジカメの黎明期で、家電メーカーも参入して多様なカメラが発売された時代でした。アウトドアで使いやすいコンパクトカメラとしては、大きく30万画素クラスと100万画素クラスに分かれており、30万画素だと画質が粗いことから100万画素以上で最軽量(85g)のEX-S1を選んだ記憶があります。

当時の私は山よりもパラグライダー用がメインで、2003年10月にパラグライダーアクロバットの「ロドリゲス兄弟」が来日してスカイ朝霧に訪れた際、そのアクロバット演技の撮影にもこのカメラを使用していました。

このアクロ演技後にロドリゲス兄弟と肩を組んで撮影したツーショットならぬ、スリーショット写真も残っていました。あれから20年も経つのか…。

ちなみに、ロドリゲス兄弟は2006年にアクロシンクロ競技で表彰台に立ち、その後も数々の世界大会でチャンピオンに輝いています。以下は今のRaúl Rodríguezの今のインスタ情報。

・🥇x 5 World Championship
・🏆x 6 Acro World Cup Champion
・🥇x 1 World Air Games

現在は後進指導がメインでインストラクタに教える先生になっていますが、まだ現役。いやはや凄いな・・・。

 

少し脱線しましたのでカメラに戻ります。

EX-S1の解像度は1280×960(120万画素)で、2023年現在はこの画素数コンデジは販売されていないでしょう。パソコンモニタではギリ見られる画質、写真印刷だと粗々でした。1/2.7インチCCDを搭載しており、F値はF2.5ですので、明るいレンズとは言えず、星空撮影は難しいです。焦点距離は35mmフィルム換算で約37mm相当の固定焦点であり、画角が狭めですので、どちらかと言えば人物撮影向きだと思います。

ランディングを見下ろす空撮画像や陣馬の滝の写真が残っていましたが、画角が狭いことが良く分かります。

 

最大64MBのSDカードに82枚の写真が保存でき、今考えたら低スペックですが、当時の「写ルンです」に比べれば大幅に撮影枚数が増えていますし、デジタル撮影してPCで管理できること自体に価値があった時代でした。

可動部がないためか非常に丈夫で、2010年にヤフオクに出すまで元気に動いてくれました。

 

  • 2代目  2007年9月~ Nokia N73:カメラ付き携帯

これはカメラとは言いにくいのですが、カメラ機能を重視したスマホ(携帯電話)で写真撮影していた時期がありました。

N73 Mobile Multimedia - NOKIA

Mobile Multimedia さん

日本でのiPhone発売が2008年7月11日ですので、その前のスマホの先駆けともいえる時代の機種。後にスマホAndroid/iOSの時代になりノキアは低迷してしまうのですが、Symbian OS最強時代だった頃の携帯です。

私は海外出張がたまに入る年頃でしたので、そこそこ性能のカメラがスマホに搭載されたN73を、持ち運びしやすさから重宝していました。

出張で訪れたオランダ デルフト駅の撮影。スマホの裏面にレンズカバーをスライドさせると、カメラアプリが立ち上がり写真撮影が即座にできる作りで、使い勝手も良かったです。

 

EXIF上はリサイズしてしまったため小さいですが、最大解像度は2,048×1,536(315万画素)で、写真印刷でもなんとか使える性能ですね。内蔵メモリは50MB程度と小さかったですが、外付けで2GBまでのSDカードが使えましたので、ほぼ容量制限なく撮影できる時代になりました。

レンズはドイツの光学メーカーCarl Zeiss製のテッサーレンズ。テッサーは3群4枚のシンプルな構成で小型機器への搭載に適しており、当時の携帯電話のカメラのレンズとしてはかなり優れていたと思います。ただし、F値は2.8、焦点距離は6mmで、画角はEX-S1とほぼ変わりませんでしたので、レンズや撮影素子の性能が進化したかと言われると微妙でした。

 

スマホ搭載のカメラは携帯性は良いのですが、いざ撮影しようとすると、画面やボタン操作がけっこう面倒ということが分かってきました。特に問題になるのが空撮で、N73の撮影は、カメラカバーをスライドして、デジタルズームはボタン操作でいじり、そして撮影ボタン押すという流れで、街での撮影には問題ないのですが、飛びながら手袋をして操作すると難しいのです。

ということで空撮用には専用機が最適と考えて、コンデジに回帰してみました。

 

希望は第1に操作が簡単なこと、第2に軽量であること、第3に光学式3倍程度のズームと光学式手振れがあり空撮時に揺れてもブレにくい機種でした。その条件で検討し、PanasonicLUMIXDMC-FX500」を購入しました。

デジタルカメラ DMC-FX500 商品概要 | ムービー/カメラ | Panasonic

写真:デジタルカメラ DMC-FX500

電源、ズームレバー、シャッターが本体上部に集約されており、155gという軽量さも飛びながら片手で操作しやすくお手軽でした。アルミボディの堅牢さが、フライトギアと接触しても壊れない安心感を生んでいて、空撮に最適だったと思います。

この写真はパラグライダーレース用のフリーソフト「パラナビ」をO'Reilly JapanのMAKE:という雑誌で記事にした際の挿絵用に撮影したものです。以前のN73よりも余裕をもって、前のグライダーの構図も見ながら撮影できました。

 

カメラは1010万画素となり、ここが大きな進歩です。先の雑誌の挿絵写真としても、この解像度なら印刷しても大丈夫と編集者からOKをもらえました。

撮像素子は1/2.33インチCCDでEX-S1の1/2.7インチから少し大きくなり、面積比+34%と少し明るくなりました。ただ、レンズはf/2.8ですので、やはり星空撮影は厳しい。このあたりから、もう少し明るいレンズがあるといいな~とレンズにも関心を持ち始めたのです。

 

こちらはまとめて書いてしまいますが、2014年に山で星空撮影をしたくて購入したのが初代RX100シリーズのDSC-RX100。これを4年後に山で壊してしまい、買い替えたのが2世代後継機のRX100Ⅲでした。フライト用には先のDMC-FX500を使い、山用とは区別して使い始めた頃のカメラですね。

パラグライダーは基本的に明るい時にしか使いませんが、山での宿泊登山をするようになり、やはり星空撮影はカメラを変えないとダメだと感じ、撮像素子が1インチでF値もF1.8~と明るいカメラを選びました。

星空は今までのカメラでは撮影できなかったので、初めて撮影できたときは感動。このカメラを買ってから、山小屋泊での星空撮影にハマってきたのだと思います。

 

カメラ画素は最大2020万画素で、DMC-FX500の2倍です。また、星空撮影に影響する撮像素子は1インチ、レンズはf/1.8ということで、DMC-FX500よりも素子で3.24倍、レンズで1.55倍、計5倍の明るさを得ています。ということで、RX100では星空撮影しまくりました。

 

山用カメラとして、重量が軽いコンデジを選びましたが、RX100は重さ213gで初めての200g越え。コンデジとしては大きい部類に入りますが、使ってみるとあまり気にならないサイズ感でした。重量よりもコンパクトでサッと取り出せる大きさの方が重要でした。

あとは、今まであまり画角を気にしていなかったのですが、35mmフィルム換算28mmと広角になることで、数値としてだけではなく実感として広い空が撮れることに気づいたカメラでもありました。

その初代RX100が壊れてしまい、買い替えたのが RX100Ⅲ。基本の撮像素子1インチ、レンズ f/1.8は変わらず。ですが、焦点距離が35mmフィルム換算で28mm→24mmとさらに広くなったことで、より広範囲を切り取れるようになりました。

もう1つ今更ながら、F値が小さい明るいレンズだと良い具合に背景がボケで雰囲気のある写真になるな~と思ったのもRX100からです。

 

 

これが現役のカメラです。RX100Ⅲをポタリング中に自転車から落として壊してしまい、急いで買い替えたのです。当初は、RX100Ⅲをもう一度買い直そうかと考えていたのですが、購入当初4万円台だったRX100が、2021年当時は7万円に値上がりしており、躊躇してしまいました。(ちなみにその後も値上がり続け、2023年11月現在はkakaku.comで約8万円、SONY公式サイトでは99,000円です・・・) そこで、もう少し安いカメラは無いかな~と探したところ、ミラーレス一眼という選択肢が浮上したのです。

携帯性を考えると山用カメラは小さいものが良く、この点を調べたところマイクロフォーサーズという規格がミラーレスの中で一番小さな撮像素子という事がわかりました。

そして、オリンパスのEPLシリーズの1世代前のモデルであるE-PL9が、標準ズームレンズや交換バッテリー、三脚が付属して52,000円で販売されているのを見つけ、購入してみました。RX100Ⅲよりも2万円ほど安価でした

標準で付いてきたレンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」というもので、RX100のf/1.8に比べて明るさは半減。ですが撮像画素のサイズはマイクロフォーサーズ(= 4/3インチ)という名前からも分かるように、RX100の1インチより面積比で+78%と大きく、レンズと組み合わせるとRX100比で92%の明るさになります。これなら星空撮影も対応できます。どうしても明るさが欲しい場合は、レンズ交換式ですのでレンズだけ明るいものに交換することもできます。

 

マイクロフォーサーズの撮像画素の小ささを活かしてミラーレスとしてはカメラもコンパクトに作られており、山で使う時も特に支障はありません。購入後すぐに唐松岳登山に持っていきましたが、雪山でも特に問題なく運用できました。

 

もちろん夜景も問題なし。

 

手振れ防止も強力なので、暗め時間帯の手持ち撮影もブレが少ないです。また、撮像素子が大きいためかアップで撮影するとRX100以上に背景がボケた感じで撮影ができました。

 

RX100より安価でしたが、なかなか良いな~。

 

カメラの破損

E-PL9を使い始めて2年間、かなり気に入っていたのですが、今年2023年に岩山でレンズを岩にぶつけてしまい、リング部が破損・・・。

なんとフォーカスリングが外れてしまい、内側のリングは欠けて紛失してしまいました。これは修復が難しい・・・。

テストしたところ、マニュアルフォーカスのリングは動かなくなったものの、オートフォーカスはなんとか生きていましたので、しばらくオートフォーカスのみで使っていました。ただ、星空だけはマニュアルフォーカスで無限遠が設定できないと撮影できないため、楽天でPergear 25mm F1.8単焦点レンズ(7,499円)を購入しています。

 

f/1.8の明るいレンズですので星空撮影は相性が良いです。そもそも夜の撮影ではマニュアルフォーカスしかまともに使えませんので、オートフォーカスが邪魔しないこのレンズの方が安定しています。なのに安価ですので、コスパがとても良いレンズだと思います。

 

ただ、星空用には良いのですが、やはりオートフォーカスが無いと色々課題がありますので、日常使いには厳しいというのがリアルです。詳細は前回のブログ「紅葉の奥多摩 酉谷山と雲取山を歩く」に書いた通り、サッと遠くの動物を撮影したりするのには向きません。

 

ということで、これまで日中はマニュアルフォーカスが壊れた標準レンズを、夜はマニュアルレンズを交換して使ってきました。

そんな中、ついに前回の登山で標準ズームレンズのオートフォーカス機能も動かなくなってしまい、万事休したのです。(いちおう、Pergearも日常で使えるのですが、撮影の度にフォーカス合わせで立ち止まる必要があったり、ピントが見えない自撮りで難儀しました)

 

カメラレンズの交換

やはり山歩きでサッとカメラを取り出して撮影するには、オートフォーカスレンズが必要でした。ただカメラは上を見てしまうと、いわゆるレンズ沼にハマってしまいます。ということで、私の使い方で十分なレンズを検討することにしました。

まず第一候補は、今と同じオリンパスの標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」です。もともとこれで問題ありませんでしたので、この選択なら間違いありません。ただ楽天で調べると最安値が27,500円。昔はセット品で替え電池やら色々付いて52,000円でしたので、レンズだけで27,500円とは高めです。いちおう中古品も探すと良品が23,800円からありましたが、中古でもなかなか高い。万が一はずれを引くリスクを考えると中古は微妙かな・・・。そのほかのオリンパスの明るいレンズは、これ以上に高価で、かつサイズも大きい。

 

そこでマイクロフォーサーズを広く調べてみると、同じくマイクロフォーサーズに対応しているPanasonicで面白いレンズがありました。それが「LUMIX G VARIO12-32mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. H-FS12032」。

《新品》Panasonic(パナソニック)LUMIXGVARIO12-32mmF3.5-5.6ASPH.MEGAO.I.S.H-FS12032ブラック発売予定日:2013年11月21日[Lens|レンズ]《新品》Panasonic(パナソニック)LUMIXGVARIO12-32mmF3.5-5.6ASPH.MEGAO.I.S.H-FS12032ブラック【ミクロディア巾着&Wリアキャップセットプレゼント】[Lens|交換レンズ]《新品》Panasonic(パナソニック)LUMIXGVARIO12-32mmF3.5-5.6ASPH.MEGAO.I.S.H-FS12032ブラック【ミクロディア巾着&Wリアキャップセットプレゼント】[Lens|交換レンズ]

これはLUMIXで良く使われている標準キットレンズなのですが、お値段は新品で23,030円でオリンパスよりも安価です。少し調べると他にも違いがあり、焦点距離が12-32mm、35mm換算でオリンパス28mm→パナソニック24mmと、より広い画角が得られます。もう1点はズームが手動であること。これで価格差が出ているのかもしれませんが、私の使い方ではズームが手動でも特に問題なく、このレンズも悪くなさそうです。

 

もう1つ嬉しい発見がありました。今まで使い勝手向上のために「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」に自動開閉式レンズキャップLC-37Cを付けていました。これが、なんと別メーカである「LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. H-FS12032」でも使えるらしいのです。自動開閉式レンズキャップの便利さは実感していますので、これが流用できるのはありがたいですね。

 

ということで、今度はPanasonicのレンズをBLACK FRIDAYセールでレンズを買ってみる予定です。

購入後の撮影は次回の山で。