空と山と暮らし

パラグライダーと山歩きの記録、ときどき家と暮らし。

パラグライダーハーネスの買い替え

2022年10月29日、約2か月ぶりに朝霧に向かいました。注文住宅の設計や山歩きがあり中々飛べなかったのですが、設計もようやく落ち着いてきましたので、これからは頻度を上げて朝霧に来られそうです。空気が乾燥した秋になり、朝霧のパラグライダーの最良シーズンに入るのですが・・・いざテイクオフで準備していると問題を検出。そして新ハーネスを急遽調達することになったのです。

─ 目次 ─

テイクオフのセッティングで・・・

良く晴れた秋空の下、いつもの通りフライトの準備をしていたのですが、なぜかチェストベルトを止めるコードが無い。調べてみるとショルダー上部でコードを固定してあった糸が切れています。荷重のかかる場所ではないため応急的には紐などで縛れば固定できるのですが、これで飛ぶのは少し不安です。もともと今のハーネスを購入して10年以上経っており、そろそろ変え時かなと思っていましたので、良い機会と考えて買い替えすることにしました。ということで、今回のフライトは撮影のみ。

ハーネスの選択

これまで購入する場合はハーネスに試乗して決めていたのですが、今回はあまり悠長に検討できる状況でもありません。コロナの影響でパラグライダーは3~6か月待ち、ハーネスも物によっては数か月も待つことになる状況です。ということで、いつも朝霧に来られているKさんに相談して、私におススメできるもので在庫のあるハーネスを確認してもらいました。するとラス1在庫のハーネスが丁度そこに。

APCO Kittoハーネス

そのメーカはイスラエルのApco Aviation (通称APCO)。いままでSUP'AIR(スープエア) 社のハーネスを乗り継いできており、APCOは今回初です。ハーネスはSUP'AIRが最大手ですが、APCOもグライダーだけでなくハーネスメーカとして有名どころですね。最近のポッドハーネスということで流行の機能がしっかり押さえられています。

その1 軽量性

なんとハーネスの総重量は2.5 kgと山ザックより軽いくらいです。数年前から軽量化のトレンドがありましたが、今どきはここまで軽くなっていたのですね。それでいて耐久性、安全性は十分な性能で、メーカも頑張っています。バックルも軽量化のために小さめで、ロック機構もないため少し心もとないのですが、外れることはないでしょう。

ただ、最近ハーネス脱落の事故が増えているようで、これは用心すべきと聞きました。飛ぶ前のフライトチェック時に今まで以上に点検していくことになりますね。

その2 ポッドハーネスの工夫

もともと空力特性の向上を目的に開発されたポッドシステムですが、レースに参加しなくなった今となっては、冬の風よけ保温のためのアイテムといっても過言ではありません。・・・いえ、過言だと思いますが、暖かさ大事です。真冬でもジーパンでフライトできます。

ポッドの内側は保温性を高めるコーティングがされているのがお洒落ポイント。ポッドハーネスはアクセルの取り回しや足入れ動作に少しコツがいるのですが、そのあたりをサポートする3段アクセルバーやフットバンジーも付いていて抜かりないです。ちょっとした工夫ですが、これが便利なのですよね。

その3 シートのフィット性

従来は座る箇所にシートボードが良く使われてきましたが、Kittoにはこれがありません。実際に座ってみると包まれ感があり、これはこれで良いです。下の図の緑のラインで吊った「ハンモック デザイン」というものが採用されており、確かに包まれる構造になっています。また、このシートレスも軽量化に貢献しているのでしょう。

その4 コックピットのフライトデッキ

今どきはフライト用の計器(GPSバリオやスマホ)を載せて飛ぶ方がほとんどですので、これが標準で付いてくるのは助かります。今は手製のデッキを使っていて角度調整が微妙だったりしますので、これは大進歩ですね。

その5 機能美デザイン

これは好みにもなりますが、飛んでいるときのフォルムもすっきりしており悪くないです。最近はレースをやる方向けに空力を追求してハーネスが大型化する傾向にありますが、サンデーフライトにはこれぐらいシンプルなものでよいかなと。

レスキューパラシュートも?

さて、ハーネスの機能・性能は十分で、乗った感触も悪くない。ということで、珍しく検討も少な目でその日のうちに注文しました。お値段は22万円。昔のハーネスは7-8万円でしたがハーネスも高くなったものです。

さて、購入が決定したためレスキューパラシュートの移植の相談をしていると・・・レスキューが古すぎるとのこと。そうだった。

レスキューパラシュートは12年前にハーネスを買い替えた際に合わせて購入したものを使っていましたが、大体10年が買い替え時なのです。レスキューパラシュートは15年ほど前に一度お世話になり、命が助かった経験もありますので、ここは迷わず購入。こちらはSKYPARAGLIDERS(スカイパラグライダージャパン)のSKY QUATROという高速開傘のスクエア型です。こちらで+7.5万円。

そのほかカラビナ付けたり割引などしてもらって合計283,600円(税込)!…高い。新築1Fにオーダした高性能エアコンがもう1つ買えるくらい高いなーと思いつつ。ですが12月になると円安(ユーロ高)の影響から追加値上げのようで、ある意味良いタイミングだったのかもしれません。ちょうど、富士宮市観光協会 きて宮クーポン(30%お得)があり、多少は予算の助けになるのもありがたい。

11/14にレスキュー込みでセットアップして引き渡しということで、今シーズンは新ハーネスでのフライトが楽しみです。

おまけ:Kittoの由来

APCOのホームページで仕様の確認をしていたら、Kittoの命名由来の箇所にいきなり日本語が出てきました。

Kitto Light Pod Harness - Apco Aviation Ltd.

The origin of the name “Kitto”, or “きっと” is a Japanese word which translates to: ‘certainty’ or ‘without fail’.

「"きっと"という名前の由来は、 「確実」または「必ず」を意味する日本語です」

APCOさんは、安全性や快適性を確実・必ず届けるという思いを込めたようです。イスラエルの製品名に日本語を使ってもらえるのは嬉しい限りなのですが、「きっと」にその意味は含まれているものの、ニュアンスとしては、確実性を保証するものではなく、願望的な意味合いが強い気が。

これは、メーカだけでは"certainty"と言い切れる安全性は担保できず、乗り手とあわせて安全に飛べるよう願いを込めて「Kitto」をあてたのだと理解しておきましょう。ということで、これからも安全フライトで!